11/30(土) 現代批評講座:第5回・内野光子 著『天皇の短歌は何を語るのか― 現代短歌と天皇制』(二〇一三年、御茶の水書房)
- 2013年 11月 11日
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- 内野光子天皇制現代批評講座現代短歌
現代批評講座―著者が語る新刊の集い
二〇一一年三月一一日の東北大震災と原発の惨事は、私たちに多くの課題を突きつけました。それらの問題は三・一一以前にも少なからず論じられてきた一方で、三・一一は私たちの国が、私たちの社会が、そして私たちの生が現在どのような歴史的状況のなかに置かれているのかをあらためてまざまざと見せつけました。この点では、明治維新以降の近現代史、日本の近代化の過程を総体的に捉えなおすことが喫緊の要請となります。「近代」そのもののあり方を問うことが迫られているのです。
新しく立ち上げました「現代批評講座―著者が語る新刊の集い」は、そうした混沌とする時代状況をさまざまな側面から切開して、少しでも豊かな地平を築くことのできる糸口を探求するために開かれた試行の場であります。新刊について著者から直接に語っていただくことによって、そして著者とともに考えていくことを通じて、私たちはみずからの環境を作りあげていくことに参画していきたいと考えます。
二〇一三年二月一〇日
講座世話人(一一月一〇日現在・四〇名)
伊藤セツ(昭和女子大学名誉教授)伊藤述史(大学非常勤講師)伊藤誠(東京大学名誉教授)今井昭彦(文筆家)岩田昌征(千葉大学名誉教授)内野光子(歌人)上之園幸子(社会思想家)宇波彰(評論家)及川淳子(大学非常勤講師) 追川恵子(デザイナー)岡本充弘(東洋大学教員)岡本有佳(風工房)川元祥一(作家・評論家) 黒須純一郎(明海大学教員)高良留美子(詩人)小畑精和(明治大学教員)小林孝吉(文芸評論家)小林勝(ドイツ史研究)児島博紀(東京大学院博)権安理(大学非常勤講師)佐藤俊男(デザイナー) 澤村美枝子(フリー編集者)椎名修(写真家)柴田隆行(東洋大学教員)清家竜介(早稲田大学教員) 高橋一行(明治大学教員)中村朋宏(コーチ)橋本盛作(御茶の水書房)羽田三郎(印刷会社役員)原田克子(詩人) 船木恵子(武蔵大学総合研究所)細井隆(評論家)西角純志(大学非常勤講師)仁科伸子(東京福祉大学専任講師) 三上治(評論家)矢島杜夫(社会思想史研究)山家誠一(評論家)吉留昭広(社会運動家) 米村健司(早稲田大学教員)若生のり子(美術家)
■第5回:十一月三十日(土) 午後二時〜五時〇〇分(場所:明治大学研究棟四階第三会議室)
内野光子 著『天皇の短歌は何を語るのか― 現代短歌と天皇制』(二〇一三年、御茶の水書房)
天皇にとって短歌とは、自身の心情を直接的に発信する数少ない手段である。著者は、近現代における天皇の短歌に政治的メッ セージが潜んでいることを考察してきた。本書は、敗戦の昭和天皇の短歌作品が戦後政治史とどのような関係を持ったかを辿る。 短歌表現の変化、「地方巡幸」で何を歌ったのか、「文化」への傾斜、平成期の天皇の短歌の特徴まで、短歌を通して見えてく るものは多い。加えて、歌人の上昇志向と「歌会始」、メディア・教科書で扱われる短歌の現状、著者も学生時代(六〇年)に 入会した短歌結社雑誌『ポトナム』と歌人たちの軌跡など、短歌と国家・社会との関係や拮抗が見えてくる。
(出版ニュース、二〇一三年一〇月下旬号より)
■目次より
I 天皇の短歌は何を語るのか― その政治的メッセージ性
II 勲章が欲しい歌人たち― 歌人にとって「歌会始」とは
III メディア・教科書の中の短歌
IV 『ポトナム』をさかのぼる
■著者紹介 内野光子(うちの・みつこ)
一九四〇年、東京、池袋に生まれる。一九六三年、東京教育 大学文学部(法律政治学専攻)卒業。学習院大学勤務を経て、 一九六五年から国立国会図書館に一一年間勤務。一九七六年、 名古屋市に転居、一九八八年まで東海学園女子短期大学図書 館勤務、この間、愛知学院大学司書講習会講師(参考業務) を務める。一九八八年、千葉県に転居、一九九四年まで八千代国際大学図書館勤務。退職後、立教大学社会学部修士課程(マス・メディ ア論専攻)入学、一九九八年修了。二〇〇一年〜 地域ミニコミ誌「すてき なあなたへ」編集発行。二〇〇六年〜 「内野光子のブログ」を開く。 一九六〇年、ポトナム短歌会に入会し、一九八二〜二〇〇五年、風景短歌会 に参加する。 著書に、歌集『冬の手紙』(一九七一年)『野の記憶』(二〇〇四年)『一樹の声』(二 〇一二年)。合同歌集に『グループ貌五人』(一九六六年)『首都圏』(一九六八年)『出 版 人 の 萬 葉 集』(一 九 九 六 年)『青 葉 の 森 へ』(一)(二)(二〇〇六 年、二 〇一一年)などがある。 評論集に『短歌と天皇制』(風媒社一九八八年)『短歌に出会った女たち』(三 一書房一九九六年)『現代短歌と天皇制』(風媒社二〇〇一年)があり、共著に『知 識の組織化と図書館』(日外アソシエーツ一九八三年)『扉を開く女たち』(砂 子屋書房二〇〇一年)『女たちの戦争責任』(東京堂出版二〇〇四年)『象徴天 皇の現在』(世織書房二〇〇八年) 〈3・ フクシマ〉以後のフェミニズム』(御茶の水書房二〇一二年)などが ある。千葉県佐倉市在住。
▼これまでの現代批評講座:
第一回 二〇一三年 三月一九日 高橋一行著『知的所有論』(二〇一三年、御茶の水書房)
第二回 二〇一三年 五月一八日 伊藤 誠著『日本経済はなぜ衰退したのか』(二〇一三年、平凡社)
第三回 二〇一三年 七月二〇日 椎名重明著『カリタスとアモール― 隣人愛と自己愛』(二〇一三年、御茶の水書房)
第四回 二〇一三年 九月二一日 今井昭彦著『反政府軍戦没者の慰霊』(二〇一三年、御茶の水書房)
▼本講座は世話人会が設立趣旨に沿った新刊を選定し、著者自らが新刊を紹介・説明し読者と討論する場であります。
▼場所 明治大学研究棟四階第三会議室 千代田区神田駿河台1一1 明治大学リバティータワーの裏
▼参加費 五〇〇円
▼主催者連絡先 伊藤述史(090—9388—3831) 清家竜介 ryu.seike@gmail.com
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