「ツワネ原則」に基づき、秘密保護法案の慎重審議を
- 2013年 11月 23日
- 時代をみる
- 池田龍夫
「特定秘密保護法案」は〝知る権利〟侵害につながる恐れがある。――法律学者、弁護士連合会をはじめ、マスコミ各社、評論家の多くが異を唱え、女性週刊誌を含む雑誌業界も参加して、与党は四面楚歌の様相を呈してきた。本来、国会で堂々と論議すべき重要法案なのに、与野党〝密室談合〟に終始している姿にも、批判が高まっている。
その成り行きは国際的にも注目されており、「ツワネ原則」と称する言葉が飛び交っている。一般に馴染みのない用語だが、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」と言われる。今年6月、南アフリカ共和国省都ツワネで開かれた国際会議で、世界に向けて発表された。国連やOSCE(全欧安保協力会議)など国際機関の専門家ら70カ国500人以上が2年間にわたって議論してまとめた「国際原則」。「安全保障のための秘密保護」と「知る権利や人権の確保」というテーマを同両立させるかが、論議の焦点だった。
その結果、「秘密保護といっても、人権や人道にかかわる国際法に違反する情報の制限は許されない。全ての情報にアクセスできる独立した第三者機関を設置、秘密を指定する期間を定め、公務員でない者は秘密情報の入手などで罪に問われない」という厳格な規定が盛り込まれた。
この「ツワネ原則」を熟知していた国会議員はごく少数で、安倍政権が強引に成立を図ろうとする法案への認識不足は甚だしい。安全保障に関する機密は限定的で、公開性や人道的立場を崩してならないことは当然だ。今国会での成立を急がず、慎重審議を望みたい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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