国境なき記者団(Reporters Sans Frontières):「国家秘密法案を廃案にせよ」と安部首相に要求
- 2013年 12月 7日
- 時代をみる
- 「特定秘密保護法」グローガー理恵
12月6日、知る権利、言論の自由、報道の自由を奪う人権蹂躙の「特定秘密保護法案」が参院で可決されました。
11月11日には日本のTVジャーナリスト達が立ち上がり「特定秘密保護法案」に対する反対会見を行っています。その会見の模様を下記のリンクでご覧になることができます。動画は1時間ちょっとの長さです。:
http://www.youtube.com/watch?v=Er2xv9ICpBc
そして11月27日、海外では、言論の自由、報道の自由のバナーを高らかに掲げる「国境なき記者団」が安部首相に「国家秘密保護法案を撤回せよ」と抗議する声明を出しました。彼らは日本政権が推す「特定秘密保護法案」の不当さを厳しく非難しています。
その声明を和訳してご紹介させて戴きます。下が原文へのリンクです。:
http://en.rsf.org/japan-prime-minister-shinzo-abe-urged-to-27-11-2013,45515.html
「国家秘密法案を廃案にせよ」と安部晋三首相に要求
2013年 11月 27日
(和訳: グローガー理恵 )
1)国境なき記者団(Reporters Sans Frontières) は、昨日、日本の衆議院で「特定秘密保護法案」が可決されたことに遺憾の意を表明する。国境なき記者団は、「特定秘密保護法」が情報の自由に無類の脅威を提起するものであると非難し、この法案を撤回することを安部晋三政権に要求する。
「一体どうして日本政府は、フクシマ核事故後の状態結果に憤慨している国民が透明性を要求しており、その声が益々強くなってきていることに対して、このような反応を示すことができるのであろうか?: 国民の透明性への要求に対する日本政府の反応とはー如何なる情報も、政府自身が国家機密に関わる慎重な考慮を要し国家機密として扱う情報であるかを決定できる自由裁量権を持つこととなる法律を制定することなのである。」と、国境なき記者団は述べた。
「 『著しく不当な方法』で秘密情報を得た者を重刑に処して、それを罰することにより、国会は2)調査報道を違法とし、ジャーナリストの情報源の秘匿という基本原則と「公共の利益」を蹂躙している。」
この法案のもとでは、機密とみなされた情報は5年間の期間、国家秘密として扱われることになるが、その期間が無期限に延ばされる可能性もあり得る。機密情報を漏らした公務員やジャーナリストを含む内部告発者は、「公共の利益」が情報公表の理由であると法律の力に訴えることも不可能となり、10年までの懲役に直面することになる。
この法案によって標的となるのは明らかにジャーナリストであり、法案は、秘密情報を得るためにジャーナリストが用いた方法について(所謂「著しく不当な方法」であるか否か)、当局が判決を下すことを容認することになる。
安部首相は、「特定秘密保護」の法案を正当化する理由として、中国との領海論争や北朝鮮の核の野望を含めた「アジアの安全保障環境の変化」を指摘している。
11月はじめ、3)日本外国特派員協会は国会に法案を廃案するか、もしくは、少なくとも、報道の自由を守るために法案を大幅に修正することを要求した。
衆議院が法案を承認した結果として、国境のない記者団によって記録されるメディア自由の侵害の増加が生じることになる。ー特に、この影響を被るのはフリーランス・ジャーナリストである。ーメディア自由の侵害は、2011年のフクシマ核災害後に始まっていた。
フクシマ大災害発生以来ずっと、日本政府の不透明性を公然と非難しようと試みたジャーナリストを告発して、フクシマ災害の状態結果についての報道を妨害することが頻繁にあった。
日本は、2012年の国境なき記者団の報道の自由度ランキングにおいて179ヵ国中31番目であったが、2013年にはランキングが53番に下がっている。
以上
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1)国境なき記者団 (フランス語:Reporters Sans Frontières [RSF]、英語:Reporters Without Borders [RWB] )は、言論の自由(または報道の自由)の擁護を目的とした、ジャーナリストによる非政府組織。1985年、フランスのジャーナリスト、Robert Ménard、Rémy Loury、Jacques Molénat、Émilien Jubineauによって設立された。本部はパリにある。(ソース:Wikipedia)
2)調査報道(investigative journalism): 報道のスタイルの一つ。あるテーマ、事件に対し、警察・検察や行政官庁、企業側からの情報によるリーク、広報、プレスリリースなどからだけの情報に頼らず(これを中心情報とする報道は発表報道)、取材する側が主体性と継続性を持って様々なソースから情報を積み上げていくことによって新事実を突き止めていこうとするタイプの報道。 (ソース:Wikipedia)
3)日本外国特派員協会の「特定秘密保護法案」に関する声明 - 2013年 11 月11日-和訳文へのリンク
http://www.fccj.or.jp/images/FCCJ-State-Secrets-Protest-jap.pdf
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2475:131207〕
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