グリーンピース・インターナショナル&小出先生:福島第一原発における汚染水問題
- 2013年 4月 15日
- 時代をみる
- グローガー理恵小出裕章福島第一原発汚染水問題
先ず、現在進行中の福島第一における汚染水の管理問題についてグリーンピース・インターナショナルが、この問題の成り行きを簡潔に纏めて報告していますので、それをご紹介させて戴きます。
下がグリーンピース・インターナショナル・ブログへのリンクです。
http://www.greenpeace.org/international/en/news/Blogs/nuclear-reaction/fukushima-nuclear-crisis-update-for-april-9th/blog/44731/
次に、小出裕章先生が毎日放送番組「報道するラジオ」に出演されて、この「汚染水」に関する難題を解り易く解説して下さっています。
小出先生ご出演の「報道するラジオ」へのリンクです。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=Y2hVg9Krr_4#!
何故いまだに、東電も政府も原子力規制委員会も、敷地が限られている現場での貯水タンクづくりに集中し、小出先生が提案されるような最もプラグマティックで最も適切な方法で、タンカーを汚染水の貯蔵のために使わないのか、私には全く理解できません。本当に歯痒い思いがします。
グリーンピース・インターナショナル
フクシマ原発危機アップデート:2013年4月9日~4月11日
寄稿者:クリスティン・マッカン(Christine McCann)福島第一原発で進行中のクライシスに関する最新報告ニュース
(抄訳:グローガー理恵)
フクシマ原子炉(複数)の状態
東電は、福島第一原発における高放射能汚染水を管理しようとの試みに苦闘し続けている。今週始め東電は、機能不可能となった原子炉(複数)を冷却するために使われている、高放射能汚染水が貯蔵されていた地下ピットに、2件の漏洩があることを発表した。約120,000リトル(32,000ガロン)の放射能汚染水が第2貯水槽と第3貯水槽から地中に漏出した。東電は、「漏出した汚染水は、現場から800メートル離れた海までには届かなかった」と主張し続けているが、地元の漁民は、そのことを容易には信じていない。
これに対する対応として、作業員達は、9,200トンの汚染水を第2タンクから第1タンクへ移送するようにとの指令を受けた。施設には7つの地下ピットがあるが、東電はこれらを貯水槽(タンク)と呼んでいる。-其々の貯水槽は、地面を掘り下げたピットに2重のポリエチレン・シートと粘土の外層で裏打ちされていて、其々の層はフェルトで分離されている。殆どの水槽の大きさは、幾つかのフットボール競技場を合わせた位のサイズである。現在のところ使用されていない地下貯水槽が2基あり、別のもう1基の地下貯水槽には3,000トンの低レベル放射能汚染水が貯蔵されてある。
火曜日、東電は第1貯水槽からも汚染水が漏れていることを認めた。これは7基の内、3基の貯水槽が突然、危殆化されたことを意味している。最初のうち関係者は、汚染水を漏れのある地下貯水槽から他の漏れのない貯水槽へ移し替えることを計画していた。地元の住民からの反対や東電内部においても懸念の声があったにもかかわらず、関係者は、「地上にある貯水タンクが、現在地下水槽に貯蔵されている27,000トン近くある汚染水や毎日、原子炉を冷却するために生じる400トンの汚染水を収容するだけの十分な容積を持ち合わせていない」と述べた。
現場にある地上タンクの容積では、あと21,900トンの水しか収容できない。東電の関係者に依れば、「原子炉建屋内の漏れは、地下水が、この問題が修正されるまでの更に4年間、地中にしみ込み続けていく可能性があり、地下水は放射能汚染され、問題が悪化されていくことを意味する。」と謂う。原子力・立地本部長代理である尾野昌之は、「我々が地下貯水槽への信頼を失った事実は否定できません。」と述べた。しかし彼はこう付け加えた。:「全ての汚染水を地上のタンクに移送することは出来ません...十分な容積がないので、とにかくすぐに利用できるものを使わなければなりません。」
しかしながら、週の半ば、茂木敏充経済産業大臣は東電が引き続いて地下貯水槽を使用することを禁止し、益々深刻化されている状況に対する東電の対応の緩慢さを批判した。それに従い東電は、5月末までに計19,000トン容積の新しい鋼鉄製の地上タンク*19基を増設すると述べた。汚染水を新しいタンクに移送するのに大体6月の末まで掛かる。ということは、それまで(6月末まで)高濃度に汚染された水が土中にしみ込み続けていくることになる。
東電は区域の放射線監視器の数を増やすことを約束した。漏洩が最も著しい第1と第2地下貯水槽の汚染水は敷地にあるタンク(複数)に移送されることになる。東電の廣瀬直己社長は汚染水が海洋に放出されるようなことはないと誓った。「そのようなことは絶対に起こらない」と彼は述べた。「汚染水を管理するためには、ありとあらゆる利用可能な手段を用いるという我々の方針に変化はありません。」 災害が発生した直後に東電は、莫大な量の低レベル放射能汚染水を海洋に放出したことで非難された。-広範囲にわたる国際的な批判を集めた東電の行為である。
木曜日、東電は更なる難題に直面した。第2地下貯水槽から、今のところは関係者に漏洩がないものと信じられている別の地下貯水槽へ、63億ベクレルという高濃度の汚染水を一時的に移送するために使われた配管から22リットルの汚染水が漏れたのである。
一方、東電は、何が原因で地下貯水槽に漏洩があったのか、はっきりとしないことを認めている。東電は、この問題について誰に責任があるのか、地下貯水槽を設置した前田建設工業との論争を始めた。この漏洩問題は明らかに広範囲に及んでおり、漏洩が7基全ての地下貯水槽に及んでいる可能性もある。前田建設は、東電によって提供された設計に基づいて地下貯水槽を施工しており、東電の設計は地下貯水槽としては非通常的なものであると述べている。東電の方は、「この設計は過去において、農場貯水池のために使われ、実績があるものである」と主張している。専門家は、「ポリエチレンシート間に貫通された漏洩検知用のパイプがシート間に隙間をつくり、莫大な量の水の重みでシートが引っ張られたのかもしれない」と推察している。しかし、作業員達は、貯水槽内の水が完全に排出されるまで、漏洩の正確な原因を決定することはできない。
以上
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注:*19基: グリーンピース・インターナショナルの原文は「38 new aboveground steel tanks-新しい鉄鋼製の地上タンク38基」となっていたのですが、この情報源リンクとなっているKyodo Newsの記事を調べてみますと、38基という数字は見当たりませんでした。それで更に、この件に関してサーチしてみましたところ、「福島民報」の記事にタンク19基を増設と記述されていましたので、その情報を基にして38基の代わりに19基と変更しています。 福島民報記事へのリンク:http://www.minpo.jp/news/detail/201304117775
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2232:20140415〕
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