恐るべきNHK経営委員会の腐敗体質
- 2014年 2月 7日
- 時代をみる
- 池田龍夫
籾井勝人NHK会長の従軍慰安婦や靖国参拝をめぐる暴言が国会で追及されたことは、本欄(2月3日付)で取り上げたが、他の経営委員の中にも非常識な放言をする人がいることが明らかになった。
経営委委員の百田氏が、都知事選で応援演説
経営委員会で籾井氏をNHK会長に推挙した1人が、百田尚樹経営委員であると伝えられている。その百田氏が2月3日、都知事選に立候補した田母神俊雄候補の応援演説に立ち、南京大虐殺を否定する持論を展開したうえで「宣戦布告なしに戦争したと日本は責められますが、20世紀においての戦争で、宣戦布告があってなされた戦争はほとんどない」と、発言したという。公正・中立であるべきNHK経営委員が、このような振る舞いをしたことは籾井問題と同様に重大問題である。
長谷川委員は、暴力団の拳銃自殺に追悼文
もう一つ経営委員がらみのスキャンダルが、毎日新聞2月5日付朝刊1面トップに報じられた。長谷川三千子経営委員(埼玉大名誉教授)が昨年9月、朝日新聞社で拳銃自殺した右翼団体幹部の追悼文を書いていたことが明るみに出た。1993年、右翼団体「大悲会」の野村秋介元会長が週刊朝日に揶揄されたことに抗議。同社応接室で拳銃自殺した事件である。長谷川氏は元幹部没後20年を機に発行された追悼文集に「人間が自らの命をもって絶って神と対面することができないということを信じていない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」と記している。この文集は昨年10月18日に都内の追悼会で参列者に配布されたというが、恐るべき話ではないか。政府は昨年10月25日衆参両院に百田氏、長谷川氏ら4人の経営委員の同意人事を提示、11月8日に同意された。
籾井会長に続いて、NHK経営委員会の不透明・曖昧な姿勢に改めて驚かされる。
お仲間「安倍一族」の強圧的姿勢が強まる
五十嵐仁・法政大教授が2月5日ブログで、これらの問題を痛烈に批判していたことに注目した。「百田氏を経営委員として送り込んだのは安倍首相だ。(今回の人事を見ると)安倍、籾井、百田氏のほか橋下維新の会会長、田母神らの人々は、全て同類項で『同じ穴のムジナ』にほかならない。いわば『安倍一族』のお仲間だということになります」とズバリ安倍路線の危うさを喝破していた。
靖国参拝への安倍批判はいぜん根強く、国際的信用の低下が懸念される。それに加え、国際公共放送のNHKの主体性の欠如も大問題である。経営委員会の体質改善に政府はもっと責任を持つべきだ。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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