「本のカフェ」第一回のご報告
- 2014年 2月 14日
- カルチャー
- 木村洋平
「本のカフェ」とは、10人程度で集まり、3〜5人がひとり一冊本の紹介をしたのち、フリータイムをとって交流するという企画です。全体で3時間。第一回は東京、恵比寿で開催しました。そのときの記録です。
【スタート】恵比寿のカフェ、カルフールの貸し会議室。明るく感じのいいところ。会費は、800円になりました。クッキーと各自ドリンクを注文。珈琲もそこそこ美味しい。途中参加・退席を含めて、11人が集まってくれました。7,8人が席に着き、本の紹介が始まったのは14:15でした
【1】最初は、三浦綾子さんの『塩狩峠』。穏やかな話しぶりで本との出会いから始まり、あらすじの説明のあと、「食事のシーン」に着目。お母さんの卵焼きを食べる場面、大人になってお弁当を開く場面への思い入れが語られます。家族愛を感じる読み解き方でした。
【2】二冊目は、『ピーター・ラビット』。iPadに挿絵を映しながら、イギリス英語の発音で朗読。あらすじと読解。著者のビアトリクス・ポターにまつわる話。1時間半の講義もできそうなほど充実しました。おまけに、紹介者の方は200年前のイギリス風衣装でご登場いただけて、英国世界が開けました。
【3】三冊目は、『社会の抜け道』という対談本。文学つづきで来た流れが変わりました。國分功一郎×古市憲寿。「消費」と「浪費」というふたつの概念の対比で読み解く、現代日本の資本主義。簡潔にしてわかりやすく伝える、15分という時間を活かした知性を感じる紹介でした。
【4】文学、社会と来て、古代の哲学書が四冊目。マルクス・アウレリウスの『自省録』。一般向けではない本でしょうが、紹介者の方は「ゆる〜く」読み聞かせてくれました。皇帝でもあった著者がストア派(ストイックの語源)の思想に傾倒しつつ、善い人間を希求する雰囲気が伝わる易しい語り口でした。
【5】最後は、梨木香歩の『家守綺譚』。現代日本の小説家ですね。この著者の作品の系統的な解説(植物にこだわりがある、口語の泉鏡花とも言うべき美しい文章、など。)から、主題の作品に入り込み、時代や場所の説明から徐々に内容のこまやかな読み解きへ。「現実と異界をつなぐ水」というテーマを語って終曲。
それぞれの紹介者さんの個性が出て、易しかったり、充実の内容であったり、バリエーションもあって面白かったと思います。15分では足りない、という紹介も多く、予定の時間(1時間半)をオーバーしました。それでも、1時間のフリータイムが残り、2,3人ずつ分かれて、席替えなど自然にしながら、参加者の方々はオブザーバーも含め、自由に楽しく後半を過ごせていたようです。
「どの本も読みたくなる。」「次回があれば参加したい。」(これは、今回、参加できたひとも、できなかったひとも)「とてもよかった。」といった声を多くいただけました。
初出:ブログ【珈琲ブレイク】http://idea-writer.blogspot.jp/2014/01/blog-post_8.html
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