3月9日に原発ゼロ大統一行動 -「福島を忘れるな!再稼働を許すな!」を旗印に-
- 2014年 3月 6日
- 評論・紹介・意見
- 岩垂 弘脱原発
東日本大震災で東京電力福島第1原子力発電所が事故を起こしてから、この3月11日で3年を迎えるが、この日を中心に、「脱原発」を目指す諸団体が、東京をはじめ全国各地で多彩な運動を繰り広げる。福島第1原発の事故が収束の見通しもたっていないのに、政府と電力会社が、まるで原発事故などなかったかのように原発の再稼働に向かって活発な動きを見せていることに危機感を強めているからだ。
福島第1原発の事故をめぐっては、2011年12月16日に野田・民主党内閣(当時)が収束宣言をおこなった。しかし、同原発4号機の燃料プール内にある燃料の取り出しが終了していないほか、放射能汚染水の流出が続いており、むしろ、事態はますます深刻化している。この事故で避難生活を余儀なくされている被災者は今なお14万人にのぼる。復興も遅れている。
なのに、安倍政権は2月25日、新たなエネルギー基本計画の政府案を決めた。自民、公明両党と調整した上で3月中にも閣議決定するが、それによると、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけている。そして、原子力規制委員会の規制基準に適合した原発は「再稼働を進める」と明記している。これを報じた2月26日付朝日新聞の記事には「原発新増設も含み」の見出しもついている。
福島第1原発の事故後、民主党政権は「2030年代原発ゼロ」の方針を打ち出した。が、安倍政権はこれを覆し、原発の「積極推進」に転換したわけだ。電力会社も次々に原発の再稼働申請を行い、現在、10原発17基の再稼働に向けた安全審査を原子力規制委員会に提出している。
こうした状況に脱原発派は警戒心を強めている。脱原発運動関係者の間では「安倍政権はこの夏にも原発の再稼働を強行するのではないか」「脱原発運動にとって、今年はまさに正念場ともいえる年になりそう」との見方が強い。これまで脱原発運動に深くかかわってきたルポライターの鎌田慧さんも言う。
「日本では現在、原発は1基も稼働していない。これは広範な人々による脱原発運動があったためで、いわば脱原発運動の成果だ。しかし、原発再稼働に向けた動きが急テンポで進んでおり、このままでは原発事故前の日本に戻ってしまう。今こそ各地の運動が連携して脱原発の世論をいっそう盛り上げねば」
3月11日前後に行われる脱原発関連の集会・デモは福島、静岡、山口、京都の各府県など全国各地で計画されているが、東京では9日、脱原発運動を進めている3つの団体が共同行動を繰り広げる。3つの団体とは、作家・大江健三郎さん、作家・落合恵子さん、ノンフィクション作家・澤地久枝さん、鎌田慧さんらを呼びかけ人とする「さようなら原発一千万署名市民の会」、全労連、民医連、新婦人などを中心とする「原発をなくす全国連絡会」、毎週金曜日に首相官邸前で反原発を訴え続ける個人中心のネットワーク「首都圏反原発連合」である。
3団体による共同行動は「0309 原発ゼロ大統一行動~福島を忘れるな!再稼働を許すな!~」と名づけられ、まず午後1時から、日比谷野外音楽堂で3団体主催の集会。午後2時から、3団体主催の請願デモ・国会包囲。午後3時半から5時までは、国会議事堂正門前で首都圏反原発連合主催による国会前大集会となっている。
3団体による都内での共同行動は、2013年6月3日、同年10月13日に次いで今回が3回目。先の東京都知事選では、脱原発陣営で統一候補を立てることができず、細川護煕候補を支持するグループと宇都宮健児候補を支持するグループに分かれた。が、関係者の間では「この違いを脱原発運動には持ち込まないようにしよう」との意見が強く、今回の3回目の共同行動が成立した。
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