「原発は滅びゆく恐竜である」読書感想
- 2014年 3月 25日
- 交流の広場
- 林太郎
反原発運動の草分け的存在である科学者ー故水戸巌教授の著作・講演集が発売され、読ましていただいた。水戸巌氏を知る人は少ないかもしれないが「救援連絡センター」の創設者と言えば思い出す人も多いであろう。講演録を読むと彼は40年ほどまえに3.11原発事故をすでに正確に予測していたようである。チエルノブイリ原発事故後彼は言う。「こんな危険を目のあたりにしながら、<引き返せない>ほど、人類は愚かであろうか。・・・硬直した思考を捨て国民一人一人の決意をもって<引き返す>ための現実的方法を探ってゆく、いまが最後のチャンスなのである。」又水戸氏は反原発、死刑制度廃止、救援運動と常に虐げられた人々に寄り添い、戦い抜いてきた人でもある。まえがきに於いて小出裕章氏は「私が恩師と呼ぶ人は片手で数えられる数しかいない。その一人が水戸さんである。」と書いている。又偶然にもほぼ同時に発売された森村誠一氏の小説「祈りの証明ー3.11の奇跡」の中で、実名で水戸巌が登場しているのである。この本を読むと、綿々と続いてきた日本の反原発運動の論理性の高さに感動させられる。まさに水戸氏の言うように「知識ではなく論理である」数十年をへて刊行された「著作・講演集」はまさに奇跡かもしれない。「原発は滅びゆく恐竜である」(緑風出版)
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。