オバマ発言誤訳問題がなぜ重要なのか
- 2014年 5月 8日
- 時代をみる
- 「ピースフィロソフィー」
4月24日日米共同記者会見でのオバマ発言誤訳問題については以下のブログ投稿を見てください。既存メディアで取り上げたのは琉球新報と、琉球新報の記事にリンクした Yahoo と 47ニュースだけで、実質的には琉球新報だけでした。「正しくない」という訳の入った報道を全国配信した通信社をはじめ全国メディアは一社も訂正していません。
●尖閣問題をエスカレートするのは profound mistake「深刻な過ち」とオバマが安倍に釘をさした言葉を,日本のメディアの多くは重視せず、「正しくない」と誤訳したりしてごまかしている。
●Profound mistake を「正しくない」と訳しますか??? 日本のメディアはねつ造に近い 訂正してください
●【御用通訳に注意】オバマ発言誤訳は日米共同記者会見の同時通訳によるものだった。官邸HPの動画でも誤訳。
もう一言伝えたいことがあり、さっきツイッター@PeacePhilosophyで言ったことをここに書き写しておきます。
オバマ発言誤訳問題:「尖閣問題エスカレートを続けるのは深刻な過ち」とオバマが安倍に言ったprofound mistake を「正しくない」と通訳が意図的誤訳としか思えない訳をしたことを私がここまで問題視している本質が一部の人に伝わっていないような気がします。
これはオバマ氏が安倍氏にたいして行った重要な警告を小さく見せ、メディアにもさらりと報道でスルーさせるようにしむける効果がありました。この発言を全く報じていないところもありました。この生半可な訳語でなければここまでスルーできなかったはずです。
また私は通訳の能力を問うているのではありません。通訳がとっさに間違えてしてしまうようなことはありますが、今回のは明らかに通訳の間違えというより言葉の言い換えです。
この言い換えには、日本政府が尖閣で武力衝突が起こること自体を「深刻な過ち」ではなく、「正しくない」程度のことであると思っているし市民にもそう思わせたいという意図が隠れているのではないかと思うからです。読み過ぎだと言われるかもしれませんが私はそう考えています。
私の疑いには理由があります。安倍首相とその側近たちは、日本が内外に甚大な被害をもたらしたアジア太平洋戦争、対中国戦争を、日本の「深刻な過ち」とは思っておらず、「正しくなかった」程度にしか思っていないとしか思えない言動を繰り返してきたからです。今回の事はその態度を象徴しています。
私は、隣国との武力衝突を「深刻な過ち」ではなく、「正しくない」程度のこと、ひいては「好ましくはないがやむを得ないかもしれないこと」といった認識に市民を引きずり込むようなあらゆる勢力を批判し抵抗していかなければいけないと思っています。付けたしでした。
追記。TUP(Translators United for Peace) の@MiyamaeYukariさんがツイッターで返答をくれました。
@PeacePhilosophy 心の底から同意します。政府や報道機関が英語をごまかして訳することに怒りを覚えるだけでなく、それがまかり通ることを許してきた「知識人階級」の怠惰に嫌悪感を抱いています。関係者は今回の乗松さんの真摯な指摘を受け止め、速やかに改善して欲しいです。
初出:「ピースフィロソフィー」2014.5.7より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2014/05/blog-post_7.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2614:140508〕
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