親米派ポーランド外相の本音
- 2014年 7月 3日
- 時代をみる
- 岩田昌征
『現代思想』最新号(2014年7月号)を読んでいたら、ロシア・ポーランド文学者沼野充義氏がソヴェト史研究者塩川伸明氏に「現在のポーランド外務大臣のシコルスキは非常に親米的な対ロシア強硬派ですから、ウクライナを自分たちの陣営に引き込もうと躍起になっており、・・・。」と語っているのが目にとまった。
私もそう思っていた。ワシントンとベルリンの支持を得て、ラドスラフ・シコルスキは、EU外交安保担当上級代表の地位を現在のケトリン・エシュトンから今年の11月に引き継ぐだろう、と目されている。
ところが、ワルシャワの週刊誌WPROSTでシコルスキをめぐって政治的スキャンダルが6月22日に暴露された。彼がポーランドの前財務相に私的に語った言辞が盗録されていたのだ。ポーランドとアメリカの同盟は、「無価値であり、かつ有害でもある。何故ならば、虚偽の安全保障感情を生み出すからだ。我々はドイツ人、ロシア人と衝突することになるだろう。ところが、我々は万事よしと考えるだろう・・・。」シコルスキ外相は発言内容を否定していないと言う。(『ポリティカ』2014年6月24日、25日)
このスキャンダルでポーランド外相がEUの外交安保を仕切る可能性は消えたかも知れない。「非常に親米的」ポーランド外相が本音でこんな事を語っていた。日本でより親米的なのは、外相(政治家)か外務省(官僚)か、あるいはマスコミか。
平成26年7月1日
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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