「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」に於ける日本内外の邦人に対する危害の危険性について
- 2014年 7月 13日
- 交流の広場
- 熊王信之
集団的自衛権を巡る閣議決定での解釈改憲に関わっては、批判が戦争参加に集中していて、その戦争とは、古典的戦争概念にある如く論議されているような気配があったので、その空隙を埋める意味合いで投稿を重ねた次第であるが、閣議決定の原文を観れば、流石に、意識的にその範疇を超えたものであるのが分かる。 しかし、未だに、一般的に国民は、自身に差し迫った危険を承知していないように観えるので再度強調したい。
それは、閣議決定文書の「2国際社会の平和と安定への一層の一体化」の具体的顕現に依って、米英その他西側諸国に依るテロとの戦いに自衛隊を派遣したとして、敵対する具体的国家、或は、国家に準じる武装集団は、日本と日本人を敵と認識して、当該国家内は勿論のこと、世界中で日本と日本人への攻撃(テロ)を行うことが予見されるからである。
従って、「1武力攻撃に至らない侵害への対処」とは、具体的には、例えば、テロの危険性を指す。 1に於ける(1)と(2)には、(2)以下の(3)と(4)を除き、具体的には、主にテロの危険性を想定すれば間違いでは無いであろう。
視点を海外に転じれば、テロとの戦いに参加している西側諸国に対する攻撃は、諸国の内外における当該国民への様々な形態のものが観察される。 このような事態に対する日本国民の覚悟は如何であろうか。 集団的自衛権の閣議決定に依る解釈改憲を批判するにあたっては、当該の閣議決定が何を意味しているかを正確に読み取らねばならない。 予断を持って読み取ることは厳に慎まねばならないのである。
安倍政権は、海外派兵がもたらす日本と日本人への危険性も認識し、その対応策も(日本国内に限られるのは当然だが)示していると考えられるが、批判する側にその認識が無ければ正当な批判が不可能である。 過去には、小泉政権の折に犠牲になった在外邦人があったが、安倍政権に依る派兵が現実化すれば、国民の犠牲は如何ほどになろうか。
特に、日本では、臨海地に多数の原発が立地している。 これは、軍事的に適正な攻撃がなされれば、容易に国家と国民を破滅させるに充分である。
例えば、先の投稿で触れたIED(即席爆発装置Improvised Explosive Device)であるが、
Wikipediaに依れば「イラク戦争以降、自己鍛造弾の技術を用いたIEDが普及しており、治安維持勢力の装甲車両にとって大きな脅威となっている。ハンヴィー、MRAPのような軽装甲車輌を破壊できるものから、大型のものでは戦車の側面装甲を破壊できるものまである。アメリカ国防総省の専門家が下院軍事委員会小委員会で証言したところによれば、北朝鮮は、イスラム原理主義過激派が使用するIEDについて興味を示しており、パキスタンのイスラム原理主義過激派支配地域に朝鮮人民軍の視察団を派遣するとともに、戦術立案用の参考資料として『ジハード・ビデオ』を大量に入手したとされている。」とあるが、安倍政権が仮想敵国、乃至、仮想敵集団と目する相手は、これまた相互に蓄えたノウハウを融通しあっているようである。
ともあれ、こうした強化IEDを保有した少数精鋭の部隊が隠密裏に原発至近へ接近し破壊工作を実施すれば、どうなるかを想像してみればその危険性が理解出来得よう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%B3%E5%B8%AD%E7%88%86%E7%99%BA%E8%A3%85%E7%BD%AE
即席爆発装置(そくせきばくはつそうち、IED、Improvised Explosive Device)
憲法解釈変更を巡る神学的考究も結構であるが、安倍政権の土俵内で戦うようなものであり、政権の思惑に従う結果にならないか、と気がかりである。 解釈変更に依る差し迫った具体的危険性を説かねばならないと思われる。 立法府における具体的論議に反映し得る解明が望まれる。
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。