〔憲法と国家〕近代の超克論~マルクスもしくは、社会主義・共産主義政治学は何を求めてきたのか?
- 2014年 8月 5日
- 交流の広場
- 武田明
第4章 憲法学改革論
4-0
日本国憲法の原理とマルクス主義
http://chikyuza.net/archives/46437
ご指摘ありがとうございます。
これで問題がわかりやすくなったのと同時に、日本の憲法研究者の致命的な思考上の欠落をも現しかねない「未満」的状況を目撃するきっかけにもなるのではないかと危惧も感じています。
時間がないので手短めに今回も序説のみにとどめますが「憲法学的改革論」を是非、ちきゅう座有志みなさんの参加、総仕上げ、補完参加など期待しています。
(余談ですが、ソビエト憲法論と言う書物もありましたが退屈でつまらないものとなっているようです。)
ここから読みだした新しい読者にもわかるように順序だてて、話を整理するなら以下の文章〔参考引用〕を受けて、マルクスは近代革命としての民主革命の延長上に社会主義革命としての「二段階革命」を思考していたのであるけれども、必然的歴史の道筋としての社会主義革命に移行できないのは、ただただ、「民主主義未満」であり、「憲法理解未満」の国民教育の未満的状況によるものであると言うのが、当方の主張だったわけです。
〔参考引用〕
(3)『党宣言』は、「一段階革命」論か「二段階革命」論か
『党宣言』の立場は「二段階革命論」である。この点は、実は廣松渉も良知力も同じ考えだったと断言しても良い(廣松からは直接聞いたことがあったし、良知は様々な個所で書いている)。この点のポイントは、特殊個別性を捨象した「のっぺらぼうな」普遍革命(一段階革命論)に対して、あくまで各国の特殊事情を考慮しながら、具体的普遍性としての革命を構想する彼らの革命論(二段階革命)との差異である。しかし、実際の論じ方は残念ながら極めて曖昧さの残るものになっている。④を再検討すれば分かるように、ここで言われているのは高々「国家社会主義」レベルの内容である。
http://chikyuza.net/archives/45081
憲法は国家としての現在状況に鑑み、基本理念、理想を書き示したものであって、相互の条文は最初の「天皇象徴」から様々な「相互矛盾」にもさらされているのは周知の範囲であるはずです。
では、具体的にどこが相互矛盾を起こしている部分なのか更には、是正は、どちらの方向に向いているのか社会主義理念と相矛盾しない寧ろ合致に進むであろう主題点もあるのですが、今は、そちらの本殿の方には入らず、一般的イメージ反共としての狭義マルクスへ向けられている誤謬に対して指摘するだけでこの序説は事足りているのではないでしょうか?
4-0-1問題設定1:呼び名の課題(国民、人民、プロレタリアートその呼び名は何を現しているのか?)
国民、庶民、労働者、人民、そしてプロレタリアートそれをどの様に呼ぼうともそれはそれぞれの趣向的問題であり根本的な対立とはなりえない。
華族、その他の貴族の制度は、これを認めない。
国民とプロレタリアートは対立概念ではない。より具体的な問題設定をしているに過ぎない。
一方の階級?既に、「華族、その他の貴族の制度は、これを認めない。」この一文によって近代革命的市民、国民とプロレタリアートは、同値となっている「移行可能性」=「二段階革命」と矛盾していないのではないのか?
4-0-2問題設定2:私有財産について
これもさんざん語られているものがまだまだ理解されていないだけのように思います。
簡単に言うとNHKは、籾井勝人氏の私物ではないでしょう。読売新聞社も渡辺恒雄氏の私物ではない。
しかし、このような「メディアの独占」=「私物化」的報道状況こそが、支配的であり、経済的私物化は、国民の平等と矛盾している。
「私」や「衣服」や「家」その私有財産に対して誰も共有化しようと述べてはいない。
問題は、「生産手段」の共有化、「議会主義的国家運営の完成」として、「民主主義」とも矛盾しない延長上にあるのが社会主義であるという言及が繰り返されているにも関わらず『資本論』の根本が誤解されているただただそれだけの本来、二項対立ではない「憲法」と「社会主義」を対立概念としている事は、幾度説明しても同じものへ戻ってくる範囲であったのではないでしょうか?
何故、このような根本さえいまだに理解されていなかったかが「遅すぎた革命」「失われた20年」として重くのしかかっている「民主主義未満」「憲法問題未満」の国民状況なのです。
4-0-3問題設定3:三権分立とプロレタリアート独裁は矛盾しない。
議会主義と集団統治体制として独裁政治私物化を排する道は幾度も語っているものなので、今回は、繰り返さずとどめておこうと思います。
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