朝日頑張れ! 朝日攻撃は「戦後ジャーナリズム 最大の危機」だけではない。「戦後民主主義の最大の危機」だ。
- 2014年 9月 25日
- 催し物案内
- 坂井定雄朝日新聞
朝日新聞に対する攻撃は、戦後民主主義の最大の危機だと思う。凶暴としか言いようがない。朝日は大丈夫か。既に紙面から、政権と勝ち誇った右翼メィアの大合唱に膝を屈し始めたのではないか、という懸念を感じさせる。戦後民主主義と憲法を大切に思っている多数の国民、原発再開に強い疑問を持っている多数の国民、そして何百万部の朝日新聞の読者が、「朝日頑張れ!」と心配しているのだ。
その声をあげる動きが活発になっている。その一つとして、平和・人権・報道・原発問題にかかわってきた9人の弁護士グループは26日、朝日新聞社木村伊量社長と「報道と人権委員会」に対し、「吉田調書」報道関係者の処分について、「知る権利への奉仕、真実の公開のため渾身の努力を積み重ねている記者を萎縮させる結果をもたらす」「不当な処分はなされてはならず」「いかなる圧力にも屈することなく事実を公正に報道するといいう報道の使命を朝日新聞が自ら放棄することにつながり、民主主義を重大な危機にさらす」ことのないよう、申し入れた。
また「日本ジャーナリスト会議とマスコミ九条の会が共催する案内状がきた。案内文に強く同感したので、上記とともに、紹介したい。
戦後ジャーナリズム 最大の危機
―混乱と自壊への退勢をいかに立て直すか
慰安婦「強制連行」・原発事故「吉田調書」の二つの「誤報」を背負った朝日へのマスコミ界内部からのバッシングは、日本の言論史上、例をみないほどに凄まじい。それは、主張を異にするメディア同士の自由な論争などではない。このままでは、敗戦後、独立した自由なメディアの共存のうえに築かれてきたジャーナリムは、自壊の果て、政府や財界の思惑、国家主義を煽る政治家の野望、さらには「敵」抹殺を渇望する大衆の熱狂の渦のなかに、呑み込まれてしまう。私たちはこのような事態を見過すわけにはいかない。
慰安婦問題では「河野談話」の失墜、原発問題では早急な原発の再稼働が、安倍政権の固執する政策課題だ。朝日はそのような枠組みのなかでオトリとされた格好だ。政府はマスコミ界内の激しい部数・視聴率競争の矛盾も巧みに利用する。ライバル・メディアが「誤報」を激しく非難すれば、部数を減らす朝日が音を上げ、自ら非を認めると踏んだ節がうかがえる。秘密保護法・集団的自衛権では、朝日が大きな「風除け」となり、多数の地方紙も政府批判の狼煙が上げやすかった。だが「吉田清治」証言となると、どの新聞も、1度や2度はその記事を載せている。今それをヘタに暴かれたら、同じ騒ぎに巻き込まれると、朝日を遠巻きに見るだけだ。かくて政権は、「風除け」をここで片づけ、秘密保護法・集団的自衛権でも地方紙の批判を無力化しようと、「朝日問題」をしゃぶり尽くす。
現在のマスコミ状況は、満州事変の発端となった、日本軍による謀略・柳条湖事件をめぐり、新聞が軍支持の報道で部数拡大を競い、大正デモクラシーや軍縮の余韻を吹き飛ばし、大きな戦争を招き寄せていった歴史を思い出させる。私たちはそのような時代の再来も許せない。米欧は中東の新しい戦争で「有志連合」を募る気配だが、安倍政権はそれに応じるだろう。私たちはこのような情勢に臨み、メディアの姿勢を建て直し、安倍政権の野望を挫くために、ジャーナリストと市民は今なにをなすべきか、話し合うことにした。
<討論集会>
「戦後ジャーナリズム 最大の危機―混乱と自壊への退勢をいかに立て直すか」
開催日時:10月31 日(金) 開場:18時 開会:18時30分
開 場:文京区民センター
構 成:[第1部]問題提起と提言 3人のスピーカーの発言(各30分)
[第2部] リレートーク 4人が追加発言(各10分)。その後、全員とフ
ロアからの発言も交えて討論。
日本ジャーナリスト会議・マスコミ九条の会 共催
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