なぜ週刊誌しか書かなかったのか ―女性初の総理候補のお粗末―
- 2014年 10月 21日
- 時代をみる
- ジャーナリズムメディア半澤健市
小渕優子経産大臣と松島みどり法務大臣が辞任した。
小渕に限定して発言する。彼女の場合、発端は『週刊新潮』の報道だった。
なぜ週刊誌なのか。これが核心である。
9月3日の就任以来、いや就任以前にも、このことを誰も知らなかったのか。さらに、2008年に、彼女が、日本語の不自由な麻生太郎内閣に入閣したときに、この問題はなかったのか。さらには、2000年に初当選以来、14年間にわたり、誰もそういうことをチェックしなかったのか。本当にそうだったのか。野党だけが追及して与党が黙っているのは何故なのか。これは与野党を立場を超えた民主主義の問題である。
『週刊新潮』以外の、何百人何千人の政治部記者はどこにに目がついているのか。
別のことでは、メディアは「虚偽報道」を垂れ流している。
「虚偽」とは、たとえば、「あったことをなかった」(11年3月の福島第一原発のメルトダウンを認めたのは5月だった)と言い、「なかったことをあった」と言う(安部は福島原発はアンダーコントロールだと言っているとそのまま書く)ことである。
そういう政府のつくウソを、検証しないので垂れ流すのである。戦中の「大本営発表ジャーナリズム」そのままである。
一方では、『朝日新聞』叩きを徹底的に行ないながら、国際社会の常識となった「性奴隷」問題を「なかった」ことにしようとしている。1930年代の国際連盟脱退以前の外交感覚に共通している。これは「集団ヒステリージャーナリズム」である。
メディアを批判するのが本意ではない。こんな内閣を選んだ我々の、「愚かな選択」が根っこにあると言いたいのである。「大本営発表ジャーナリズム」という知的退廃が契機になって有権者が自らの愚かさに気がつく。安倍政権の急速な崩壊が始まる。二人の女性大臣辞任をみた私の希望的直感である。
ここまで書いたら宮沢洋一、上川陽子が、後任大臣に決まった。首相へのぶら下がりでの質問は新大臣の選任理由だった。私が記者なら次のように聞いたと思う。「二人の大臣が辞めたのは、首相の選任が失敗だったのですか。選任された大臣が誤った行動をしていたからですか」。(2014/10/20)
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