民主、維新が「秘密法施行延期法案」を提出。秘密法を争点に!
- 2014年 11月 19日
- 交流の広場
- 杉原浩司
11月18日午後、民主党が維新の党と共同で衆議院に「特定秘密保護法施行
延期法案」を提出しました。18日午後に行われた日弁連の院内集会の場で
も、福山哲郎民主党政調会長らが明らかにしました。11月14日に、共産党、
社民党、無所属の山本太郎、糸数慶子議員により秘密保護法廃止法案が提
出されたのに続く動きです。
解散直前の提出であり、当然ながら成立は困難ですが、最低限出すべきも
のをなんとか出したというところでしょうか。これすら、市民による廃止
や施行延期を求める働きかけなしには実現しなかったのではないかと思い
ます。秘密保護法の是非を総選挙の争点に押し上げていくために、意味を
持つ動きだと思います。
「特定秘密保護法施行延期法案」を衆院に提出(11月18日、民主党ホームページ)
※法案要項などのリンクも掲載
http://www.dpj.or.jp/article/105469
<参考>
特定秘密保護法も延期せよ-法務委質疑
(11月16日、階猛議員[法案提出者の一人]ブログ)
http://shina.jp/a/activity/7901.htm
なお、「秘密保護法」廃止へ!実行委員会は18日午後に「秘密保護法施行
するな!」行動を行いました。約130人で国会正門前行動を行い、様々な
市民団体、個人から発言を受け、国会議事堂に向けシュプレヒコール。終了
後、秘密保護法施行準備室が入る中央合同庁舎第8号館(首相官邸そば)
前に移動。建物に沿って横に広がり、プラカードを掲げてシュプレヒコー
ルをぶつけました。その後、内閣府の守衛所前で安倍首相や北村滋内閣情
報官らに宛てた要請書を読み上げ、提出しました。
秘密保護法施行やめて、市民訴え 国会前、日弁連集会も(11月18日、共同)
http://www.47news.jp/CN/201411/CN2014111801001716.html
また、実行委員会は17日、全ての野党に対して、衆議院選挙の公約に秘密
保護法の廃止あるいは抜本的な再検討に関する政策を入れるよう求める以
下の要請書をファックスにて送付しました。秘密保護法の問題点も整理さ
れていますので、ご一読ください。
★ぜひ、皆さんも各政党や地元の候補予定者に対して、秘密保護法の廃止
(ないしは抜本的再検討)を政策に掲げるよう、急いで働きかけをお願い
します。
—————————————
【要請書】 2014年11月17日
衆議院選挙の公約に
秘密保護法の廃止あるいは抜本的な再検討に関する政策を入れてください
党代表 殿
「秘密保護法」廃止へ!実行委員会
(連絡先 新聞労連 03-5842-2201)
1 要請の趣旨
にわかに12月に衆議院選挙が行われる情勢とされています。
私たちは、市民の知る権利を侵害する秘密保護法の廃止を求める市民団
体です。私たちは、秘密保護法を廃止するための法律案を国会へ提出し審
議・可決することを各政党に求めてきました。
来る、衆議院選挙の貴党の公約に秘密保護法の廃止あるいは抜本的な再
検討に関する政策を入れていただき、市民の選択の材料としていただきた
いと思います。
2 要請の理由
(1)おさまらない市民の反対の声
7月に秘密保護法施行のための施行令と政令、運用基準案がパブコメに
付されましたが、難解な内容にもかかわらず、約2万4千の意見が提出され
ました。
10月14日に政府は同法の運用基準と政令を閣議決定しました。
さる7月31日、国連自由権規約委員会は、秘密指定には厳格な定義が必
要であること、ジャーナリストや人権活動家の公益のための活動が処罰か
ら除外されるべきことなどを日本政府に勧告しています。政府は12月10日
に同法を施行するとしていますが、市民の批判の声はますます高まってい
ます。
(2)秘密保護法の根本的な問題点
秘密保護法には、つぎのような本質的な問題点があり、私たちは、これ
を廃止する以外にないと考えています。
別表と運用基準を総合しても、秘密指定のできる情報は極めて広範であ
り、恣意的な特定秘密指定の危険性が解消されていません。秘密保護法に
は、違法・不当な秘密指定や政府の腐敗行為、大規模な環境汚染の事実な
どを秘密指定してはならないことを明記すべきですが、このような秘密指
定を禁止する明文規定がありません。運用基準にこのような規定が盛り込
まれましたが、法自体に盛り込むべきです。特定秘密を最終的に公開する
ための確実な法制度がなく、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく
廃棄されることとなる可能性があります。政府の恣意的な秘密指定を防ぐ
ためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財
政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要で
あることは国際的な常識ですが、独立公文書管理監などの制度にはこのよ
うな権限と独立性が欠けています。スタッフの秘密指定機関へのリターン
を認めないこと、すべての秘密開示のための権限を認めること、内部通報
を直接受けられるようにすることなど、運用基準レベルで容易に対応でき
る重要なパブコメ意見が出されていましたが、これらの意見すら修正案に
は取り入れられませんでした。運用基準には通報制度が作られましたが、
実効性のある公益通報制度とはいえません。適性評価制度は評価対象者や
その家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また医療従事者など
の守秘義務を侵害する可能性があります。刑事裁判において、証拠開示命
令がなされれば、秘密指定は解除されることが逐条解説によって明らかに
されましたが、証拠開示が命じられるかどうかは、裁判所の判断に委ねら
れており、特定秘密を被告人、弁護人に確実に提供する仕組みとなってい
ません。暗黒裁判となってしまう危険性があります。ジャーナリストや市
民を刑事罰の対象としてはならないことは、ツワネ原則にも明記されてお
り、自由権規約委員会からも指摘を受けましたが、法は公務員以外の第三
者を対象とした特定取得行為の処罰を規定しています。
(3)秘密保護法廃止の是非を衆議院選挙の争点にして下さい
国会には秘密保護法の廃止法案が共産党と社民党などから提案されてい
ます。しかし、国会での大きな論議にはなっていません。今も、市民の多
くがこの法律の施行に反対しています。国会の監視機関も機能していない
衆院の解散中に法を施行することは暴挙以外のなにものでもありません。
各政党におかれては、市民の懸念する秘密保護法の今後のあり方につい
て政党公約の中できちんと取り上げ、市民の選択の材料として下さい。多
くの政党がこの法律の廃止ないしは抜本的な見直しを公約することを願っ
てやみません。
私たちは、秘密保護法の廃止ないし抜本的な見直しを公約される政党と
議員候補者を全力で応援したいと考えています。
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