誇りある豊かさをめざす沖縄の統一候補は? 総選挙への期待(上)
- 2014年 11月 27日
- 時代をみる
- 沖縄河野道夫
翁長知事の支持母体「ひやみかち・うまんちゅの会[1]」は、12月14日投票の衆院選挙四小選挙区すべてで選挙協力をしています。しかし無所属は、四区の仲里利信氏(元県議会議長)だけで、他の三人はそれぞれ日本の所属政党[2] から立候補します。これは残念でなりません。
知事選挙を通じて沖縄は、保・革のカベだけでなく政党や会派の間の障碍を乗越え、「沖縄対日本」の構図を作り、沖縄の主体性を鮮明にしました。それをこのチャンスになぜ発展させないのでしょうか。たとえば「誇りある豊かさをめざす沖縄」という政治団体で四人を統一候補にすることもできたはずでしょう。告示に間に合わないなら、当選後の新会派結成に期待しています。その場合、既存会派から離脱して参加する者が、ほかにも必ずいるでしょう。なぜなら「誇りある豊かさ」は、どの地域でも迫られている課題であり、また日本をはじめどの国でもそれが求められているからです。
国連開発計画の1994年「人間開発報告書」は、経済成長は目的ではなく、現在と将来の世代が「この世に生きる条件を保護し、あらゆる生命体が依存し合う自然体系を尊重」するための「一つの手段」と宣言しました。日本でも、政府の2012年度委託研究が、「GNPの急激な伸びにかかわらず、1970年代以降、国民の幸福度や生活満足度は一向に向上していない」と警告しています(下線筆者)[3]。翁長の「誇りある豊かさ」も、精神的な豊かさの手段としての物質的豊かさを求めることで、それが逆転している現状を鋭く突いています。
日本は「幸福度や生活満足度」を追求しているとはいえません。そうできない事情が一つ思い浮かびます。沖縄に対して意図的な差別政策をとってきたため、幸福や満足や誇りを感じるヤマトがいるとすれば、よほど鈍感か自己中心の者だという事情です。この選挙は、日本が「誇り」をとりもどすにはどうすべきかを沖縄から提案する選挙であり、それはヤマトの政党の名でなすべきことではないでしょう。
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[1] 和訳すると「さあ起ちあがろう、みんなの会」。構成団体は、社民・共産・社大・生活各党、県議会会派の県民ネット、自民を除名された那覇市議会の新風会など。
[2] 一区(那覇市など)=赤嶺政賢(共産)、二区(米軍基地の多い中部)=照屋完徳(社民)、三区(名護市など北部)=玉城デニー(生活)。四区は那覇市よりも南部と離島。
[3] 2012年3月京都大学「持続可能性指標と幸福度指標の関係性に関する研究報告書」p4。これは2011年度内閣府経済社会総合研究所の委託研究。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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