衆議院総選挙に当たっての要望書
- 2014年 12月 1日
- 評論・紹介・意見
2014年11月27日
○○党 党首
○○○○ 様
衆議院総選挙に当たっての要望書
中野和子(TPPに反対する弁護士ネットワーク・事務局長)
山根香織(主婦連合会・会長)
醍醐 聰(TPP参加交渉からの即時撤退を求める大学教員の会・呼びかけ人)
貴党におかれましては間近に迫った衆議院総選挙の公約策定にご多忙のことと存じます。
私たちは目下、交渉中の環太平洋連携協定(TPP)には関税分野でも非関税分野でも、国の主権と国民益を侵害する重大な問題が含まれていると考え、国会にも国民にも情報を公開しないままの合意はあってはならないと訴えてきました。それだけに今回の衆院総選挙で各党がTPP交渉に関してどのような公約を掲げるのかに強い関心を寄せています。
今日までのTPP交渉の中で、わが国は農業分野の関税の完全撤廃、その他の分野の規制の大幅な緩和あるいは撤廃を迫るアメリカからの強い圧力にもかかわらず、かろうじて聖域を守ってきました。その背景には、交渉参加各国の国民各層の間での反対運動に加え、わが国では衆参両院の国会決議、与党自民党内の決議が後ろ盾になったものと思われます。
今回の衆院総選挙にあたり、自由民主党はTPPに関して、「わが党や国会の決議を踏まえ、国益にかなう最善の道を追求する」という文言を公約に明記すると伝えられています。しかし、こうした公約には重大な懸念があると私たちは考えています。
その一つは、「党や国会の決議を踏まえ」という文言です。その意味するところは決議の趣旨を尊重するという精神規定であってはならず、文字通り「決議を厳守して交渉に臨む」という意味でなければなりません。
もう一つは、「国益にかなう最善の道を追求する」という文言です。このような文言は決議の実現を「努力目標」と解釈する余地を含む恐れがありますが、それは国民に対する約束を反故にするものです。国会の決議の厳守(実現)は努力目標ではなく、日本が譲ることのできない「生命線」です。もし、この「生命線」が守れないなら、交渉から離脱するのが決議に忠実な道であることを銘記していただくことを強く要望します。
貴党におかれましては独自の公約を掲げられるものと存じますが、今回の選挙期間中の論戦ならびに選挙後の国会審議等において、自民党の公約が孕む上記のような懸念を厳正にチェックしていただき、国民との約束を反故にするような決着を許さない論戦を尽くしていただくよう要望いたします。
さらに、交渉の進捗に合わせて国会と国民に十分に情報を公開し、世論を喚起ずると謳った決議が今日まで全く履行されていない現状を放置できません。貴党におかれましては、こうした現状を改めるよう、政府に働きかけていただくことを強く要望いたします。これは国民主権の根幹にかかわる問題であり、うやむやにされてはなりません。
以上は私たちにとどまらず、多くの国民に共通する貴党ならびに国会への期待・要望であると確信しています。誠意ある対応をお願いいたします。
以上
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5061:141201〕
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