本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(75)
- 2015年 1月 1日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
2014年を振り返って
2014年を振り返ると、結局は、「国債」と「金」とを巡る、世界的な「金融大戦争」における「最終決戦の年」だったものと感じている。具体的には、「国債を守る陣営」である「日米欧の先進国」にとっては、「国債価格の暴落」を防ぐことができ、また、「貴金属」や「原油」の売り叩きにも、ある程度の成功を収めることができたが、一方で、「量的緩和(QE)の終了」や「オランダの金(ゴールド)返還の動き」などのように、実質的には、「打つ手が無くなりつつある状況」とも言えるのである。
また、今年の特徴として挙げられる点は「世界的な株高」であり、実際には、いろいろな市場で、史上最高値や年初来の高値を更新し続ける強さを見せたが、この理由としては、「資金の溢れ出し」が挙げられる。つまり、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」が年次報告書で指摘したように、「各国の中央銀行が、大量に国債を買い付けた資金」が、回りまわって、「株式」や「土地」へ流れている状況のことである。
しかも、この時に、「通貨の番人」であるはずの「中央銀行」が、いつの間にか、「国債の番人」に変化してしまい、「国家」や「通貨」への信認が揺らぎ始めている。その結果として、ヨーロッパの国々が取り始めた行動は、「リパトリエーション」という「海外に保管されている自国の金を国内に戻す動き」であり、前述のとおりに、「オランダ」は、突如として、「122トンの金」をアメリカから返還してもらったのである。
また、この時に注目すべき点は、大膨張中の「中央銀行のバランスシート」だが、現在の問題点は、「信用乗数」が急低下していることにある。つまり、「マネタリーベース」という「中央銀行が出す資金」は増えているものの、「マネーストック」という「市中に流れる資金」は、ほとんど増えていないのである。その結果として、現在の「信用乗数」は「約3.5倍」という危機的な水準にまで低下しているが、この数字が「1」にまで低下したのが、「1991年のソ連」だった。
つまり、「中央銀行が出す資金」と「市中に流れる資金」が、同じ金額になる状況のことだが、この時には、全ての資金が「紙幣」となってしまうが、このことが、いわゆる「ハイパーインフレ」と呼ばれるものである。そして、現在は、その前の「ギャロッピング・インフレ」の段階だと考えているが、この時の特徴は、「景気の急回復」であり、また、「株高」でもあるが、このことは、「国債を守る陣営」が、刻一刻と「敗戦」に向かっている状況を意味しているのである。(2014.12.04)
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干支から見る2015年
2015年は「乙未(きのと ひつじ)」という暦になるが、「乙」が意味することは、「甲」で出た芽が「ひょろひょろと伸びる様子」であり、また、「未」は「昧」に繋がり、「世の中が暗くなる様子」を表している。そして、二つを合わせて考えると、「2015年」は「2014年に起きた出来事」が、より一層、進展しながら、同時に、「世の中が暗くなるような事件」が起きることが予想されるが、この点については、「デリバティブ(金融派生商品)の完全崩壊」が考えられるようである。
つまり、「2014年10月」に、「FT」で報道された「デリバティブのルール変更」であり、実際には、「第二のリーマン事件」が起きる可能性のことだが、この「デリバティブ」については、総額が「700兆ドル(約8.4京円)」という、まさに、天文学的な数字になっている。しかも、本来ならば、「2007年から2008年の金融大混乱期」に、全てが明らかになるはずだったが、実際には、「飛ばし」のような状態になっており、いまだに、人々が問題点に気づいていないのである。
このように、「2015年」に予想されることは、最初に、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれる「デリバティブ」の完全崩壊だが、今回は、「2008年のリーマンショック」の時とは違い、「量的緩和」という名の「先送り政策」が使えなくなっている。そのために、今後は、「国債価格」の下落とともに、全ての先進国で「紙幣の大増刷」が始まるものと思われるが、この時に予想されることは、多くの予想に反して、「株式」や「貴金属」の値上がりとも考えられるのである。
つまり、富裕層から「質への逃避」が始まるものと考えているが、実際には、「預金」や「国債」などの「フィアットマネー(政府の信用を基にした金融商品)」から、「貴金属」や「株式」、そして、「土地」などの「実物資産」へ、資金が移動することが予想されるのである。そして、その後に、徐々に、一般大衆へと、この動きが広がっていくものと思われる。
そして、最後の段階では、「お金を受け取った途端に、市場で、商品に交換する」という「換物運動」にまで発展するものと考えている。つまり、このことが、いわゆる「ハイパーインフレ」と呼ばれるものであり、基本的には、「インフレ率」や「金利」が「10%台」に到達した時点で、このような状態に変化するものと考えているが、それまでは、いろいろな市場で、バブル状態が発生することも予想されるのである。(2014.12.04)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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