マンション生活で知り得た社会問題を考える (2) -マンション管理集団と個人の人権問題-
- 2015年 1月 4日
- 評論・紹介・意見
- マンション住宅問題住民自治羽田真一
以下に記す出来事は羽田の私憤だと受け留められそうだが(私憤にあらず公憤)、堅い理屈の羅列よりも受けた事実の方が説得力があると思うから知った真実を訴えたい。私憤は偏った意見となるからダメだと言われそうだが、逆に事実が正しければ、そこから理屈を引き出すことができると信じている。出かけた法務局の役人は私の説明を聞いて、軽々しく「人権問題」と言うな、(小さい)マンション問題如きを持ってくるなと、さも「人権問題」は俺たちが認めて「人権問題」なんだといわんばかり。個人が困り果てて相談に来ているのに。事が本当に事件にならなければ当局は動かないのが日本なのだ。
当マンション全体(正確に言えば管理組合の中枢)が管理会社支持一色に染まっている。それが問題の全てである。管理組合の運営原資は全て住民組合員が納める[管理費*] である以上、住民が組合の主役でなければならない。そんな悪会社なら住民で声を上げて追い出せば良い、そのための仕組みもあるではないかと、公共機関も一部識者もそうおっしゃる。それはたてまえ論で現実はそうならないのだ。マンション全体が管理会社シンパに操られ、一般の住民が怖くてもの言わない状態で、異状に気付き個人が異論を発したらどうなるか。それが今の私が陥っている状況である。賛同して声を上げる人がいないのだ。その状況に気付いたが、正義が通るまで抗う覚悟である。管理組合如きでその集団の決めたルールに従わなければならないのか、従わなければ罰を受けねばならないのか、彼らは管理規約を平気で破りながら集団の圧力を押し付けてくる。一自由人個人としてそれに屈する訳にはいかない。自分の人権を自分で守らねば成らない状況にある。
1. 管理会社中心の当マンション管理組合の仕組み
理事長になった2011年には、すでに管理組合の支配の仕組み:管理会社中心の4者体制が出来上がっていた。4者とは、①管理会社(大手不動産会社の子会社)、②管理組合の専門委員会(住民側の特別支配グループで理事会より優位に立つ)、③前管理人(管理会社の代理人の働き)、④コンサルタント会社(大修繕工事を差配)の四角形である。彼らの要に全ての実務を取り仕切る前管理人がいる。正常な管理組合では管理人が王様?は常識では理解できないのだが。管理規約では住民の代表たる理事会が管理活動の中心であるべきだが、短期交代の素人理事長よりも長期任期の事情に通じた専門委ボスが全てを先取り審議決定し、理事会は単なる承認機関の位置づけであった。これは2000年に導入された「エセ自主管理」体制に由来する。住民の高額な管理費の減額要求を上手く利用して、管理会社とコンサルタントの2社が運営方針を主導し、親会社出身?の前管理人を送り込んで (導入には専門委が関与)実務を独占させた。形骸化した理事会は前管理人依存で運営を進める。素人理事長など老練管理人の手の平で踊らされているに過ぎない。監事はチェック機能すら自覚していない。専門委は彼らに都合よく管理規約を制定・修正・改廃する。単にくじ引き順番で選ばれた理事たちには住民の代表の自覚も行動もない。何よりも重要なのは住民の意識であるが、もの言う有力者は管理会社様さまであり、一般の住民は無関心を装っている。理事会は広報活動には意図的に消極的であり、住民がもの言えるのは年一度の定期総会のみと言ってよい。それも限られた議題中心と用意された八百長質問であり、不規則発言は周りから阻止される。これではもの言わぬ住民が出来上がり、全ての運営に管理会社の意向が幅を利かす不自由なマンションが出来上がるのである。残念ながら、自主意識のある住民は早期に他所へ引越して行ったようだ。
2. 抗う個人は村八分の人権侵害が待っていた
このような支配体制の中で管理がおかしいと気付き、個人が声を上げるとどうなるかを実体験の例を挙げてお示しする。これを感情的だとか偏見だとかどう判断されても構わないが、単なる私見でないことは、多くの体験した事例をウソで組み立てることは出来ないと言いたい。現実は事実である。上述の組織でマンションという閉じられた小社会集団を操れば、抗う個人を皆で叩いて排除することが可能なのだ。時には集団が同意すれば管理規約など無いも同然となり、犯罪すれすれの制裁ができるから一般住民は怖くて沈黙する。手を打っておけば、下級の公共機関など大企業親会社の力で動かせる。何度も経験して挫折感を味わらされた。だから、私憤と言われようと、正常な世の中の実現を目指して、弱者は外部にできるだけ広く訴えて力を得たい。
2.1 端緒となった騒音トラブルで正体見える
この事件は当方が理事会と対決するきっかけとなった。理事長就任のまだ少し前で、核心の前管理員や組合組織の正体を知ることになった重要な事件なので忠実にお伝えしたい。
2011年4月より当方上方から騒音が何日も続いた。上宅の生活音に連動した、間欠的な種々の機械音の連続で、我慢の限界を超えたので管理人に訴えたが動かなかった。「もっと上方の音」と決めつける。直接上宅を訪問し(電話が通じず)、管理人立会いで音源確認を要請しても隠して見せず。騒音のオンパレードの5月連休を経て、6月12日(日)夜9時、昼間に打合せた管理人と専門委を中心のチーム7名が音源調査と称して上がり込んできて集団で脅し・口封じをかけてきた。6月28日突然に上宅は引越した(管理人が関与)。その日から騒音はピタリと止み、上宅が音源であったことの何よりの証拠である。その後、調査してみると上宅(賃貸)を仲介した隣市の不動産屋が何と管理員の自宅近くという関係が判明した。彼が常に上宅の肩を持ち幇助する行動をした理由が分かった。彼がその不動産屋と組んで上宅を入居世話した賃貸ビジネス疑惑が浮かんできた。この騒音トラブルは、5月から理事長となって、意図せず組合管理の仕組みと管理人支配を知り、異を唱え始めた個人を管理集団の力で恐怖を与え沈黙させるための攻撃第1弾であったと位置付けることができる。未経験者には後付けの理解がやっとである。チーム首謀者に疑問点を文書で問い質したが完全無視された。理事会に苦情処理委員会の設置を提案したが拒否された。
2.2 臨時理事会を開いてバッシング、連判状を出される
6月・7月と初めて会議の議長を務めた。会議を進めるために前回のまとめ・次回の準備・連絡等で1か月が直ぐ過ぎる。この間にも会議の席で管理人や専門委たちによる理事長への嫌がらせを受けた(味方なく孤立)。議事録には管理人の不都合事は巧妙に記載されないから、これは住民に実態を伝える必要があると考えた。各戸に伝える最適の手段を検討した結果、手紙文書の全戸配布を思いついた。配布に至るまでの労と費用を厭わなければ、当方の情報を確実に素早く届けられ手元に残る最良の方法と考え、2011年7月15日に最初の配布を実行した。これは現在も私の基本的抵抗手段として位置付け続けており、誰が何と言おうと止めるつもりはない。内容は管理人の雇用契約の問題を採り上げた。自主管理初年度の契約のみで後は継続承認でよい(契約書には1年限り)との彼の主張に、私は雇用主の理事長が1年交代だから、その都度契約書を交わすべきと考えている。管理人は配布後直ぐ1週間の有給休暇を取って反撃に出てきた。総務理事(管理人代理役)に8月6日に管理人抜きの臨時理事会を設定させ、議題も予定していた「管理人の雇用問題」から「理事長の理事会を通さぬ手紙配布」を優先させ、また雇用問題は理事に契約書を見ていないから次回に回せと言わせ回避されてしまった。会議の主導権を総務理事に奪われ、新米理事長の不徳の致すところの敗北であった。その上、翌日には、総務理事が回って理事全員が押印した、私の手紙配布を非難する連判状を作成し掲示板に大きく貼り出すと共に、カラーコピーを全戸に配布して見せしめを行った。しかし、理事会を通していたら手紙配布は止められていたであろう。今でも、事を進めるにはつまらないルールなど無視することも必要と考えて実践している。別に連判状など何の影響もない。
2.3 「決別宣言」を提出し、「辞任勧告」を受ける
臨時理事会の最後に、総務理事が管理人と専門委たちが理事長の過激な表現を謝罪しない限り、今後仕事をボイコットすると言っているから和解しろと言ってきた。当方は謝る理由などなく和解には応じないと答えた。しかし、状況は当方が正攻法で正常な理事会運営を目指したにもかかわらず、すでに理事が取り込まれ、理事長提案は殆ど否定し敵対関係が見えてきたので、8月20日に「決別宣言」を提出配布して正常な理事会の実現まで活動を休止することにした。理事会に出ないと負けるぞと忠告する人もいたが、理不尽に対抗するにはそれ位の意思を示す必要があると行動に移した。休止中も一生懸命組合の改革案を検討し、余りにも管理中枢に有利な管理規約になっていることを知り「Hプラン」としてまとめ全戸配布した。住民の自由な討論の場や各種の委託契約年数の制限の設定、役員選出制度の改善や役員のリコール制度の導入などである。
その後、各種の嫌がらせを受けるに至った。無言電話・非通知電話が多く電話に直接対応できなくなった。匿名でのマンション資産価値下落を使った訴訟脅しビラを入れられた。また、時として役員や複数不明人の来訪チャイム鳴らし・誘い出しも数多くあり、玄関応接の回避を余儀なくされた。当方提案の「管理組合ニュース」が管理人に悪用され、当方の非難項目を掲示した。明らかに管理人の差配の嫌がらせと分かるものもあったが、直接証拠がなく我慢するしかなかった。まさしく人権問題だと思うのだが。
理事長不在となった理事会は副理事長を理事長代行として正常な運営ができていると強がってきた。それほど管理人中心で実務は凌げたのであろう。しかし、管理規約には重要な理事長の任務全てを代行で処理できなかったはず(例えば、会計等での公印の使用など)であるが。そうこうするうちに、当方の手紙文書配布と理事長職ボイコットを非難して、11月に理事一同による「辞任勧告」書を受け取った。しかし、その文面は勧告決議が曖昧で当方に知らせず(会議の後で掲示)代表印もなく理由内容も間違いがある杜撰なものなの
で修正を要求した。案の定、12月10日に郵送を再決議したとか、修正して理事全員の押印で再提出してきた。正月に関係の議事録とICレコーダーを取り寄せ、内容をチェックしたが納得のいくものではなかった。しかし、理事会活動を邪魔することは本意ではなく、32期がここまで進んだ段階で邪魔されたとはいえ、計画が十分に執行されず理事長の責任だけ追及されるのは癪に障るので違法といえたが「辞任勧告」を受け入れ2012年1月6日に理事長印とともに郵送返却した。理事職も辞退して1組合員として抗おうと決めた。行方を興味を持って期待していた一部の住民もいたであろう。強者に正面からぶつかって突破するのも1方法であろうが、ここは1歩退いて対処するのも良いと自分で納得している。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5099:150104〕
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