マンション生活で知り得た社会問題を考える (3) -マンション管理組合の会計問題―Ⅰ-
- 2015年 1月 7日
- 評論・紹介・意見
- マンション住宅問題住民自治羽田真一
どのような小規模の集団でも会計経理は絶対正確を期さないといけないという、昔から不文律のモラルが存在する。私は組織の健全さは会計で決まると思っている。従って、金銭を扱う部署の人間は短期交代が原則と考える。マンション管理組合は毎月所定額の住民組合員の[管理費*]が納められ、管理会社に委託された銀行口座に収納され管理される。その仕組みから理事会が事業計画に沿って予算を執行していく。会計管理が厳格に実行されるための手続きが管理規約や会計処理細則に規定されており、理事会に会計理事が任命され管理することになっている。監事は理事会・総会前に管理人のまとめた会計報告に目を通して承認し、総会では決算書の概略説明で住民の承諾を受けて終了する。実際には当管理組合では、会計実務は全て管理人の手を経て管理会社との間でやり取りされ、理事長はメクラ判押しでしかない実態が分かった。2011年理事長に就任し、毎月の理事会に出される形ばかりの会計報告のまとめが理事会の終わりに提出され、初めてその実態を知る機会となった(一般住民には知らされない)。ここでも管理側の最小の情報操作が利用され、最大限の効力を発揮している。当マンションの管理規約第78条に会計帳簿の閲覧要求ができるとある、その精神は出資者たる住民がその使い道を確かめることができるという必須の規則と考えている。これが現在大問題に発展している(Ⅱで伝える)。
1. 所々に会計問題が見え隠れする
2011年11月、私は手紙文書の配布に対して一住民 (文面から管理人と推定) と称した訴訟脅しのビラを入れられた。それで翌日、早速反論の文書をしたため、彼の在職中の会計全般を公認会計士の監査にかけよと訴えた。それに対し会計理事は個人の意見としながら(これも状況から管理人の代弁)、312万円もかかるからできないと文書で答えてきた。私は早速電話で近隣の公認会計士に調査の内容を説明して確かめてみると、費用は数十万円程度との回答を得た。明らかに管理側の会計監査を実施されたくないための勝手な言い分であった。それ以降折に触れ、組合会計の公開を要求してきたが全く無視して一度も採り上げたことはなく、住民には年一度の定期総会での大まかな会計の決算予算報告だけが唯一の情報である(住民には客観的証明[銀行口座残額証明書など]を示さない)。
先だち、私の手紙配布とともに当方に寄せられた「住民の生の声」をまとめると、会計関係のものがかなりあり、実質、会計の非公開が問題の根本にあり、住民は表で発言する機会がない状況であることを知らされた。ある理事が理事会でしつこく質問を重ねると、役員・管理人の連名で沈黙強要の文書を出され脅されたという訴えがあった。生の声は、
・管理人は高報酬・好待遇過ぎる。工事で業者との癒着の疑いがある。
・コンサルタント料が高額すぎる。専門委の仕事の中身が見えない。
・住民の立場での管理費の削減を要望する。運営刷新案の手紙に全面的に賛成する。
・小口会計で雑費の処理管理が不明である。
上宅からの騒音トラブルで音源調査と称して上宅に上がった時、南側和室のサッシのガラスが破損しており、それを見た管理人がこれは保険で直せるとして早速翌日修理させた。血がついており、自らがこれは自然割れでないと否定しながら、立会いもなく保険の適用を決定する管理人の王様ぶりを目の当たりにした。保険金適用の修繕工事の一覧リストは総会決算には付けられず実態が疑わしい。
2. 会計報告の不備を突く
2.1 理事長報酬遅延払いと管理人の突然の退職事件
2011年8月に「決別宣言」を出して理事長活動を中断した。役員報酬は半年ごとにまとめて支払われる。4月から8月まできちんと役目を勤めて来たから、規定に従って受け取る資格があるか確認したが12月になっても全く音沙汰がないので、12月3日文書で管理人に知らせた。しかし、何の返答もなく12日に管理事務所を訪ねて初めて管理人は20日頃当方の口座に振り込まれる予定と答えたが謝罪はなかった。翌13日に会計理事から10月8日に役員報酬が管理会社から振込まれたが、当方が欠席しているため当方分は雑費処分し改めて振込む、その処分は12月10日の理事会会計資料にありと写しを付けてきたが、当方への知らせは催促するまで一切なく、会計処理の工作時間は十分(報告は2か月遅れ)で嫌がらせ遅延払い(考えようでは横領)の疑いが成り立つ。銀行が関与しているので銀行側の印が押された振込手続き書なら納得すると書類を要求したが、47日後、管理人の退職(1月31日)後の2012年2月7日に管理会社内での手続き書の写しだけを寄こした。明らかに決定的証拠ははぐらかした。追い詰められると、理事会一同で理事会に来て説明しろと逃げ、その後は無視した。しかし、その32期総会資料での決算は説明できない誤りを含んでおり(後述)、それを指摘したが理事会は沈黙で答えた。
2011年11月、理事長の年齢質問や契約更新のための再三の履歴書提出の要求を管理人がはぐらかしてきたので、敷地内に出てきた機会に履歴書の件で話し合おうと近寄ったところ、敷地内で雲隠れし、当方が事務所で待っていると帰ってきて事務所に入らず、上階宅に入りこんで出てこなかった。その時誰かが警察に通報したらしく間もなく事務所前にパトカー3台がサイレンも鳴らさず侵入してきた。驚いたことに同時に当マンションの中高年の男性連中が多数参集してきた。若い警察官一人が当方を簡単に尋問して終わったが、警官は管理人と外で雑談を交わして帰って行った。どうみても警察が示し合せて管理人と組んで行動したとしか見えないので、数日後、警察署へ質問に出向いた。しかし、対応した警官は「けんかの通報があったから」「何でもなかったから帰ってきた」と答えただけで納得できるものではなかった。自治・人権の重要な問題と考え、理事会に採り上げるよう要求したがこれも全く無視した。その後、管理人は体調不良を理由に12月から日勤通勤に変更し、理事会はその契約違反を追認した。かれが当方の辞任後の1月末を以って突然辞任したのは事務所の空白による会計調査を避けるためであったと推定できた。その後3月に臨時総会を開いて管理会社継続を承認した。予定稿に沿った動きの結果であろう。余りの用意周到さに唖然とする他ない。
2.2 総会での会計報告ごまかし発見
上記会計処理で疑問点があったので、2012年の32期定期総会資料での会計報告を精査すると明らかに説明ができない2項目を発見し、手紙文書で問い質したが、理事会はこれを無視した。会計処理不正の疑惑は未だに疑惑のまま放置されている。文書で知らせても住民の声も上がらぬ異様さは何処から来るのか。
①管理人の委託料:12月・1月日勤時30万×2+通常38万×8+2月・3月臨時管理人
460,551+緊急受付35,910×2=4,172,371が正しいが、計上4,272,871で10万過剰
②役員報酬:前期[690,000-理事長60,000]+後期[理事長60,000+三役7,000×6×4+理事・専門委5,000×6×15]=1,308,000が正しいが計上1,368,000で6万過剰 合わせると
計16万過剰となるが、これを文書で指摘したが理事会側の反応なし。
2.3 管理人が扱う現金小口会計問題
管理マニュアルには月10万円程度(現実には30万円)の管理人が扱う小口会計があり、理事会には2か月遅れで報告がある。原資は管理会社に預けている管理費口座から必要に応じて管理人の持つ口座に振り込まれる。その他、住民が直接持参する管理費や自転車登録料などで、出金は事務用品やプランター花維持費であるが、役員報酬の一部、税金や管理人夫婦の健診代もあり曖昧である。それが月一度20日締めの手書きで報告され、それを基に管理会社で会計費目に計上するというが出納の正しさを証明する通帳・帳簿で示されたことは無い。これを指摘したら小口会計を説明なく凍結した。その後、総会での八百長質問をさせて会計理事関与を強化したからと小口会計を復活させた。
2.4 専門委仕事の費用計上が見当たらない
専門委は本来マンションの修繕工事推進が仕事である。それで近年の総会資料の大規模修繕工事関係費用を調査したところ、専門委への支払いが全く計上されていないのに気づいた。しかし、専門委細則にはちゃんと専門委にかかった費用は管理組合が負担するとある。実際に理事会に入ってみると、大規模修繕工事は専門委が関係して連綿と続けて実施している。先の工事が終われば次の工事のための調査・計画・実施・監理が繰り返され、そのためのマンション側発注者として専門委が各種条件やデータを提供する。そのための工事前後のアンケート実施・要望案の作成などを管理人を仲介してコンサルタントと協業していた。20年以上続けているコンサルタントが専門委に参加して受注できる仕組みが健全と言えるか。住民はいつも決まったものを押し付けられるだけである。専門委が妥当としたものを反論できる住民がいるだろうか。アンケートは正しく3者の協業である。全て工事費の中に含まれているとしか考えられないが、文書で質しても無回答無視を決め込む。
物の本によると工事受注業者からの発注者への見返りは公然の秘密とされている。3者のいづれもが長期継続就任ばかりである。この疑問を4月に文書でぶつけたら5月の総会前に専門委6名のうち一人を残して説明もなく辞任した。直ぐに匿名で「この騒動はお前が悪い、クソヤロウ」と書いてビラを入れて来た。明らかに総会逃れをしながら、その後、メンバーを理事会役員に送り込んで主導権を握って復活している。業者を通したリベートであれば、素人には管理組合の会計閲覧では解明は無理である。公的機関に訴えたが採り合わない。事件が事件にならないのだ。だから事件が起こるのだ。
3. 会計閲覧が履行されないので簡易裁判所の調停を申立て
マンション内にいくら手紙文書(理事長宛要望とも)で訴えても会計問題を全く採り上げなかった。困り果てて市の法律相談に出かけ相談したら、簡易裁判所の調停制度を紹介してくれた。早速、窓口で書式をもらい申立て理由を付けて提出したら、書直し2度目で受け付けてくれた。是非内容を理解して調停して欲しいと願い数ページの経過概要を付けたが、調停員は忙しいからと窓口で返却された。1か月後の2013年7月に第1回の調停があり、初めに裁判官、2人の調停員と相手方の管理組合理事長と同席顔合わせをした。その後、調停員と当方で調停が開始され、約30分の申立て理由説明を求められた。残念ながら、彼らとの対話から彼らがマンション問題に素人だと判断せざるを得なかっただけでなく、恐ろしいことに彼らがどうも理事会側に立っているなと分かったことだ。閲覧したい帳簿リストを後日に提出するよう、また閲覧時間制限の要請があった。さらに2度目・3度目の調停で調停員は、理事会が修繕工事の準備で忙しいからリストをもっと絞るよう要請された。当方は理事会が保管している帳簿名も知らず、絞り過ぎると閲覧により不正を確かめる目的が達成できないと答えたが、しまいには応じないなら却下するかとまで言われた。直接関係ない理事長給与を受け取る資格があったのかとまで問われた。理事会は議事録や管理組合ニュースでの調停への言及を避け、「組合に何ら非がない」とか、まだ調停に出ていない「帳簿リストを用意した」とか、住民に最小限の情報とウソを伝えた。10月4日の3回目の調停で調停員が理事長が「帳簿は見せる。方法は誠意を持って話し合って決める」と言っているから合意したら、と言ってきた。それで念を押してOKを得たので調停を止めることに合意した。後で、最後の裁判官の前で書類を交わして終わるべきだったと反省するしかないが、調停の目的を達成したのだから同意したのだが、申立て者個人に対し理事会側の会社ぐるみで、調停員まで取り込んだ作戦にまで考えが至らなかった。裁判所が公正であるという思い込みが謝りであると認識した。お前が甘いと言われればそれまでだが。
以降、理事会側は調停取り下げで無効だと、何かにつけてこれは最大限利用した。しかし、何と言おうと相手が閲覧に同意したからこそ調停を止めたのだ、その事実は覆せないはずだ。残念ながら、現在に至るまで会計閲覧は理事会側の策略で実現しておらず現在進行形で、相手は刑事訴訟をちらつかせている。その後の経過こそマンションの社会問題の核心だと考えるので、続けて1報を設けたいと願っている。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5105:150107〕
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