アベノミクスとは何だったのか? 5
- 2015年 1月 6日
- 交流の広場
- アベノミクス大野 和美
個人消費に依存する耐久消費財産業は、経済の高度成長で中心的役割を果たしつつ、その過程で増大した一定所得を確保出来るようになった社会層(中間層とされる階層と重ねておく)に依存する。この中間層が増えないかぎり、個人消費に依存する自動車産業を中心とする耐久消費財産業は拡大できない。他方、中間層は耐久消費財産業を中心とした経済拡大がなければ増えないし、従って受容も増えない。
第一次世界大戦という西欧諸国が史上初の総力戦にはまりこんだ事態に漁夫の利を得たアメリカが初めて産業として確立できた自動車産業は、資本主義のそれまでの展開が自ずと生み出した産業とは言えない。と同時に、自動車産業も自らに代わりうるような新たな産業を育ててはいない。有限な化石燃料節約的な装置の開発、電気や水素をエネルギーとするエンジン開発が進むが。それは地球環境に無意味ではないが、経済的には買い換え需要を誘発するだけで自動車産業の拡大を保証するものではない。
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