マンション生活で知り得た社会問題を考える (6) ―マンション管理で管理規約を悪用するな
- 2015年 2月 1日
- 評論・紹介・意見
- マンション住宅問題住民自治羽田真一
倫理を欠いた集団組織(例、当マンションの管理中枢:管理会社、コンサルタント、前管理人=現会社派遣、旧専門委=現理事会とOB住民)の権力の恐ろしさを体験している。
即ち、管理組織の独占:①役員人事、②会計、③情報を全て独占してコントロールすると絶対王国が実現し、主役の住民は手も足も出なくなり沈黙する。その要の武器が管理規約である。不都合部分は無視するか違反する、改訂の機会をねらって都合の良い規約・細則にすり替え、合法を装える。監事などオンブズマン的機能は消える。一人抗う羽田は敵視され孤立・排除される。これが当マンションの現況である。
1. たかが管理規約ではない
2014年1月26日理事会は給排水管交換工事内容を問う臨時理事会を開催した。予め各戸に配られた総会資料には委任状提出期限は1月24日(必着)とあったが、23日に事務所は未提出者に催促状を出し締切りを25日18時に延長していた。23日掲示板での発表では合計107票で定足数に足りなかったのが24日昼には65票増え確保されていた。これを理事会に要望書で質問したところ、理事会は管理規約に規定がないのだから締切りを変更してもよいのだと回答し、それを監事も理事会で同意した。それで済む話だろうか。小学生でも宿題の締切りは守らねばならない事を知っている。従来の締切りは総会前日であった。締切りを早くして未提出者を調べて督促状を送り付け、定足数を確保する。事務所から名指しで委任状提出を促されたら多くは応じてしまう。それで総会が成立するからこの手を使って乗り切る。それで住民の生活が左右される可能性があるのだからバカにできない。
マンションが集合住宅の形態を取り、管理組合を形成しルールが必要であることから管理規約が制定されている。その大本が国交省の「標準管理規約」である。各マンションはそれを基準に各々のマンションの特殊事情を勘案した管理規約を制定している。世の中の動きに合わせて「標準管理規約」もたびたび改訂され、それに応じて管理規約も見直され改正されてきた。しかし、そこに落とし穴があって、管理会社と(住民代表の)理事会が結託して自分たちに都合の良い管理規約に改変されてしまったらどうなるかという問題に直面している。本来、区分所有者住民のためにあるマンション管理が、 [管理費*]集金マシンと化して彼らのためのマンション管理に使われているのだ。組合の本来の目的を実現するために、その仕組みを解読することが極めて重要な課題と考え調査し発信してきた。
2.管理規約の改悪を狙う
2013年2月の理事会で突然理事長が管理規約の全廃・新設を言いだした。すでに国交省の標準管理規約の改正があったから、2010年から管理規約の改訂と会計処理細則の見直し(実は同細則は未制定)が理事会の課題として上がっていたが、毎年メンバーが半数交代する理事会では疎ましい課題として敬遠されてきた。理事長が言いだすには裏事情があって、2012年1月に当方理事長を排除したあと、3月に臨時総会で新管理体制を承認させて管理会社継続を決めたものの前管理人が逃げ出し、専門委も4月に崩壊し、現行の管理規約では規約違反の運営しか続けられなくなっていた。理事会はそれまでに生じた、総会審議すべき重要事項を黙殺して潜り抜けきた[新管理体制よりも人事の問題(後述)、パトカー呼び込み事件など]。住民への説明機会を設けることなく(説明できないから)管理会社継続を強行したつけで、理事会は常時管理規約違反の運営をせざるを得ない状況に追い込まれていたからだ。管理規約の改正は総会承認事項だからアドバルーンを上げたのであろうが、管理会社に都合のいい運営強化の道具にされる可能性が大きい(現実にコンサルタント推薦のマンション管理士と顧問契約[ \50万]して進めている)。総会直前に発表し住民に検討修正の機会を十分に与えず押し通す手順が見え見えである。大半の住民も規約など興味もなく煩わしいだけ、そこに付け入られる。羽田が提案してきた住民の側に立った管理規約(後述)の実現は遠のくばかりだ。少なくとも原案を数か月前に住民に提示し検討させ、意見交換説明会を繰り返し煮詰める手続きが絶対に必要と主張しているのだが。
3. 欠陥だらけの管理規約および細則
「標準管理規約」と当マンションの「管理規約」、また、他マンションの管理規約を対応項目で読み比べると具体的に違いが分かり管理中枢の意図が読めてくる。羽田が経験した管理規約悪用の問題点を指摘したい。誠に恐ろしいというのが実感される。
1) 総会審議事項を総会に懸けず、住民の承認を逃れる
・羽田の理事長辞任と副理事長の理事長代行は直ちに臨時総会が必要であった。
副理事長は規定では理事長を補佐する役目を逆行。理事長代行の権限規定がない。
・前管理人の勤務変更・突然の退職と委託契約の変更も同様。理事会は彼の住民への説明
なしの逃亡を幇助した。
・専門委の大量辞任は総会逃れ、修繕工事積立金の使途に深く関わり疑惑を指摘されたが
説明なく辞任した。それで総会後、4名が理事会役員で徐々に復活。
・店舗棟での内科診療所の開設 (理事長が契約、組合が広報・支援に関与、店舗改造など資金面での不明点が多く実質は総会審議事項)
2) 総会・理事会の不正な使い方
・理事会は総会承認済み事項の執行が原則、予算の変更は総会手続きを要す。
[例、修繕積立金工事予算の消化率:2010年度17%、2011年度44% これで仕事?]。
・理事会の構成は理事12人+監事2人のみが基本、非組合員の管理会社マネージャー・
コンサルタント・管理人が常時出席は違反。業者が委託先となる癒着に繋がる。
3) 管理規約に既述がないことの悪用
・広報を独占して恣意的な運用で情報操作:議事録の改竄、管理組合ニュースの悪用
[一体何を信用したらいいのか、モラルと広報活動の厳格な規定が必要]
議事録・会議資料の配布は理事止まり。回覧実施も恣意的遅らし。自由閲覧なし。
・重要課題は内容を文書で具体化して総会の承認を受けるべき
例:理事会で勝手に小委員会を設置、メンバー・活動計画など後出し悪用の可能性。
期中に保管文書整理委員会を設置、不都合文書の廃棄の危険あり(現実になった)。
4. 管理規約や細則に組み込まれた問題の条項
管理組合発足から35年、その間に管理組合は住民支配に都合の良いようにたびたび管理規約や細則を制定改訂してきた。各所マンションの管理規約等を調査して比較検討した結果、住民自治を重んずるマンション程管理規約は公明正大で余計な禁止事項が少なく、管理会社前面型のマンションほど私有意識が強く締め付け型管理が端々に読み取れる。あるマンションでは事務所を訪れると、事務長氏が役員の選び方・会計処理法・役員、管理員の役割など管理のポイントを指摘され、会計書類の束を提示された。余りの彼我の差に目から鱗であった。住民のために何が正しい管理かを考え実行することであろう。これらの調査から得た当方マンション管理規約・細則の不都合部分を指摘する。
1) 役員の任期
理事長・理事:2年間、再任を妨げない。但し、3年連続では選任しない。
専門委員:1年以内、理事会が目的を果たしたと判断する機関、再任を妨げない。
管理人:契約の有効期間は1年、3か月前に書面で申し出がなければ1年更新。
これを読むと理事長は理事2年で1年が限度、専門委と管理人は永続就任が可能となり、管理中枢の権力維持構造がどのような仕組みでできているかが見える。
2) 理事・監事の役割
理事は組合の具体的業務を担当する。監事は組合の業務の執行状況について不正を認めたら臨時総会を
招集できる[標準管理規約にあるが、管理規約には抜いてある]。
一般の理事には担当業務がなかった。指摘したら小委員会を設置したが内容は公表しなかった。監事の重要な役割を不都合として意図的に省略したのであろう。
3) 組合会計関係[詳しくは第3報、第4報で報告]
理事会は会計帳簿その他帳票類を作成保管し、組合員の請求があったら、これを閲覧させねばならない。
組合は会計業務を遂行するため、組合の預金口座を開設するものとする。
住民による会計公正のための確認監視の規定があっても実施を阻止される。また、預金口座の内容は会計業務の客観的証明であるがオープンにしない。会計の仕組みの規定と完全公開が理事会の信頼に必須である。通帳の中身を確かめた一般組合員はいない。
5. 羽田の管理規約改訂の提案(住民が管理組合の主役を実現)
私は、管理規約はあくまで管理費を納めている主役組合員の立場で制定されねばならないと主張している。標準管理規約も根本精神は住民が主役であって、管理会社・管理員はあくまで委託される従者の立場で制定されていると読める。本末転倒の関係が管理運営の不正を引き起こしている。そこで、正しい管理組合運営のために管理規約の改訂指針を提案したい。管理規約以前に健全なマンション生活の実現には、何と言ってもそれを構成する組合員住民の種々の課題を乗り越える意識意欲の高揚がなければならないと考える。
マンションの高級化、超高層化など派手な話題がもてはやされる反面、人口減少・少子高齢化社会、経済衰退化社会など既存マンションには居住環境が負の方向に激変することも視野に入れて置く必要がある。その時、ハードとしての資産価値だけでなく、ソフト即ち、集合住宅管理による本当の住み心地の良さや付加価値でマンションが淘汰される時代が来るのではないかと考えている。現状では当マンションはこの評価に耐えられるのか。
○マンション管理に資する情報資源を獲得活用する → 社会に開かれたオープンな運営
課題は多くある。マンション管理、建築土木、エネルギー、法律、防災、会計など。
情報源:インターネット、図書館専門書、業界団体協会講習、公共機関・NPO相談
他マンションとの連携・情報交流、勉強会など。資格獲得奨励制度の導入も。
○管理規約を住民のものに → お仕着せの管理規約でなく自主管理規約が理想
・役員選挙・選任方法の改善 → 意欲ある住民の掘り起し、住民による自主選挙制度
選挙管理委員会の設置(総会も含む)
・住民の声を汲み上げ活かす → 簡略要望書制度、理事に「住民の声」係委員
年一度住民による自由討論の場
・住民本位の管理組合 → 管理事務所 (住民もの) の解放、役員等リコール制度の導入
重要課題に住民投票・住民集会・意見交換会など
・組合会計の一般公開 → 積極的公開説明会の開催
・総会・理事会の改善 → 専門委・管理人・大口契約業者の継続年数制限5~10年
監事の機能独立、広報活動の積極化(掲示板使用規則を含む)、
理事の業務分担制、予算等審議項目の文書審査承認制度
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion5150:150201〕
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