アベノミクスとは何だったのか? 9
- 2015年 2月 8日
- 交流の広場
- アベノミクス大野 和美
では、最近までのIT技術の発展はどう評価すべきか。正直に言えば私にそれを明言しうる資格はない。しかし、あえて公言すれば既存産業・企業の顕著な生産性の向上に貢献したのではないか…。生産・販売・流通・情報処理での合理化が進んだと思われる。インターネットの利用と組み合わせて、資金・情報の瞬時・大量の移動・利用も進んだ。IT技術には第三次産業の新しい展開がありうるかも、との期待もあるが、現実は何も見えない。既存経済システムの効率化が進んだだけで新しく資本主義経済が展開する気配は見えない。経済のちょっとした動きを一気にバブルに仕立て上げる操作が先行しているだけである。それ以外に利益を生み出せる術がないかのように…。
以上に、現代資本主義の現状認識についておおざっぱに示した議論は状況証拠以下に代物と見なされるのかもしれない。現代資本主義はそれが内蔵する要因(新たな開拓分野の枯渇や資源制約ではなく)によっていることを説明する試みに過ぎない。ここでは、アベノミクスに代表される成長戦略の無意味を明らかにしたいだけだ。現代資本主義に成長はあり得なくなっていると想定すべきであろう。
次に、アベノミクスの第3の矢を検討する。
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