三原じゅん子議員の「八紘一宇」発言、議員辞職に値する
- 2015年 3月 30日
- 時代をみる
- 池田龍夫
自民党の三原じゅん子参院議員(自民党)は3月16日、参院予算委員会で「ご紹介したいのが、日本が建国以来、大切にしてきた価値観『八紘一宇』であります」としたうえで、同理念のもとに経済や税の運用をしていくべきだと質問した。同氏は企業がグローバル資本主義の中で課税回避をしている問題を取り上げた中で、「八紘一宇の理念のもと、世界が一つの家族のようにむつみあい、助け合えるような経済および税の仕組みを運用していくことを確認する崇高な政治的合意文書のようなものを、首相こそがイニシアチブを取って世界中に提案していくべきだと思う」と語った。
「侵略戦争」のスローガン
八紘一宇は戦前、日本の侵略を正当化するための標語として使われていたもので、侵略戦争のスローガンだった。女優・歌手から転進した三原議員はまだ50歳。右派の支持者の入れ知恵を鵜呑みにして、時代錯誤の用語を得々と語るとは噴飯ものだ。
「歴代内閣は八紘一宇に否定的な見解を示してきた。中曽根康弘首相は83年1月の参院本会議で『戦前は八紘一宇ということで、日本は日本独自の地位を占めようという独善性を持った、日本だけが例外の国に成り得ると思った。それが失敗のもとであった』と述べている。宮崎市平和公園の塔の正面「八紘一宇」と刻まれた石板は戦後の一時期、外されていた。連合軍総司令部が45年12月に「八紘一宇」を公文書で使用することを禁じた。県内の財界人が動いて「八紘一宇」の文字が復活したのは65年だった」と、毎日新聞3月27日付夕刊「ワイド特集」が、その背景を記していた。
唐突な三原議員発言に驚いた人は多かったに違いないが、報道姿勢も甘かったのではないか。この点を鋭く突いたのが天木直人氏(外交評論家)の3月19日付ブログだった。
昭和天皇も忌避していた言葉
「三原発言は、歴史を聞きかじった不正確な発言であるだけではなく、いま国際的に懸念されている日本の政治の右傾化に直結する言語道断の発言だ。三原議員はれっきとした自民党の国会議員なのに、何故国会で大問題にならないのか。 安倍晋三自公政権はこの発言を許すのか。なぜ日本の戦争責任を反省する護憲政党はこの発言を問題にしないのか。なぜメディアはこの問題の深刻さを国民に教えないのか。(一部の新聞は取り上げていたが・・)
「八紘一宇」の言源は古く8世紀の日本書紀の記述にあるが、「八紘一宇」という言葉そのものは田中智学(1861-1939年)という宗教家が1913年に使った造語であり、1930年代から満州国支配やアジア侵略を正当化する標語として軍部に使われた言葉だった。戦後は一貫してこの言葉は否定され、昭和天皇も中曽根大勲位さえも忌避してきた言葉であるのである。三原じゅん子はこの一言だけで即刻、議員辞職ものだ。安倍首相がこの三原発言を放置するならその歴史認識は同類だということだ。それほど深刻で言語道断な発言であるのに、誰も騒がない。この国は、政治家から国民まで、歴史に無知、無関心な、未来の見えない国だ。それでいいのか」
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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