アベノミクスとはなんだったのか? 11
- 2015年 4月 17日
- 交流の広場
- 大野 和美
安倍政権が「この道しかない」と声を張り上げるアベノミクスの中身は大量・多数の文書・数字で示されている。それは「官邸HP」の「アベノミクス成長戦略で、明るい日本に!《詳細版》」に羅列されている。その中には100ページをこえる報告書も複数ある。読む気にはなれない。読まなくてもカラーで見やすくした1ページの概要で充分。政策策定に関わる機関は内閣府、財務省、経済産業省、厚生労働省、総務省、農林水産省など主要諸官庁と首相及び関係閣僚さらに「有識者」と称される「お知り合い」の財界代表、経営者、大学教員を中心とする研究者などで構成される経済財政諮問会議、規制改革会議、日本経済再生本部などなど首相の指示、要求で成立した、従って雑多な「会議」をせっせと開催し、その場で作り上げているようだ。
そのあげく発足以来まる2年を経て、第一の矢:大胆な金融緩和、第二の矢:機動的な財政出動が放たれているにもかかわらず、「この道しかない」という経済成長はほとんど実現していない。安倍政権が4月以降には実質的に稼働したとみてよい2013暦年のGDP成長率は実質1.5%、名目で1.1%で、これは民主党政権下の2012年と比べて実質で及ばず、名目で僅かに上回る程度である.2012年は東日本大震災の翌年で経済活動にも尋常でない影響をいまだ抱えていた.すでにしてアベノミクスの失敗は明らかだ。
2014年のGDPの実績はさらにひどい。2014年10~12月期の1次速報を得た上での通年成長率は名目で1.7%、実質は0.0%である。この10~12月期の数字は1次速報値であり、より実態に近いはずの2次速報値はカウントされていない。また、2015年2月16日に発表されたこの2014年暦年の数値は、2015年3月8日に公表された2014年7~9月期の成長率の下方修正は織り込まれていない。場合によっては2014年のGDP実質成長率はマイナスに転落しかねない。もちろん、ご存じのようにはかばかしくないのはGDPだけではない。
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