三人寄れば文殊の知恵 – 200人と534人
- 2015年 5月 1日
- 時代をみる
- グローガー理恵松井英介
福島発の「明るいニュースをふたつ。ひとつは、「子ども脱被ばく裁判」です。来る6月23日、東京地裁での第一回口頭弁論が開かれます。
この裁判は、3.11原発大惨事の年2011年6月24日に、郡山市の小中学生14人が、放射能汚染の少ないところで教育が受けられるように求めた裁判の第二弾です。
第一弾の「福島集団疎開裁判」では、2013年4月24日仙台高裁が子どもたちの訴えを却下しました。ところが、空間線量が1mSv/yを超えるところで教育をした場合、がんや白血病で健康が損なわれる危険性がある、と判決文に書き込んだのです。そして判決「理由」には、チェルノブイリの被害と比較した私の意見書も引用、危険を避けるためには、国と地方公共団体が集団疎開できるようにする以外に実効的な手段はないと断言しました。
今回の「子ども脱被ばく裁判」には、現段階で200人を超える子と親が加わっています。
この裁判には、いつでも全国どこにいても参加できるように、門が開かれています。
お母さんたちが出版した可愛いブックレットがこの裁判のことをうまくまとめていますので、ぜひとも手に取ってみてください(写真)。拙所受付にお声がけを。
もうひとつの明るいニュースは、南相馬市の住民132世帯534人が特定避難勧奨地点の解除は違法、1mSv/y 以上の追加被曝は甘受できないと、去る4月17日東京地裁に提訴した裁判です。日本政府は、大惨事後ずっと住民の声を無視して、汚染地域への帰還を促す政策をすすめてきました。伊達市・田村市都路・川内村などでは、すでに避難指示・勧奨が解除。賠償打ち切りで、余分な被ばくを避けて暮らす権利を奪われています。
一方で、原発大惨事後4年以上経った今なお、公式発表でも12万人を超える人びとが全国各地へやむなく自主的に避難・移住し、多くは肩身の狭い思いで暮らしています。「ふるさとを捨てたと冷たい目で見られ、鼻血など身体の不調を訴えれば風評被害を拡げると言われ、移住先では「いつまで甘えているの!?」と陰湿に問責される。
そんな状況の下、中通りでは200人もの子と親が、浜通りでは534人の庶民が、勇気をもって立ち上がった!まさに「文殊の知恵です」。私はそこに、闇を切り裂く一条の光、人間の尊厳を視るのです。以下のサイトで、二つの裁判の訴状をご参照ください。
http://1am.sakura.ne.jp/Nuclear2/140829petition2.pdf
http://www.foejapan.org/energy/action/pdf/minamisoma_sojo.pdf
(ソース: 座禅洞だより http://21.town-web.net/~zazendoh/menew.html)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2975:150501〕
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