言論・表現・報道の自由=支配権力を自由に批判する基本的人権にちょっかいを出し始めた自民党の政治家ども (4.28緊急院内集会報告)
- 2015年 5月 5日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
<表現の自由を侵害するな! リレートーク>
安倍政権による表現の自由に対する侵害、メディアへの圧力がエスカレートしています。参議院予算委員会において安保法制を批判した「戦争法案」などの発言に対して議事録での修正を求めたり、戦後何度も使われている表現である「鉄面皮」という発言を問題にしたり、まさに「言葉狩り」そのものです。安倍政権は同時に、政権批判を行うテレビ局に対して放送法をちらつかせながら脅しをかけるなど、報道機関にも圧力を加えようとしています。秘密保護法施行、集団的自衛権行使容認と、戦争への道をまっしぐらに進む安倍総理は、国会内外やジャーナリズムの現場からの批判を何とか抑え込もうと躍起です。まさに、日本の民主主義と表現の自由、報道の自由が脅かされようとしています。
こうした一連の動きに対してはっきりとノーの意思を示すため、たくさんの皆さんとともにリレートークを開催したいと思います。表現の自由をまもりたい人、戦争へと向かうこの空気を吹き飛ばしたい人、みんなで集まって声を上げましょう!
上記は,さる4月28日(火),参議院議員会館において開催されました,福島みずほさん主催の院内集会への参加よびかけチラシの文言です。発言者は次の方々でした。
鎌田慧さん(ルポライター)
佐高信さん(評論家)
青木理さん(ジャーナリスト)
篠田博之さん(月刊「創」編集長)
新崎盛吾さん(新聞労連委員長)
岩崎貞明さん(民放労連書記次長)
樋口聡さん(出版労連中央執行委員)ほか(順不同)
この日の模様は下記の録画(By:三輪祐児さん)をご覧下さい。
●▶ 20150428 UPLAN 表現の自由を侵害するな!リレートーク – YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=qLeQdf6y9r8
言論・表現・報道の自由は,申し上げるまでもなく,基本的人権の基本中の基本であり,また,民主主義の基礎の中の基礎です。この点に関しては,私は原理主義的です。いかなる屁理屈をつけようとも,有権者・国民・市民の言論・表現・政治活動・市民活動,従ってまた,マスコミやジャーナリスト等による報道活動への弾圧,妨害,暴力的抗争,制限,規制,干渉,ちょっかい出し,などは許されないと考えております。自由な雰囲気の中で,自由闊達に討議や議論や話し合いや意思疎通をすること,各層各位の市民それぞれが,信ずるところに従いさまざまな市民活動や社会運動を行うこと,それ自体が重要な価値ある営みである,ということです。とりわけ支配権力側にある人間たちが,その権力を不当に行使して,威圧的に言論や表現や報道やいろいろな市民の活動にちょっかいを出すなどということは,絶対に許されないことと言わざるを得ません。
しかし,今の日本という国では,この世界的にあたり前と思われている言論・表現の自由や,政治活動・市民活動の自由が,ないがしろにされ,全然自由でない状態が,いつまでたっても改善されないどころか,昨今では,戦前の大日本帝国時代の政治や社会の復活かと思わしき社会的雰囲気が創られはじめ,安倍晋三・自民党政権にたむろする,ロクでもないゴロツキ・タカリ・チンピラ右翼らの政治家達が,許されない権力濫用のようなことをし始めています。
今般,自民党の情報通信戦略調査会(会長:川崎二郎元厚生労働相)がTV朝日を呼びつけて,放送法による許認可権限を振り回しながら,同社のニュース番組「報道ステーション」での古賀茂明氏の発言を放送したことに対する権力的な威圧妨害行為を行い,今後のこの番組による自民党政権及び自民党への批判報道をけん制しています(同時に呼ばれたNHKは,バランスをとるための「おまけ」のようなもので,どうでもいい話です=NHKには,既にモミ・ジョンウン会長他の経営委員を安倍晋三・自民党政権が送りこんでおり,わざわざあのような番組(クローズアップ現代の「やらせ」問題)で呼びつける必要もなかった。ねらいはズバリ「報道ステーション」の政権批判報道の弾圧・妨害です)。
これについては,呼ばれたからと言って,のこのこ出かけて行ったTV朝日の方も大問題でしょう。そもそも,言論・表現や報道の自由,とりわけ放送現場の批判的ジャーナリズムを断固として守ろう・育てよう,という姿勢は,TV朝日の経営サイドにはなかったように思えます。その証拠に,4月以降のこの番組=「報道ステーション」は,腑抜けのような内容に転落しつつある,という声も聞こえてきます(私は,TV朝日の「報道ステーション」も,TBSの「報道特集」も,あまり評価していないので,ほとんど見ることはありません。TVは,もう数年前から,ほとんど見る番組がなくなり,スイッチは切ったままで,まるで置物か不動産のようになっています)。
また,もう一つ申し上げておかなければならないことは,マスコミ報道陣の中に,いわゆる「自粛ムード」や「事なかれ主義」,あるいは「権力への盲従態度」「頂点同調主義」「翼賛行為賛美」のような,まことに嘆かわしくも,いやーな雰囲気が出来上がってきていて,これがジャーナリズムの根幹でもあり生命線でもある支配権力への批判を鈍らせ,躊躇させ,やがては批判力まで喪失して自滅するか,批判力のある人間を排除して,支配権力から「頭をなでなで」してもらって,尻尾をふりふりして,鼻をくんくんならすることが,マスコミ人としての「たしなみ」であり「マナー」だなどと思い始めている,様子がうかがえることです。
特に若い世代の記者たちに私はそれを強く感じます(必ずしも若い世代とは限らない。たとえば,毎日新聞の小島正美のようなロクでもないベテラン論説委員もいる=この小島正美の名前はよく覚えておいてください。この男は,放射能や被ばく,食品の安全と表示,遺伝子組換え食品などについて,よく書いています。この男の名前を見たら,眉に唾をつけて読んで下さい。眉が唾だらけになるでしょうけれど)。もはや,権力への批判的言辞は,新聞・雑誌・TV・ラジオなどのマスコミの,一種のポーズ,かっこつけ,体裁程度のものに委縮してしまっているのかもしれません。まさに,マスコミのマスごみ化です。
2015年,この年が,ひょっとすると,この日本という未熟な民主主義の国が再び奈落の底へ転落していく「分水嶺」の年になる可能性もあります。以下,関連する昨今の記事を別添PDFファイル,あるいは関連サイトのURLをご紹介しておきます。
(1)表現の自由を侵害するな、リレートーク(プログラム)(2015年4月28日)
(2)ヂレピ朝日「報道ステーション」は大丈夫なのか(篠田博之 2015.4.28)
(3)BPOに政府関与検討(毎日 2015.4.18)
http://mainichi.jp/select/news/20150418k0000m010105000c.html
(4)自民 BPOや放送法言及(朝日 2015.4.18)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11710894.html
(5)公定国語辞典(山口二郎 東京)
https://twitter.com/soleil22544/status/589576461108948993
(6)私たち全員の通話が盗聴対象になる!?(青木理 『週刊金曜日 2015.4.24』)
(7)通信傍受の拡大へ法改正案(毎日 2015.4.20)
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20150420org00m010007000c.html
(8)テレビ朝日 「報道ステーション」去勢で始まる凋落(抜粋)(『選択 2015.5』)
(9)『原発「吉田調書」報道記事取り消し』を取り消すために
上記(9)は「原発「吉田調書」報道を考える読者の会」による,読者側から働きかける朝日新聞再建の試みです。皆さま,どうぞご支援を!! :田中一郎
●「原発「吉田調書」報道を考える読者の会」
https://www.facebook.com/yoshida.chousho.kangaeru
以下は,この運動を進める方からのアピールです。
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安倍のマスコミ対策に対して反撃を開始しようと思います。そのターゲットとされた「吉田調書報道」誤報(記事取消)問題を私たちも突破口にすることにしました。皆さんの中にも「吉田調書報道」は誤報だと誤解されている方が居られると思います。これは全く「事実」とは違います。私たちの目的は、「記事取消」の撤回です。
「いいががり」七つ森書館の海渡論文をお読みください。
http://www.pen.co.jp/index.php?id=760
まずは、添付した質問書を朝日新聞社および報道と人権委員会(PRC)に提出しました。この質問を無視できない状況にするために朝日会、労組、他のマスコミにも流しています。朝日新聞は、コアな読者に胡座をかいています。しかし、そのコアな読者からも見放されることに非常な危機感を持っているのは、朝日の経営者ではなく販売代理店です。
全国のみなさんに、「こんな質問が出ているのを知っているか」「この質問にまじめに答えるように」とか質問書を最寄りの販売店に持って行くか(読者)、集金の時(購読者)に手渡して頂ければと思います。私の場合は「回答によっては購読を止める」と言うつもりです。また、この問題について朝日は車座集会、対話集会を開催すると言っております。各地域でこれを要求して情報の共有化をはかりたいと思います。
質問の回答あるいは反応によって次のアクションを起こします。そのときには私たちの会だけではなく、みなさんとご相談させて頂き共同でできること、それぞれでできることを考えたいと思います。
朝日新聞社内においても、この問題の重要性を認識している社員の方は少ないようです。こちらからのアクションも必要だと思っております。報道関係者、OBの方々も、これは朝日だけの問題ではないことを「いいがかり」などで発信をしています。
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<関連サイト>
(1)(毎日新聞)■注目ニュース■ 僕らの国はソ連時代に向かうのか
かつて僕がソ連末期のモスクワで勤務していた時代の話を書こう。今から四半世紀近くも前のことである。その当時の国営テレビ、ゴステレの夜の定時ニュースは「ブレーミャ」という名前で、その御用報道ぶりでよく知られていた。そんななかで、ゴルバチョフ大統領の登場と共に「グラスノスチ」=情報公開の波が徐々にではあるが、かのソ連においても広がりつつあるかにみえた時期があった。
▽テレビに政権があられもなく介入した国の末路 「バック・イン・ザ・USSR!」=金平茂紀
(2)特派員「外務省が記事を攻撃」 独紙記者の告白、話題に:朝日新聞デジタル (無料ネット会員になれば全文読めます)
http://www.asahi.com/articles/ASH4P6GZ3H4PUHBI02T.html?ref=nmail
(3)(池上彰の新聞ななめ読み)テレ朝・NHK聴取 自民こそ放送法違反では:朝日新聞デジタル (無料ネット会員になれば全文読めます)
http://www.asahi.com/articles/DA3S11721214.html?iref=comtop_pickup_01
(4)各新聞の社説:自民党のテレビ局への介入問題<新聞社説>
●毎日新聞:テレビ局聴取 政権党は介入を控えよ
http://mainichi.jp/opinion/news/20150417k0000m070119000c.html
●読売新聞:テレビ幹部聴取 与党として適切な振る舞いか
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150417-OYT1T50160.html
●産経新聞:自民党とテレビ 番組介入は抑制的であれ
http://www.sankei.com/column/news/150418/clm1504180002-n1.html
●信濃毎日:テレビ局聴取 言論への介入そのものだ
http://www.shinmai.co.jp/news/20150418/KT150417ETI090003000.php
●京都新聞:放送局への聴取 圧力も屈服も許されぬ
http://www.kyoto-np.co.jp/info/syasetsu/20150418_3.html
●神戸新聞:テレビ局聴取/目に余る報道へのけん制
http://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201504/0007930983.shtml
●西日本新聞:自民TV局聴取 政権党が介入することか
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/syasetu/article/163358
●南日本新聞:[自民TV局聴取] 「圧力」と思われますよ
http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201504
●その他
<http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201504&storyid=65300
(5)(毎日新聞)■注目ニュース■ 自民党、BPOに政府関与検討
自民党は17日、NHKとテレビ朝日の報道番組で「やらせ」や政治的圧力があったとされる問題に関連し、NHKと日本民間放送連盟でつくる「放送倫理・番組向上機構」(BPO)について、政府が関与する仕組みの創設を含めて組織のあり方を検討する方針を固めた。
▽自民党:BPOに政府関与検討 「放送局から独立を」
▽自民党:テレ朝とNHK聴取 「放送局へのけん制」与党内も自制促す声
▽自民党:テレ朝とNHK聴取 「放送局へのけん制」与党内も自制促す声 識者の話
▽ことば:クローズアップ現代の「やらせ」疑惑
▽ことば:報道ステーションの古賀氏発言を巡る問題
▽ことば:放送倫理・番組向上機構(BPO)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5323:150505〕
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