社会理論学会第23回総会・研究大会(自由論題の部)の案内
- 2015年 5月 22日
- 催し物案内
- 社会理論学会
第23回総会・研究大会(自由論題の部)
日時:2015年6月20日(土)13:30~17:00
会場:渋谷区笹塚区民会館会議室2号(3階)
【会場案内】
渋谷区笹塚区民会館
〒151-0073 東京都渋谷区笹塚 3-1-9
・区民会館は催し物に関する質問にはお答えできませんので、会場への電話問い合わせはご遠慮ください。
・会場は駐車場がありませんので、自動車での来場はご遠慮ください。
案内図:https://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kmkaikan/km_sasazuka.html
会場費なし
タイムスケジュール
13:00~13:30 理事集合・会場設営
13:30~14:00 総会
14:00~14:10 休憩
14:10~14:50 相川翼氏(早稲田大学大学院)報告
「自閉症と資本主義についての一試論―構想力に着目して」
14:50~15:20 質疑応答
15:20~15:30 休憩
15:30~16:10 湯川順夫氏(翻訳家)報告
「シャルリー・エブド紙襲撃事件をめぐって」
16:10~16:40 質疑応答
16:40~17:00 会場片付け
17:00~ 懇親会
報告概要
相川翼(早稲田大学大学院 社会科学研究科)
タイトル:自閉症と資本主義についての一試論―構想力に着目して
報告概要:
本報告は、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder、以下「自閉症」と略記)についての哲学的考察と、それを資本主義の分析に応用する方途について取り上げる。
自閉症は、「人間関係や意思疎通の困難」と「反復的常同的な言動」とがセットで見られることから定義される精神障害である。今日では、精神医学や心理学などで自閉症についての研究が盛んになされているものの、その全容の解明には至っておらず、また哲学においては、自閉症を対象とした研究はほとんどないのが現状である。
本報告では、自閉症者の「症状」を「障害の現われ」として否定的に捉えるのではなく、哲学的な問題意識と知見をもって、私たち自身を捉え直す契機と考える。その際にキー概念として用いるのは、イメージを形成する力である「構想力」(Einbildungskraft)である。構想力は、カントによって見出された人間主体の能力だが、これは、人間に実際に見える「像」(Bild)を構成する際に決定的に重要な役割を果たしており、構想力がどのように働くかによって、人間にとっての現実が大きく規定される。
そこで本報告では、第一に、自閉症者における構想力の特異な働きに着目し、それを自閉症ではない定型発達者の場合と比較しながら、自閉症者が「自閉」的であるとは如何なる意味においてか、自閉症者の反復的常同的な言動やこだわりの強さは何を意味するか、ということを考察する。このプロセスを通じて、定型発達者にとっては自明なものとして必ずしも意識されてない構想力の働きの実相に迫る。
第二に、以上の哲学的基礎論を踏まえ、人間の構想力が資本主義社会においてどのように働いているかを考察する。マルクスの『資本論』での議論によれば、「労働の社会的性格」(der gesellschaftliche Charakter der Arbeit)が反映された労働生産物が商品であるが、逆に言えば、人間が労働生産物に「労働の社会的性格」を読み取ってこそ、商品は商品足りうる。このとき、人間の構想力はどのように働いているか。また、資本主義社会における人間は、自分自身を労働力商品として理解し、生産過程に自らを投入する。この「資本と労働の交換」を、それを可能にしている人間の構想力の働きから考察すると、資本主義社会における人間の「自縄自縛」の構造が見えてくる。
こうした議論を通じて、本報告では、自閉症を媒介とした資本主義論の可能性を提示したい。
湯川順夫(翻訳家)
タイトル:シャルリー・エブド紙襲撃事件をめぐって
報告概要:
フランスの風刺週刊紙襲撃事件をめぐって、風刺画そのものの内容、襲撃と殺害に抗議するフランスにおける巨大なデモの評価をめぐって、日本でもその評価は分かれている。一方では、フランス、ヨーロッパにおけるイスラム系移民の問題という背景を捨象して言論の自由一般を強調する立場があり、それと対極にあるのは、その風刺画週刊紙の全体の論調、フランス国内の大衆的デモそのものが「反イスラム」であり、「ヘイトスピーチ」であるとする評価である。でも問題はそれほど簡単に線引きでできるような問題なのだかろうか?
これらの風刺画家たちはどのような人々なのかという点を出発点に、今日のヨーロッパとフランスにおいてイスラム系移民がおかれている状況、この状況の中で多文化主義の問題をど考えるべきか、さらには、啓蒙主義の宗教批判を含めて宗教批判はどうあるべきなのかなど、いくつかの問題について考えてみたい。
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