吉本隆明の未収録講演集を読み続ける。第一回
- 2015年 6月 5日
- 催し物案内
- 三上 治
早いもので吉本隆明が亡くなってから4年の歳月が経ちました。この四年間は多くのことがあったといえますが、ことというほどのものはなかったともいえます。僕らは何かを考えることを強いられ、日常的な習性に抗して考えることをやってもいるのですが、それがなかなか困難で辛うじてこういう考えることを含めて考えようということをやっているだけなのかも知れません。
考えることには自意識の作動だけではなく、媒介が必要ですが、今という時代はその媒介がなかなか見つけられません。精神の食物といえるものは氾濫するほどあふれ、過剰なほどあるのですが、これらのほとんどは悪食の類です。僕らが対話という精神的な稼働をする、あるいはした実感できるほどの媒介(精神の食物)には出会いにくいのです。
少年期のころに太宰治に夢中だった時期があるのですが、それは僕の青春葉期に与えられた精神の食物だったのです。それが、よきものであったか、どうかはわからないのですが、その後は僕にとっては吉本隆明がそうでした。確かに、吉本さんの書物を精神の食物としてむさぶるように読んだのは、時期によって違いはあるのですが、一貫した存在でした。吉本さんを識ってから現在までそれはかわらなかったといえます。
吉本さんの全集が刊行されていますが、他方で<未収録の講演集>も出ています。こちらは全12巻ですが、これを頭(第1巻)から読み続けようと考えています。1巻に三、四回はかかるのでしようから、何年間かかかると思います。僕も長くアソシエの講座をやってきたのですが、これが最後のものとしてやろうとおもいます。
この実収録講演集は課題別(テーマ)に現在の問題に触れているのですが、これは僕らが現在というものを探索するのにいい方法といえます。例えば、第一巻の『日本的なものとは何か』には日本的ということをテーマに現在の問題がその歴史を含めて追求されているのですが、あるテーマが全体性を帯びては想定することが難しい時代の中では、いい方法だと思います。参加する人は、この吉本さんの未収録講演集をテキストとして確保してください。
今年度は6月19日(金)をはじめとして、来年3月まで(8月は休み)毎月第三金曜日に行います。毎回の参加が難しくてもいいと思います。そういう形もOKですが、楽しい講座になることを考えております。
講座6月19日(金)19時~21時 毎月第三金曜日19時~21時
●日時 ―2015年6月19日(金) 午後7時~9時
●場所―変革のアソシエ事務所 電話03-5342-1395、 三上の携帯090-3908-7330
JR中野駅南口 歩約5分(南口から線路沿いに新宿方面へ。右側に古い都営住宅 都営住宅が終わった所にフランス風料理店。その隣のニューグリーンビル3F301号室
●参加費 一人一回1000円
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