アベノミクスとは何だったのか? 12
- 2015年 6月 11日
- 交流の広場
- アベノミクス大野 和美
アベノミクスがもたらした経済的成果を上げるのは困難である。最近の話題では、2015/4の実質賃銀が+0.1%に転じた事を、メディアを含めて喜ばしニュースとしてあつかった。これはしかし物価上昇がなかった事による。消費税増税があった2014/4の総合物価指数は103.1前月の101.0から2.1ポイント、ほぼ消費税増税率だけ跳ね上がった。物価上昇は2014/9まで続き、103.9をピークに以後2014/12を例外に低下を続け、2015/3~4に上昇に転じたが、2014/9のレベルを超えなかったのである。円安が進行し、石油価格も底を打ち、上昇に転じたかに見えるときに消費税増税分程度の物価上昇に止まっているのは、円安による輸出増と物価上昇を梃子にした設備投資の増、経済成長増を軸とするアベノミクスの躓きではないか?(以上の物価指数は、総務省統計局資料)。
現実には、個人消費は全く低迷を続けている。私見」だが、アベノミクスの下で多くの人々はいつの日かの潤いを求めて我慢しているようだ。これまでの2回の総選挙で安倍政権を支持した人々は、秘密保護法に代表される国家による禍々しい国民統制や集団的自衛権容認などによる海外派兵、憲法違反の海外での武力行使を認めたわけではなく、「これしかない!」と訴えるアベノミクスへ期待したのであろう。しかし、2014年末の意味不明の総選挙の時点でアベノミクスの効能は全く見えなくなっていたのだ。しかし、ある種の人々は無責任な政策にものんきな期待を維持したのだった。次にアベノミクスの「成果」をもう少し確かめてみよう。
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