今こそ国会へ ー安保関連法案の採決迫る-
- 2015年 7月 13日
- 時代をみる
- 安保岩垂 弘
自民、公明両党は、7月15日(水)にも国会で審議中の安保関連法案を衆院特別委員会で採決する構えだが、同法案に反対する市民団体や労働組合は「とめよう!戦争法案 集まろう!国会へ」をスローガンに、同月14日(火)から26日(日)にかけ国会請願デモや国会包囲行動、首相官邸包囲行動を連続的に繰り広げる。市民団体や労働組合による国会周辺での行動が、このところ連日展開されてきたが、それが最大のヤマ場を迎える。
安保関連法案が衆院に提出されたのは5月15日だが、以来、市民団体、労働組合、弁護士団体、女性グループなどさまざまな団体によって、法案の廃案を求める行動が、国会周辺で続けられてきた。
中でも大勢の参加者を集めてきたのは「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催する行動だ。この実行委は、自治労や日教組が参加している「戦争をさせない1000人委員会」 、全労連などでつくる「憲法を守り・いかす共同センター」、市民団体の「解釈で憲法9条を壊すな!実行委員会」の3団体で構成されている。
安保関連法案に対する「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の主張はこうだ。
「わたくしたちは、政府の命令によって、もう外国で人を殺すことはない、殺されることもない。武力は使わない、と『日本国憲法』で堅く誓いました。
わたしたちは、かつてアジアの国々に武力をもって殴り込み、数え切れないほどの子どもや女性たちを殺し、反撃されて多くの家庭を失い、肉親や友人を喪いました。
この悲痛な体験と深い反省が、まだひとびとの心に深く遺されています。にもかかわらず、安倍政権は米国と一緒に戦うことを、この国会で決めようとしています。これは過去の教訓をドブに棄て、日本の未来を喪う暴挙です。
戦後70年、日本は戦争をしない国として、ようやく世界のひとびとから信頼されるようになりました。この国際的な名誉と使命を護るためにも、いま、力を尽くして悪法の成立と自衛隊の戦場への派遣を食い止めましょう。
二度と政府に戦争をさせない!憲法を壊すな!
殺すな!殺されるな!不戦!」
(『週刊金曜日』6月26日号に載った同実行委員会の呼びかけ)
同実行委員会は7月14日(火)午後6時30分から、東京の日比谷野外音楽堂で「戦争法案反対!日比谷集会」を開き、その後、国会請願デモを行う。次いで同月26日(日)午後2時から3時30分まで国会包囲行動を行う。
この間、24日(金)には、首都圏反原発連合、原発をなくす全国連絡会、アジア太平洋資料センターが事務局をつとめる「安倍政権NO!☆実行委員会」が、午後6時30分から日比谷野外音楽堂で集会を開き、その後、首相官邸を包囲する。
「反戦平和」を掲げた国会向けのデモと聞けば、55年前の1960年の安保改定反対運動を思い起こす。
1957年に発足した岸信介・自民党内閣は日米安保条約の改定を急ぎ、両国間で調印された条約改定案(新安保条約)の承認案件を60年に国会に提出。社会党(社民党の前身)、総評(労働組合のナショナルセンター。すでに解散)、平和団体などによって結成された安保改定阻止国民会議が「改定で日本が戦争に巻き込まれる危険性が増す」と改定阻止運動を起こす。これに対し、自民党は5月19日、衆院本会議で承認案件を単独で強行採決。これを機に「議会制民主主義を守れ」という声が国民の間で急速に高まり、強行採決に抗議する大規模なデモが連日、国会周辺を埋めた。
そのデモに加わった人の数は、日本ジャーナリスト会議編集の『主権者の怒り 安保斗争の記録』によれば次のようだった。
5月20日5万、同26日17万、6月4日全国で560万人が統一行動、同11日23万、同15日全国で580万人が統一行動・国会周辺に11万、同16日10万、同18日33万
33万人が国会を取り巻く中で、新安保条約は6月19日午前0時過ぎ、参院で議決を経ないまま自然承認となった。参院自民党は同20日、単独で本会議を開き、新安保関係諸法案を一挙に可決、成立させた。新安保条約はこうして国会を通ったが、岸首相は退陣せざるをえなかった。
1960年の安保条約改定問題をたどると、自民党が衆院で条約改定案を単独で強行採決し、それが引き金となって、国民の間に「民主主義擁護」を掲げる広範な運動が、またたく間に全国へ広がって行ったことが印象に残る。
今回の安保関連法案は、果たしてどんな結末をたどるのか。7月6日付の毎日新聞によると、同社の全国世論調査では、集団的自衛権の行使などを可能にする安保関連法案への「反対」は58%、「賛成」は29%、国民への説明が「不十分だ」との回答が81%、今国会でこの法案を成立させる方針にも61%が「反対」と答えたという。
民意は明らかである。自民、公明両党がもしこうした民意を無視するようなことがあれば、国民からしっぺ返しを受けるに違いない。
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