本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(93)
- 2015年 7月 13日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
潮目の変化
6月4日に実施された「憲法審査会」では、自民党推薦の学者を含めて、3名全員が「違憲」の判断を下したが、この時に言われたことは、「潮目が変わった」ということだった。つまり、「漏れた年金問題」なども含めて、「自民党政権」に対して、逆風が吹き始めた可能性が指摘されているのだが、実際には、より根源的な「潮目の変化」が起きているようにも感じられるのである。
つまり、私自身が感じた「潮目の変化」、あるいは、「歴史的な大転換」は、「4月20日」だったが、この時に起きたことは、「ドイツ国債」を始めとした「ヨーロッパの国債金利」が、史上最高値を付けたということだった。そして、その後は、急速な「金利上昇」に見舞われているのだが、このことは、「お金の力」、あるいは、「お金に対する信用」が、歴史的なピークを付けたことを意味しているようである。
別の言葉では、「文明法則史学」によると、「西暦2000年前後」を境にして、「西洋の時代」から「東洋の時代」へ、大きな「移行」が起きることが考えられるのだが、今回の「史上最高値を付けた国債価格」については、このことを、象徴するような大事件だったようにも思われるのである。
そして、今後は、この流れが、より一層、はっきりし始めるものと思われるが、この時に考えなければいけないことは、「今後、どのような時代になるのか?」ということでもあるようだ。具体的には、今までの「資本主義」から、「共同体主義」とでも呼ぶべき社会に移行する可能性のことだが、この点については、今後、時間の推移とともに、全体像が見えてくるものと考えている。
また、「文明史学」が教えることは、「移行期の混乱」であり、同時に、「民族の大移動」でもあるが、この点については、すでに、「アフリカ」や「中東」で起きているようにも考えている。つまり、生活に困った人々が、他国に逃げ出す状況のことだが、最近の「アフリカにおける船舶の沈没」を見ると、確かに、多くの人が、このような行動を取り始めているようである。(2015.6.15)
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実質実効為替レート
6月10日の国会答弁で、黒田日銀総裁は、「これ以上の円安は、実質実効為替レートからは考えにくい」とコメントしたそうだが、この言葉の裏側には、「黒田日銀総裁の苦悩」が現れているようであり、また、「国債の買い支え」が、いよいよ、限界点に達した可能性が示唆されているようである。つまり、「エコノミスト」や「評論家」などの「常とう手段」として、「一般大衆に馴染みの無い言葉を使い、論点をぼやかす」という方法が存在するものと考えているが、今回のコメントは、まさに、このような状況だったようにも感じられるのである。
また、確かに、日本の「実質実効為替レート」は、歴史的な安値圏に位置しているが、このことは、必ずしも、「現在が安値だから、これから、反対の動きが始まる」という事を意味してはいないのである。つまり、「1970年代には、より安い水準だった」という事実が見て取れるとともに、根本的な「円安の原因」とも言える「信用乗数の低下」については、全く考慮されていないのである。
別の言葉では、「日銀のバランスシート」を急拡大させ、同時に、「マネタリーベース」も大膨張させたことが、現在の「円安」の、真の原因とも考えられるのだが、この点については、ほとんど、コメントされていないのである。そして、単純に、「円高になってほしい」というような希望的観測が述べられたようだが、このことは、典型的な「口先介入」とも言えるようである。
しかも、「円安を止める為替介入」については、「保有しているドルを売り、円を買う」という方法が存在するが、現在では、「保有している米国債」を売却することができず、実質的に不可能な状況とも考えられるのである。そのために、現在では、このような「口先での介入」しか残されていないようにも思われるが、これからの注目点は、「今回の、黒田総裁のコメントが、どれほどの期間、有効なのか?」ということでもあるようだ。
具体的には、更なる「円安」は、「国債価格の暴落」に繋がる恐れがあるが、現時点では、黒田総裁のコメントにより、一時的な「円高」の状態となっている。しかし、今後、「円安」が、より一層、進行し、「金利の急騰圧力」が高まった時には、スパイラル的な動きも予想されるのである。つまり、「円安」と「金利上昇」が、一挙に、加速するような状況のことだが、この時に、日銀が取れる方法は、「紙幣の大増刷」しか、残されていないようにも考えられるのである。(2015.6.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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〔opinion5486:150713〕
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