生きた歴史の証言に感動
- 2010年 12月 29日
- 評論・紹介・意見
- 宇井 宙特集:安保50周年
今年は60年安保闘争から50周年ということで、「ちきゅう座」でも特集ページを設けている。戦後の日本が経験した最大の国民的民主主義運動であった60年安保闘争も、その後に生まれた世代にとっては、歴史的事件ではあっても、これまで経験者・当事者の生の声を聞く機会は少なかったように思う。それがこの年の暮になって、当事者の貴重な生の証言を聞くことができたのは、大きな収穫だった。
とりわけ御庄博実(丸屋 博)氏の「樺美智子さんの「死の真相」 (60年安保の裏側で)」は出色の証言である。厳密な司法解剖の結果、樺美智子さんの死因が「人なだれ」による圧死などではなく、機動隊の警棒による膵臓頭部への強打と扼殺による窒息死、つまり機動隊による意図的な虐殺であったと証明されたこと(50年前に証明されていた医学的事実が、当時現場にいた長崎暢子氏らの証言とともに今、明らかにされたこと)は、非常に重大な意味を持っているのではないだろうか。
この衝撃的な記事に触発されて書かれた川元祥一氏の「六・一五という記号―その夕刻何があったか」と松岡宥二氏の「60年6.15闘争に思う」も当時現場にいた人の証言として貴重なものであると思う。このような貴重な証言を「ちきゅう座」で読むことができた幸せを思うとともに、こうした証言がマスコミには載らない現状に皮肉なものを感じる。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0271:101229〕
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