日本株は未だ騰貴するのか
- 2015年 7月 22日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
ちきゅう座7月 21日付で掲載された本間宗究氏の御論稿を拝見していてぶったまげた。何とそこには、「4万円を目指す日経平均」との一項があったからである。 おいおい
ちきゅう座が株騰貴を祈願してどうする。 それは、日経平均が三万八千円のバブルの
頂点の時ならいざ知らず、安倍政権が日銀の金融緩和一本で、神だのみの奇跡の日本経済
復活を祈っている時に。 株屋じゃあるまい、に。
私見では、現在の日本株は、割高の局面にある、と信じ、退職金を株買いにつぎ込む友人に警告し、株屋の常套手段である「回転売買」に引き込まれる危険について警告もして来た。 また、安倍政権が株価騰貴をその似非金融政策の成功の証とする危険を警告もして来たからである。 (過去の私の投稿を参照されたし。)
いくら私如きが意見を言っても儚いことだが、証券取引を研究しておられる識者も同
様に割高に傾く日本株の現状を分析しておられる。
竹中正治龍谷大学教授は、株価の現状を観るには、何がその尺度に相応しいのかを川北英隆教授(京都大学大学院経営管理研究部)の論考を引いて述べられている。 川北教授は、それは、「営業利益」である、と云われている。
「中長期的な株価水準は企業の収益力に左右される。では、何をもって企業の収益力を測ればよいのか。筆者は営業利益が最も適当だと考える。」(日本経済新聞「経済教室」4月27日付)との川北教授の論に従い、但し、川北教授「が掲載した図表(上段)は2006年3月期からのもので、データとして短い。」とされた上で、「もっと長い時系列で見て、『時価(東証1部)総額/営業利益』が趨勢的な平均値から乖離と回帰を繰り返しながら、平均値に収束することを確認したい。そうでないと、この比率が長期的な割高・割安の指標として妥当かどうか、わからない。」とされた竹中教授の結論からは、とても日本株の今後については強気一辺倒にはなれない。 私もお父ちゃんの血を引く人間で、自分の勉強の成果を観る指標として少ない給料から証券投資を行って来たからである。 身銭を切って経済を観て来たからである。
「日経平均2万円からは、『まだまだ上がる!』という強気は抑制し、高値更新局面は慎重に売り抜け、ポートフォリオに占める株式比率は下げるというスタンス継続で良いだろうと思う。」と断じられる竹中教授の言を真摯に受け止め、株式投資を煽る現政権の売り文句に警戒心を持たねば老後の蓄えも消え失せることとなる。
まだ上がる?もう高すぎる?時価総額と営業利益で見た日本株 (たけなか まさはる
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5513:150722〕
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