【集団的自衛権問題研究会 News&Review :特別版 第25号】 (2015年8月6日)
- 2015年 8月 6日
- 評論・紹介・意見
- 杉原浩司
8月5日に行われた一般質疑のダイジェストをお送りします。ぜひご一読、
ご活用ください。
8月6日の70年目のヒロシマデーを前に、「核ミサイルの輸送は法文上可能」
との答弁が飛び出しました。今までも多用されてきた「法文上可能」との
決まり文句は、政府に裁量を与える恐ろしい言葉だと思います。
今後の審議については、礒崎総理補佐官の再招致をめぐって水面下での協
議が続いている模様です。本日6日(木)は定例日ではないため、委員会
は開催されない見込みですが、以降については未定です。
安保関連法案:防衛相「核ミサイル輸送も法文上は可能」(8月5日、毎日)
http://mainichi.jp/select/news/20150805k0000e010230000c.html
他国軍支援で核兵器の輸送も法律上は可能(8月5日、TBS)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2556419.html
【資料】参議院安保法制特別委員会(計45人)メンバーの要請先一覧
http://www.sjmk.org/?page_id=349
※FAX、電話での要請にお役立てください!
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【8月5日(水)参議院安保法制特別委員会 一般質疑ダイジェスト】
※首相出席なし、NHK中継なし
ネット中継アーカイブ
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php
※カレンダーの日付(5日)をクリックしてご覧ください。
◆北村経夫(自民)
「今朝の東京新聞に「米艦単独行動せず」「防護根拠揺らぐ」との記事が
掲載された」
中谷「単独も複数もあり得る。日米共同海上作戦を想定して訓練しており、
新ガイドラインにも「アセット防護(有事前の段階で防護し合う)協力」
と明記されている。自衛隊は米艦へのミサイルや魚雷に対処する」
◆白眞勲
「礒崎補佐官は総理にとってどんな人か?」
中谷「総理を補佐する人」
白「いい人ですか?」
中谷「有能でよく勉強された立派な方だ」
白「山谷大臣、仲はよろしいんですか?」
山谷「誤解を招いたと真意を説明された」
白「「法的安定性は関係ない」は直球ど真ん中だ。誤解じゃない」
◆白眞勲
「核弾頭付ミサイルを運ぶのは法文上可能か?」
中谷「核兵器は保有していない。米国も存在を明らかにしておらず、ACSA
(物品役務相互提供協定)ではミサイルは含まない。核兵器の輸送は想定
していない」
白「法文上は可能か?」
中谷「法文上排除していないが想定していない」
白「大変な事だ。とんでもない」
◆白眞勲
「安倍総理は「我が国は唯一の戦争被曝国として核兵器廃絶を主導する」
と言いながら、片や戦後初めて核兵器の輸送を行える法案を通そうとして
いる。岸田外相はこれを知っていたか?」
岸田「この法律の現状について、今、私自身も承知した」
白「知らなかったんですね。被爆地広島出身の大臣として、国民に謝罪し
白紙撤回すべきだ」
◆白眞勲
「法文上、核兵器は提供できるか?」
中谷「保有しておらず提供はあり得ない」
白「核兵器は消耗品か?」
中谷「弾薬に当たる」
白「憲法上、核兵器を持つことは可能か?」
横畠法制局長官「憲法上、保有してはならないという事ではない」
白「驚き驚きの大変な状況になってきている」
◆白眞勲
「「電力不足」との報道は聞いたことがないが、政府は再稼働させようと
している。安倍政権はもしかしたら独自の核抑止力を持ちたいのか?」
中谷「我が国は非核三原則を持ち、核不拡散条約の締約国であり条約を誠
実に履行する。核を持つことは決してない」
◆白眞勲
「法案で毒ガスは運べるのか?」
中谷「持っていないし運んだこともない」
白「法文上、運べるのか?」
中谷「法文上は除外していない」
白「大量破壊兵器を含めて、この世にある全ての兵器、弾薬を運べるのか?」
中谷「法律上、特定の物品の輸送を排除する規定はない」
白「運ばないのは政策上の判断だ。最初から法案に「大量破壊兵器、非人
道兵器は除く」とか書いておくべきではなかったのか?」
中谷「運ぶことはあり得ないし、拒否する」
◆白眞勲
「核ミサイル・爆弾を積んだ戦闘機に給油はできるか?」
中谷「できる」
白「空中給油もできるか?」
中谷「法律上できるが政策判断として実施」
白「核を積んだ原潜に補給できるか?」
中谷「補給する選択肢はないが、除外規定はない」
白「要は何でもできる」
◆白眞勲
「後方支援について、危なくないところで運ぶなら、土地勘もある民間輸
送会社に頼めばいい。私が敵なら、「危なくなったら帰る」という自衛隊
を狙う」
中谷「戦闘現場でないところで、実施区域を指定し、しっかり安全対策を
とって実施する」
白「今度はリュックに水と食糧ではなく、爆弾を背負う。リスクは高まる
のではないか?」
中谷「現在も備えている。軍事的オペレーションの中の活動だ。装備、訓
練、情報を持って行い、民間では出来ない」
白「軍事的オペレーションなら武力行使との一体化ではないか」
◆白眞勲
「海外で医師法は通じるか?」
塩崎厚労大臣「管轄権の範囲内に効力は限られる」
白「衛生兵は医師、看護士免許を持つか?」
中谷「持つ者も持たない者もいる」
白「応急セットの数は?」
中谷「平成23年から3年で8品目になる」
白「装甲救急車は?」
中谷「ない」
白「きちんと整備するのが先だ」
◆白眞勲
「6月19日の日本イラン局長級会議の報告は聞いているか?」
岸田「会議の中身は今日は承知していない」
白「ホルムズ海峡の問題でイランから抗議と遺憾の意は伝えられたか?」
上村中東アフリカ局長「そういう事はない」
白「議事録を理事会に提出を」
「攻撃姿勢を示して今までの友好関係をぶち壊している。日本は紛争を止
めに入るべきだ」
◆藤末健三(民主)
「核兵器を搭載した原潜を防護できるか? 核を投下しようとする戦闘機
に給油できるか? 核に関する修理、整備、訓練業務はできるか? 法文上
これらは可能か?」
中谷「排除する規定はないが、非核三原則があり、米国は他国に依頼しな
い」
藤末「ご都合主義だ。それでは暴走を止められない」
◆藤末健三
「我が国がA国から武力攻撃された場合、A国に公海上で武器弾薬を輸送す
るB国を攻撃できるのか?」
中谷「A国には武力行使できるが、B国は後方支援のみで我が国に武力行使
をしておらず、3要件を満たさないので攻撃できない」
藤末「我が国防衛上、それでいいのか?」
◆藤末健三
「武藤貴也議員の「戦争に行きたくないのは極めて利己的」とのツイート
を見たか?」
中谷「拝見した」
藤末「どう思うか?」
中谷「大学生の息子がいる。若者は真剣に国のことを考えている。若者は
学びつつ真実を見つけてほしい」
藤末「武藤議員は「戦争ではない」と説明しながら、戦争を前提に発言し
ている。国の命令で戦争に行く事を断れなくなる。撤回するよう指導を」
◆寺田典城(維新)
「礒崎補佐官は謝罪を通り越して発言を撤回した。言葉に責任を持って職
を辞するべきだ」「違憲の疑いのある法律をなぜ法の番人である法制局が
止められなかったのか? 憲法99条を遵守しているのか?」
横畠長官「法的安定性は保たれ、憲法の範囲内であり、99条の憲法遵守義
務の点でも問題ない」
◆寺田典城
「(長官に)のこのこしゃべられたんじゃ困る。法制局は「法の番人」と
の権威も失った。8割近い方々が「理解できない」と。賛成は3割もいない。
異常だ。国民は曇りガラスを拭いても見えない」「国民が理解できない法
律を通そうというのは横暴だ。謙虚になるべきだ」
「内閣法制局はもう崩壊している。通ったら裁判を起こされる。即刻辞め
た方がいい。盆休みもとれる。耐え難きを耐え、忍び難きを忍んでやって
いるのだろうが、普通じゃない」
◆寺田典城
「こんなにグラグラする国会はない。危険を煽る必要はない。平和を希求
するのが日本のあり方だ。安倍さんは子どもの戦争ごっこをしているよう
だ。兵站についても理解していない」「安倍さんに「もう降りる」と言う
勇気を持つことが自民党と日本という国を救うことだ。まだ遅くない」
◆大門実紀史(共産)
「与党は中国の「脅威」をさかんに宣伝している。他に言うことはないの
か。まるで戦争前夜のような質問だ。佐藤正久議員は「南シナ海で潜水艦
からミサイル発射の動きがある」と発言した。米国防総省の中国に関する
年次報告には「弾道ミサイル搭載潜水艦は2015年中に配備の可能性」と。
運用開始は確認されていないのではないか」
中谷「2015年に核抑止パトロールを開始する予定とされている」
◆大門実紀史
「中国脅威論や「巡航ミサイルトマホークを持て」などの荒唐無稽な質疑
がテレビで簡単に流されている。デニス・ブレア元米太平洋軍司令官は
「東アジアは軍事紛争の可能性はない。統治権をめぐる紛争であり、軍事
対立より遥かに低いレベル」と発言している」
中谷「承知しているが、米国の各種戦略文書で「緊張は増している」とも
書かれている」
◆大門実紀史
「中国は「脅威」でなく「懸念」でいいか?」
中谷「日本は特定国を「脅威」とみなす発想に立たない」
大門「外交的平和的手段で問題解決を追求するのが両国の国益に沿う。日
中間の紛争解決は、1)平和的手段で武力や威嚇に訴えない。2)防衛分野
の対話・交流を重視して不測の事態を防ぐ。との大変大事なことを確認し
てきた」
岸田「中国を脅威とはみなしていない」
◆大門実紀史
「東南アジア諸国は話し合い解決を探り、南シナ海「行動宣言」から「行
動規範」という強い枠組みを作ろうとしている。日本もこのために汗をか
くべきだ」
岸田「行動宣言の完全履行と行動規範の早期策定を発言する」
大門「戦争シミュレーションでなく米中戦略経済対話のような強固な関係
作りを行うべきだ」
◆大門実紀史
「統合幕僚監部防衛計画部の「取り扱い注意」の内部資料では、中国に対
して平時から攻勢的な抑え込み戦術を行うとのシミュレーションをしてい
る。何を考えているのか?」
中谷「対中国の軍事的シミュレーションではない」
大門「対中と明記されている。近隣の脅威ばかりを煽る。こんな議論をし
ているのは日本の国会だけだ」
◆アントニオ猪木(元気)
「法案は違憲だと思えてきた。砂川判決の機密文書開示の本を読んだ。こ
の公文書は重く受け止めるべきだ」
岸田「裁判過程で日米間で交渉した事実はない。米国もコメントしていな
い。我が国もコメントするのは適切ではない。6月10日の衆院特別委で理
事会協議事項となり、確認したが外務省で当該文書の保有は確認されてい
ない」
横畠「報道は承知しているが、コメントする立場にない」
◆浜田和幸(次代)
「来年度の防衛予算は5兆円を超すとされる。F35ステルス戦闘機の導入予
定は?」
石川博崇防衛政務官「計28機を整備する。平成27年度は6機分で、1機172
億円の見積もりとなっている」
◆浜田和幸
「高額なF35より無人偵察機=ドローンをもっと活用すべきだ。ただ、デ
ータが膨大で米国も解析を一部民間に任せている。日本も自前の情報分析
官が必要だ」
中谷「新ガイドラインにも共通の情勢認識・情報共有が明記された。無人
機情報の日米間共有と活用を検討していく」
◆浜田和幸
「ロボット兵士導入の日米協力も行うべきだ。大阪大学は世界最高の4兆
ワットのレーザーを開発した。米国のDARPA(国防高等研究計画局)から
共同開発の提案も来ている。2050年はロボットが主役になる」
石川政務官「自律性技術には米国も高い関心を示している。積極的に技術
基盤の向上に努めていく」
◆水野賢一(無ク)
「自衛隊が在外邦人を救出する場合、拘束した相手は捕虜ではないか?」
中谷「捕虜ではない」
水野「邦人が殺害された時に犯人を捕まえる権限はあるのか?」
中谷「ない」
水野「邦人救出の派遣には国会承認の歯止めがない。シベリア出兵のよう
に万単位の自衛隊を送りこめるのか?」
中谷「制限はない」
◆又市征治(社民)
「尖閣の国有化、靖国参拝、村山談話を変更するのではと思われる認識な
ど、憲法前文と真逆の動きをしている。安倍政権は火種をまいて戦争法案
を作り、火事を大きくしようとしている」「サマワ以上に戦闘現場に近づ
く。相手国からは交戦国とみなされ、原発などが攻撃される恐れがある」
◆主濱了(生活)
「法的安定性を欠いた欠陥法案であり、即座に取り下げるべきだ」「日本
が攻撃した第3国と集団的自衛権のある第4、第5の国が日本に武力攻撃す
る可能性がある。戦争へ突入する恐れがあるが、その覚悟はあるのか?」
中谷「新3要件という厳格な条件のもとで発動する」
◆荒井広幸(改革)
「ドイツには議会関与法がある。存立危機事態で作る対処基本方針の中身
は?」
前田内閣審議官「経緯、認定、認定の前提となった事実、重要事項などを
記載する」
荒井「基本計画の策定は?」
黒江防衛政策局長「活動範囲、経緯、影響、理由などを基本計画に記載する」
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<特別版 第24号(8月4日の参院集中質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=378
<特別版 第23号(8月3日の礒崎補佐官参考人質疑&一般質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=375
<特別版 第22号(7月29日の参院集中質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=371
<特別版 第21号(7月28日の参院集中質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=357
<特別版 第20号(7月27日の参院本会議質疑録はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=354
<特別版 第19号(7月17日の衆院強行採決抗議声明はこちら>
http://www.sjmk.org/?page_id=359
<第18号以前のバックナンバーはこちらからご覧ください>
http://www.sjmk.org/?page_id=11
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発行:集団的自衛権問題研究会
代表・発行人:川崎哲
News&Review特別版 編集長:杉原浩司
http://www.sjmk.org/
ツイッター https://twitter.com/shumonken/
※ダイジェストはツイッターでも好評発信中です。ぜひフォローを。
◆発売中の『世界』8月号に当研究会の論考が掲載されています。
ぜひご一読ください。
http://www.sjmk.org/?p=300
◇『世界』7月号、6月号にも論考が掲載されました。
http://www.sjmk.org/?p=194
http://www.sjmk.org/?p=118
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5556:150806〕
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