老齢期には保険の利用も再考を
- 2015年 8月 29日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
田畑光永氏の保険のお話。 如何にも面妖なお話で、そもそも、月々何万円もの掛け金を払える老齢の者がどれほどいるのであろう、と考えてしまいます。
但し、言われるところの「保険会社は集めた保険金を運用して利益を出し、それを一定の条件で顧客に払い戻す」ものでは無く、「大金を運用して利益を得たいので保険を御題目に、顧客と云う名の本来は『出資者』たちから、保険金名目で元本を集める」のです。 つまり保険会社なるものの実態は、他人の金を元本にする投資会社なのです。 当該の会社が得る利益の割には、客が得るそれは過少に過ぎるのが現実でしょう。
さて自分のことですが、二か月に一度の年金振込み日には、月額にして税込みで20万円あるかないかの金額で、とてもそんな大金を保険に支払えるものではありません。 それでも、国民年金一本の知人は、羨ましいそうですが。
従って、私の保険は、月額2千円の共済保険です。 年に一度の清算で幾らかの払い戻しがあるので、実額の保険料は、月2千円足らずです。 その程度の保険料ですので、保障額は、多額ではありませんが、元々、公的保険で殆どが間に合いますので必要が無いのです。 それに、今更、死亡保険金等は不要です。 保険の保障額を多額にして安心を得たい人は、それで満足するのでしょうが、老齢になってまで死亡保険金を多額にする必要があるのかどうかを冷静に考えれば、殆どの人が不要、と判断されるでしょう。
市民共済、府民共済等の生協方式の保険は、宣伝経費を削減したものなので、大手の保険とは認知度が相違しますが、使い勝手は、こちらの方が優っているようです。 宣伝は、殆どが利用者の紹介になるようで、後はパンフレット等しかありませんが、口コミで広まっているようです。 私も何人もの友人、知人に紹介して喜ばれました(但し、特定疾患の告知義務等の法令に依る義務条項には、厳格ですのでご注意を)。
この保険は、そもそも、私の母が、家族のために紹介し、私も入ったのが最初です。 私の母は、一時は、保険の外交員をしていましたので、保険商品には詳しくて、自分と家族のためには、これが一番と判断したのです。 母曰く、保険と貯蓄や投資は、完全に分けて考えるべき、と。 それでも、家族のために別会社の死亡保険に加入していましたが、その保険金を、私は受け取らず、妹弟に全て渡しました。
因みに、老後資金の運用ならば、元本が確実なものにするのが基本で、間違っても自分が理解出来ないものには資金を投じないことです。 現在では、銀行、郵便局でも元本が目減りする投資信託等を組みあわせた商品(変額年金、変額保険等)を売り出していますが、肝心要の投資信託等が下手な手法に頼る二流、三流のものなので、元本の目減りを目前にして狼狽える方々が多いようです。
投資と割り切るならば、インデックス・ファンドを月々何がしかの金額で買う手法(ドル・コスト平均法)で長期に渡り、淡々と買うのが一番です。 インデックス・ファンドとは、日経平均、トピックス等に準じる成績を目指す投資手法に依るもので、特定銘柄の選択をしないものです。 市場平均を目指すので、コスト削減になります。
その場合でも、何年かの投資実績があるファンドを何本も比較して自分が納得できる投資信託を買うのが一番で、信頼出来るファンドならば、顧客や希望者を相手に、説明会、勉強会、と銘打って実施している会合に参加してみるのが良いでしょう。
証券会社へ行き投資商品を買うのが一番危険です。 一部良心的な会社を除き、日本の証券会社は、客が支払う売買手数料が狙いですから、場合によれば身ぐるみ剥がれる結末が待っています(「回転売買」と云います)。 顧客にとって最適な投資商品を紹介せず、手数料を稼げる商品を紹介するのが常だからです(その折の種にする二流、三流の投資信託が何千と設定されています)。 これは、証券会社にとってみれば当然ですが。
投資信託等では、優秀なものは、宣伝経費をかけずとも顧客の紹介が宣伝になりますので、投資を始める場合には、注意しなければ損をします。 今では、売買手数料が不要な、即ち、ファンドの会社と顧客との直接売買に依る投資信託(直販投信)が出来ていますので、これ等を長期投資に依り保有するのが私の方式です。 加えて外債です。 円高時に豪ドル等を買い、債権を買うのです。 円安に振れれば、為替と債権から利益を得られます。 先日の投稿にありますデイトレ等は、一般人には不可能ですから。 銀行の利子より多ければそれで良いのです。 過剰な欲望は、失敗の基です。 それに元本も少額ですし。 ただし、これは、あくまで私流ですので、念のために申し添えます。 いずれの投資商品も元本の保障はありませんので、場合に依れば利益どころか、元本も失う危険がありますので、ご自分の責任で行って下さるように願います。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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