冷酷な似非政治家に一太刀でも報いたい
- 2015年 8月 31日
- 評論・紹介・意見
- 熊王信之
国債乱発の尻拭いを日銀にさせる財政ファイナンスを、恰も日本経済復活の救世主の如く喧伝している安倍政権が、消費拡大が思うように進まない、何等かの政策が必要との認識が進んでいるそうです。 人工的にインフレを起こせば消費も拡大するとか言う論理でしたので、金融緩和が原因でなくても、円安が契機で輸入インフレになれば消費拡大になる理屈でしょうが、其処のところはどうなっているのでしょうか。
焦点:夏場も期待外れの消費回復、低所得層拡大に政府も危機感 ロイター Business | 2015年 08月 28日 17:41 JST
経済論議は兎も角、こんな単純な原因と結果を理解できず政権の要職は勤まる訳は無いでしょう。
一般国民であれば、所得が少なくなれば消費を削減する他には選択肢は無いのですし、例え、或る程度の所得があったところで、国民に自助努力を求め年金から各種の保険、そして社会福祉関連の予算を削減する意思がありありと観える政府を持った一般庶民は、消費を縮小することの他には自己防衛の手段が無いのです。 そして、出来れば老後の蓄えに少しでも残したいのが国民の心情でしょうし。
この国では、老齢になり、年金を頼りに暮らしていても、僅かばかりの年金からでも国税、地方税と保険料が差し引かれます。 私の住む自治体では、今年の介護保険料の通知書に、来年度以降の更なる保険料の改定も予め告知されていました。 しかしながら介護保険料は、天引きされても、自身が介護施設に入る手立ては無いに等しい現状ですし、各種の介護サービスを受けるには、老後資金を充分に保有していることが第一条件です。 突き詰めて考えると、自身が介護難民になる確率は相当に高いのです。 結局のところ、低所得の国民は、老いも若きも消費を削減する他には方途が無いのが現実です。
安倍首相他の高所得の方々には、承知されている筈はありませんが、夜遅くにスーパーに行くと、低所得者と高齢者がその日の見切り品を漁っているのを見ることが出来ます。
私もその内の一人で、店員さんとは顔馴染みになっています。 担当の店員さんが値下げの商品札を貼ると同時に目当ての品を買い物籠に入れるのですが、そうすることで、二千円、三千円と嵩む金額を千円、二千円程度に収めることが可能になります。 買いものは、主に食品です。 他は、ネットで低価格の商品を狙い定めて買い物です。 実際には、「お気に入り」に入れて買った積りになることが多いですが。
私は、四〇年以上勤務しましたので退職金は頂きましたが、住宅ローン返済で半減しました。 退職後は、所得も大幅に減るのは分かっていましたものの、老後資金は思うようには貯められず、思い切って投資に賭けてみましたが、安全第一の手法ですので、僅かばかりの増加に止まっています。 この先、介護や自宅の補修等で、大金が入用になれば困るのは当然ですが、為すべき方策はありません。 小銭を数えながら、情けなさに不覚にも涙することもあるのが事実です。 僅か数日間のデイトレで四十億円もの稼ぎを得る人が居る反面で、四十年以上も働いて、尚、老後の不安に怯える者も居るのがこの国です。
何より、年金が減ることには、恐怖を感じます。 今のままでは、例え、額面で少々増えても、税と保険料が更に増えるので、手取りは減るのです。 しかし、これでも、私は、まだましです。 三度のご飯に困ることはないからです。 私よりも低所得の人は、食事にも事欠くのが普通です。
本年の初夏に、大阪市の下町を訪れて、うらびれた商店街を駅に向かっていた折のことです。 私の前を歩いていた初老の男性に追いついた人が、「今日は、朝からメシ喰ってへん。 お金、貸してくれるか~。」と、泣きつくように言ったところ、その知人と思しき人が答えて「ワシも喰ってへんで~。 金なんかあるかい。」と答えたのでした。
自助努力を喧伝し、他人に求めるのは簡単です。 でも求められても、如何にも術が無い人たちも多いのです。 人生の最初から、いくら努力しても安倍首相他とは出発点が違う人たちが居るのです。 そうした人たちに、自助努力を求め、応えることも出来ず、切り捨てるのみでは社会は乱れます。 いざとなれば、国や自治体が救助の手を差し伸べてくれる、と云う安心感さえあれば、私でも、もっと買いたいものを買います。
実は、今日もトイレの修理を如何にするか、と悩んでいました。 トイレを改築するのには、何十万円とかかるので、日曜大工で部品を新しく取り付けて様子を見ることにしたのですが、何時まで修理を引き延ばせることやら。
ともあれ、今の日本では、低所得の人たちを切り捨てる政策を実施すべく群れている冷酷な政治屋が多いのが、現状でしょう。 身近な例で言えば、大阪市の下町の商店街で飯を食べていないと会話していた人たちを更に追いつめるべく、またしても「都構想」なる似非改革を掲げて選挙に臨むことを希望した橋下氏もその内の一人であるのに間違いはありません。
橋下氏、大阪知事選「松井氏以外に人材いないのでは」と再出馬希望 産経West 2015.8.6 18:56更新
全くの個人的なことですが、私は、橋下氏が消滅を企図されておられる大阪市には聊かの恩義を感じています。 その昔、私が未だ若くて労働組合の執行委員をしている頃に、大阪市の労働会館で主催された労働問題の講座に通っていたことがありました。 講師は、名高い教授陣で、特に労働法の講座は、最新の判例解説もあり有益でした。 講座終了時には、交歓の場も設けられて主催者側と意見交歓を行ったものでした。
会場になった会館には、結婚式場もあり、経済的な経費で挙式も出来ましたので、友人の結婚式場として紹介をしたことがありました。 また、妹の結婚式場としても利用したこともありました。 更に、最近では、あるターミナルにある生涯学習センターで、市の生涯学習の講座に参加もしていました。
残念なことに、バブル崩壊後は、次々と合理化の波が押し寄せて、労働会館そのものが合理化の対象となり、また、私の通っていた生涯学習の拠点は、橋下氏の下で消滅しました。
其処で、聊かの恩義のある市が消滅の危機にあるのを傍観していることが出来ず、個人で反「都構想」の運動もしました。 幸いにも勝利したのですが、尚、未だ鎌首をもたげる意思を示す輩には怒りを覚えるものです。 年老いても、これ等の似非政治家に一太刀でも報いたい、と決心を固めているところです。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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