米大統領を狙う社会主義ユダヤ人 バーニー・サンダーズ
- 2015年 11月 11日
- 時代をみる
- アメリカ平田伊都子
社会主義者がアメリカ大統領選に挑戦して、どこ悪い? ユダヤ人がホワイトハウスを目指してどこ悪い?? 全然OKです。 アメリカは移民の国です。 黒人が13.1 %、ヒスパニック系が16.7%、アジア系が4.8%、白人が64.5%、その中で先住民のインデイアンやアラスカが0.9%、、オバマ黒人大統領が言う通り、アメリカ人はワンスアポンナタイム(その昔)、誰もがストレンジャー(よそ者)だったんです。 よそ者が先住民を隅に追いやって作ったアメリカ、、パレスチナ人を追い出してイスラエルを作ったユダヤ人に似てますね? イスラエルも様々な所からきた移民の国です。
そして今、アメリカ大統領選挙に社会主義ユダヤ人バーニー・サンダーズが殴り込みをかけてきました! 薄くなった白髪を靡かせ、斜視の目を眼鏡の奥で光らせる74才、、45代米大統領候補は異様な迫力があります。
(1) ワンスアポンナタイムインアメリカ:
バーニー・サンダーズは1941年、ニューヨークのブルックリンで、ユダヤ系ポーランド人移民の息子として生まれた。父の親族は、その殆どがドイツ・ナチス強制収容所で命を落とした。ワンスアポンナタイム(その昔)からよそ者が住み着き、エキゾチックで隠微な魅力に溢れた港町、それがブルックリンだ。ブルックリンは種々雑多な映画や小説を生み出してきた。その代表格が<ワンスアポンナタイムインアメリカ(かってのアメリカ)>という映画だ。
<ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ>(原題:Once Upon a Time in America)は、1984年製作のアメリカ・イタリア合作ギャング映画で、セルジオ・レオーネ監督・脚本作品だ。1930年代の禁酒法時代にニューヨークのユダヤ人ゲットーで育った二人のギャングの生涯を描いている。レオーネの遺作にして代表作でもある。映画の荒筋は、ユダヤ系移民の子、ヌードルスがある日、仲間たちと酔っ払いから財布を抜き取ろうとする。が、一人の少年にそれを阻まれる。その少年はブロンクスからやってきてマックスといった。ヌードルスとマックスは最初は張り合っていたが、やがて友情で結ばれていく。禁酒法を利用して次々と犯罪行為に身を染めていった少年たちは、一時は成功の美酒を味わう。しかし、意外なことから彼らの転落が始まる・・・・・・と物語はブルックリンを舞台に展開していく。が、殺しや拷問などのシーンがあまりに残酷で血生臭く、筆者はYouTubeの映像を閉じてしまった。なんたって、これでもかこれでもかと残虐シーンをエスカレートさせていったマカロニウェスタン監督セルジオ・レオーネの遺作だ。
サドマゾ趣味の方はぜひ、YouTubeをクイックしてみてください。
(2) 筋金入りの社会主義者:
御多分に漏れず、バーニー少年の家庭は貧しかった。ユダヤ移民の父親は、塗料のセールスマンなどをやっていた。貧しいユダヤ人居留地区に住むバーニーと対照的に、同じニューヨークの高級住宅街で、大統領選の仇敵・共和党候補トランプ坊やが、ぬくぬくと裕福に育っていた。
シカゴ大学在学中のバーニーは、学生非暴力協力委員会と学生平和組合のメンバーだった。1964年に卒業した後は、イスラエルのキブツで数か月間過ごし、ユダヤ人としての人格と政治的思想を形成した。ヘブライ語で集団を意味するキブツは、1909年にパレスチナに移住したユダヤ人たちが創設した集団生活共同体だ。社会主義とシオニズムが実際的な労働シオニズムの形で結合したキブツは、イスラエル独特の社会実験であり、歴史上最大の共同体運動の一つだ。ユダヤ教や社会主義的イデオロギーをバックボーンにした共同社会的生活様式は、1960年代や70年代の世界の若者を惹きつけた。
かくして、バーニーも、<筋金入り民主社会主義者>の産声を上げた。
(3) 筋金入りの左翼政治家:
大工、映画製作、作家、研究者など様々な職を転々としたバーニーは、バーモント州バーリントン市長(1981年 ~1989年)を皮切りに公的政治活動を始める。その後、下院議員(1991年 -~2007年)を、通算8期16年間務めた。
2006年の下院から上院への鞍替え立候補では、民主党はじめバーモント進歩党、アメリカ民主社会主義者などから支援を受ける無所属候補として選挙を戦った。当時上院議員だったバラク・オバマ(現大統領)などの強力な応援を得て、バーニーは上院議員の席を勝ち取った。さらに2012年には、支持率71%を得て再選された。
左翼政治家としてのバーニーは、アメリカ中産階級の収入成長低下や収入格差に焦点を当ててきた。上院の退役軍人(VA ベテラン)委員会の議長を務め、また環境及び公共事業委員会でも働いた。さらに、地球温暖化と破損状態のアメリカの下部組織の再建にも焦点を当てている。エネルギーと自然資源委員会の委員でもあり、アメリカを化石燃料から、太陽や風力エネルギーのような再生可能なエネルギー利用システムに転換させようと尽力している。また健康、教育、労働、年金委員会にも参加していて、国民皆保険オバマケアへのより大きな道を開き、幼稚園前から大学に至るプログラムにおける、教育制度の改善にも努力してきた。
(4) 信念を曲げない大統領候補:
バーニー・サンダーズの選挙戦公約はオバマの2008年第一期大統領選公約に酷似している。
(1)全国の最低賃金を15ドルにする。まず政府が率先して実施。
(2)公立大学の授業料を無料化。
(3)全国一律の官営医療保険制度の創設。
(4)リーマン・ショック再発防止のための、厳格な金融業界への規制。
(5)金権選挙撲滅のための政治資金規制。
(6)徹底した温暖化対策。
(7)不法移民の合法化。同時に国境における「壁」建設には反対。
(8)賃金の男女平等
などなど、、、(ニューズウィーク日本版2015・09・09参照)
2007年時点で、アメリカ合衆国はイスラエルに次ぐユダヤ人居住国家であり、約512万8千人を数える。アメリカ全人口の約1.7%を占める。統計によっては644万4000人というデータが存在し、この場合の人口比はアメリカで2.2%になり、アメリカ合衆国は世界一のユダヤ人居住国家となる。。ちなみに2007年のユダヤの本拠地イスラエルにおけるユダヤ人人口は543万5800人、で全イスラエル人口の75.7%を占めている。
イスラエル首相ネタニヤフとの関係が冷めていた今年の夏ごろ、黒人アメリカ大統領オバマは「僕のほうが、イスラエル首相よりアメリカ・ユダヤ人の気持ちがよく分かる」と、話していた。
2015年11月8日、イスラエルのネタニヤフ首相とオバマ黒人アメリカ大統領がホワイトハウスで会いました。 二人のよそ者は何を語ったのでしょうね? 社会主義ユダヤ人・バーニー・サンダーズ米大統領の実現では?という噂です。 そして11月10日、あの強面のイスラエル首相ネタニヤフが北アメリカユダヤ同盟全体会議で見せた、いつにない笑顔、、ユダヤ人アメリカ大統領を誕生させ、アメリカ制覇を狙っているのでは??
米大統領選挙決選がトランプVSバーニーという構図になったら、億万長者VS 99%貧民、、政治ド素人VS 政治オタク、、移民反対VS移民歓迎、、イラク再占領VS イラク戦争反対、、、などなど、対立点がはっきりしていて面白くなりそうですネ!
文:平田伊都子 ジャーナリスト イラスト:川名生十
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3121:20151111〕
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