テント日誌11月10日(火) 経産省前テントひろば1522日
- 2015年 11月 12日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
段々と年末が近づくテントだが…
忘年会の知らせが、ちらほらと舞い込む季節になった。今年はどうだったかと自然と回顧していることもあるが、どうやら「今年は良かった」とは思えることは少ない。そういう感慨を持つ人の方が多いのではないか、と密かに推察をしているが、私事では3月の入院のことがある。前からいくらかは気になっていた、心筋梗塞などのことだが、病状の発見が早かったことを幸運というほかない。これは予想もしなかったことだけれど、その後にもいろいろと健康上のことに気を使う羽目になることも続いている。体というか、健康にというか、それにはいくらかの自信があって無頓着に過ごしてきたことの反省を何かが促したこととして受け止めていけばいいのか。自分についての小さな変化の訪れた今年だったのだが、テントはどうなのだろうか。
2月26日にテント裁判の地裁判決があった。テント裁判は国側から仕掛けられたものであったとはいえ、テントの存続に関わるものだけに重大事であった。この判決は国側の訴えを全面的に認めたものであり、予想されていたこととはいえ、衝撃的なことだった。管理地の侵害という形で、国側が脱原発の訴えを門前払いでもくらわすかのように排除する構造の現認をあらためて確認させられることであったからだ。5年目に入るテントだが、夜遅くまで灯りも消えない経産省を見挙げながら、彼らはどのように原発事故を総括(反省し)、また、原発再稼働を準備しているのか。誰が、どのようにそれを決定しているのか、と何度も思った。彼らは原発の再稼働や存続に反対する多数の国民(市民や地域住民)の声を聴こうとしているのか。それらは十二分に分かっていても、無視をせざるを得ない何かがあるのか。彼らが原発を存続させる理念的の根拠は何か。僕らは経産省の中でことを進める人たちのことを、あれこれ想像し、問いを投げてきたのである。このことは何故、誰が、どのように原発を推進しているかの問いかけであるが、それは同時に原発をどのようにすれば廃棄できるかを問いかけていることでもあった。裁判は僕らの問いかけが、山のこだまのように空しく返ってくるように思われるものだった。仕切り直しとして、控訴審はあったが、事態は同じだった。
原発を推進する国や権力、あるいは電力業界などの動きに対して闘う脱原発―反原発の運動は総合的であるほかない。それは政治的・社会的な多様な形態を持つものであり、一見すると何のつながりもないように見えるものが深くつながっているようなものだ。この総合的ということは運動が重層的にあることを意味する。ということは個々の運動はその一部をなすにすぎず、それぞれは個別的(現象的には孤立的)にあるのであり、この総合性は想像力において確認して行く他はない。いうまでもないことだが、脱原発運動はまた、他の運動(たとえば辺野古新基地建設反対の運動や戦争法案に反対する運動)と重層的な関係にある。個々の運動が陥りがち孤立感から解放されているために、総合的な展開を、重層的な形態の姿とともに感受していることは大事になる。個々的にありながら、他の運動と関係しているのであり、つながっていることの感覚は運動を内から支える力なのだ。権力の動きだけでなく、運動にも想像力が働くことは大事だ。運動はほっておけば、内向きになり、孤立感を深める。それは僕らが個々的な存在であることに根拠を持つ自然過程だが、想像力を働かせることでこれをこえなければならない。そして、ちょっとした行為が、例えばテントや官邸前に寄ってみることなどの事が、想像力を動かす契機になる。人間は面白いものでちょっと体をうごかすということが予想外のことを生じさせるのだ。テントという存在が、いろいろのことを生んでいるようにである。
裁判は最高裁への上告が提出されそれも認められた段階である。これから最高裁での裁判になるが、高裁は地裁判決にあったテント撤去の仮処分を認めているから、国側はそれをいつ行使してくるかはわからない。でも、裁判は国側の提訴であり、それと関係なく国側の撤去の動きは当初からあるのだから、そこに戻っているに過ぎない。その意味で、テントはそれを確認して、対応力を強めて行かざるを得ない。それだけの事である。テントは経産省側との緊張が強まる中で、泊りなどの体制も強化されている。僕らが、テントひろばという形態で提起した初源のところに事態はあるのだから、その当初のことを繰り返し確認しながら前の方に向かっていくしかない。
僕らの問いかけを無視し、閉じられた機構のなかで、原発の再稼働や存続が決められていくことは僕らに厚い壁を意識させるが、壁の内側ではそれなりの流動は起こっているのであり、彼らが確信を持ってことを進めているのではない。彼らの僕らに問いかけの無視は彼らの確信の強さを意味しない。これは僕らが、経産省を見上げ問いかけを発しながら推察してきたことだ。国会周辺で人々の粘り強い、そして従来とは違う意思表示が続いていることは彼らの内部にも影響を与えているはずだ。国会周辺では官邸前抗議行動に続いて、毎月19日は「総がかり行動」が提起されているし、毎日、国会正門前の行動もある。これまでには見られなかった光景が出現しているし、それは権力の側に大きな影響を与えているのだ。こうした運動というか、風景にテントはそれが存在することで、影響し、また、それらから影響されつつ存続している。忘年会で楽しむのもよし、だが、時間を見つけてテントに足を運びテントならでは楽しみをみつけるのもいいものだと思う。テントを含めて国会周辺で楽しい事柄を実現するのもいい。今年こそ、テントや国会周辺で何かをやろうという人は是非とでもいうところであろうか。(三上治)
テントに二ユース65号ができました。(添付します)
今日、ニュース65号を添付の内容で発行しました。1500部印刷し、テントに500部届けておきました。先にお送りした原案は破棄してください。
なお、東京高裁で上告状が受理されたことから、テントの強制撤去の仮執行については、経産省が一定の考慮をするものと思われますが、法的には執行が出来ないわけではありません。継続して、泊まり込み体制を強化する必要があります。(E・O)
テント企画の映画会
次回は14日(土)19時からです。
いつも通り、映画は無料、懇親会(ディスカッション)はカンパ制です。
場所は第二テント、万が一の時は事務所の予定です。
タイトルは「文革宣伝画」
胡傑監督最新作です。
文化大革命の時代にポスターや壁画、ビラなどプロパガンダ絵を描いていた人々のインタビューからなるドキュメンタリー。 本邦プレ初公開、日本語字幕付き 先週、字幕付を入手した出来立てホヤホヤです。
<イベント紹介>
◆テント撤去するな!経産省抗議行動
日 時 :11月13日(金)17時~18時 (毎金曜日継続)
場 所 : 経産省正面歩道
主 催 : 経産省前テントひろば
◆再稼働反対!首相官邸・国会前抗議
日 時 : 11月13日(金)18時30分~20時 (毎金曜日継続)
主 催 : 反原連ほか
◆★緊急集会★
~TPP協定文リリースを受けて~このまま「批准」させてはならない!
日 時 : 2015年11月13日(金)18:30~21:00 ※開場18:00
会 場 : 連合会館203会議室 ※地図はこちら
http://rengokaikan.jp/access/
発言者 : 山田正彦(元農林水産大臣、TPP交渉差止・違憲訴訟の会幹事長)
首藤信彦(TPP阻止国民会議事務局長)
内田聖子(アジア太平洋資料センター事務局長) ・・・他
主 催 : NPO法人 アジア太平洋資料センター(PARC)
◆私たちはあきらめない!戦争法阻止!安倍内閣退陣!国会正門前集会
日 時 : 11月19日18時30分~ (毎月19日継続)
場 所 : 国会正門前
主 催 : 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会
◆脱原発をめざす女たちの会11.23集会
講 演 : *原子力を廃絶するために必要なこと~小出裕章
*福島の今~武藤類子
日 時 : 11月23日(月)13時~
場 所 : 浜離宮朝日ホール(小)
主 催 : 脱原発をめざす女たちの会
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