逃げられないのに何故再稼働なのか?(『DAYS・JAPAN』今月号(2015/12):「特集 愛媛県・伊方原発」より)=県民・住民を踏みつけて稼働していく原発と、その県民・住民を守ろうとはしない知事・首長
- 2015年 11月 22日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
今月号(2015年12月)の『DAYS JAPAN』が出ました。今月も見逃せない報道で満載です。以下、簡単にご紹介いたします。また、今月号で特集となった伊方原発再稼働問題について、若干のことを申し上げます。『DAYS JAPAN』は、企業などからの広告収入を受け取らず、みなさまの購読料のみにて運営がなされている、日本では数少ない(経営)独立系の「真実報道」「ホンモノ」のフォト・ジャーナリズム雑誌です。みなさまの定期購読が、この『DAYS JAPAN』の取材と報道と若手ジャーナリストの育成を支えています。みなさま、どうぞ定期購読をお願い申し上げます。(お申し込みは、下記の『DAYS JAPAN』のサイトをご覧ください)
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(今月の特集記事・注目記事など)
(1)特集:愛媛県・伊方原発:逃げられないのに なぜ再稼働なのか!
(2)特集:地獄化するシリア・イラク
(3)事故5年目を迎える福島:原発事故が奪った村
(4)コラム 編集委員「おしどりマコ・ケンの実際どうなの!?」:放送大学、政権批判の問題文削除で脅かされる学問の独立
(5)辺野古に基地は造れない
(6)コラム「OUTLOOK」:辺野古での国の暴挙は「第二の琉球処分」(文/斎藤美奈子)
(7)その他
(伊方原発再稼働で踏みつけにされ、切り捨てられる地域住民=佐多岬半島に居住する人たちは原発過酷事故では逃げられない。にもかかわらず、愛媛県知事も県庁も、伊方町も町長も、地域住民を原発とその過酷事故から守ろうとはしない。近未来に福島をはるかに上回る悲劇が襲うことになる。いったいどうなってるのか)
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全くひどい話です。記事をご覧ください(サイトの記事紹介には、話/阿部悦子
(前愛媛県議会議員)、草薙順一(伊方原発をとめる会事務局長、弁護士)、とあります。阿部さんはついこの間まで愛媛県議として脱原発に奮闘されておられた立派な方です。草薙さんは失礼ですが存じ上げません)。こんなところで、どうしてかような危険極まりない原発を再稼働する必要などあるでしょうか。最初のページにある真っ青な海と空に浮かび上がった佐多岬半島と伊方原発の写真を一目見て、これはいかん、と思いました。
あとは記事を読み進むにつれて怒りが込み上げ、また、地域の人々のことに思いをはせ、胸が痛みました。原発にもしものことがあれば、少なくとも伊方原発より西の佐多岬半島にすむ人々は、逃げられないまま、猛烈な放射能の中に閉じ込められ、致死量的な被ばくを余儀なくされるでしょう。こんなことが許されていいのか。これは未必の故意の殺人行為ではないか。伊方原発は廃炉しかない。そう確信させられました(みなさまには原本を入手の上、ぜひ、全部の記事をご覧いただきたいと思います)。
しかも、伊方原発のある位置は、瀬戸内海の西の端・四国地方の西の端です。原発が過酷事故を起こせば、瀬戸内海と西日本は放射能に汚染され、取り返しがつかない事態となるでしょう。既に東日本は福島第1原発事故で汚染されてしまっていますから、伊方や川内などの西日本の原発が過酷事故となれば、日本はほぼ、絶望的な状態で、放射能汚染国となり、以降、数百年間にわたり有権者・国民は放射線被曝の中での生存・生活を余儀なくされるでしょう。宮崎駿氏のマンガ「風の谷のナウシカ」のような世界が日本に現実化します。(「風の谷」があるかどうかもわかりませんが、もしなければ、日本は滅亡です)
(記事から少し抜粋:一部私が加筆修正要約)
*佐多岬半島危険地図(地域全体が高齢化し、要介護・要支援者が増えている。また、いたるところに地滑りなどの危険性が高い箇所が散在している)
*驚くのは、ほとんどの集落が、県が定める地滑り危険個所、急傾斜地崩壊危険個所、土石流危険渓流のすべて、またはいずれかを複数抱える。
*さらに一時避難所がその指定区域内に入っている。
*佐多岬半島は全体が日本三大地滑り地質と言われる三波川変成帯からなっているが、何故か原発が立っている場所だけは地盤が強固ということになっている。(伊方原発が地滑りの土砂で埋まる可能性も大いにあり)
*半島唯一の国道197号線にはトンネルが多く、2005年に地滑りによって崩壊したという名取トンネルは今、入り口が塞がれ蔦に覆われていた。
*事故時には、半島の人々はこの三崎港からフェリーや県が手配する船舶によって大分に逃げることになっているが、フェリーの定員はせいぜい250人程度だ。(伊方原発より西側の佐多岬半島の人口は約5千人)
*ここの風は季節によってはほとんどが東からの風で、(中略)風によってはおれたちは放射能と一緒に逃げることになる。
*内閣府が2002年に出した南海トラフ巨大地震による津波想定は、佐多岬半島を含む伊方町で最大21メートル(伊方原発の津波対策は最大8メートル)
*世帯数わずか30世帯、60歳以上の人が80%を超える明神集落(15~20km圏)も、避難場所にもなっている公民館は海沿いで、土砂崩れ危険個所。
*空き家や廃屋が多くあり、地震が来るとそれが崩落する可能性大、道路は狭く急斜面の階段で、車いすも自転車も入れない。(誰がどうやって避難させる?)
*伊方町の原子力災害時避難行動計画では、原発から5キロ圏外の住民は、原発の状況がA~Dの4段階のうち、3段階のCレベル「全面緊急事態段階」になっても、基本的には「屋内退避の指示を実施する」と書かれている。
*自宅退避をさせた後、放射能が充満する場所に誰が助けに来られるんですか? 買い物にも行けない、助けも来ない、ライフラインも使えるかどうかわからない、「屋内退避じゃなくて、これは屋内安楽死だよ」
*同計画では、住民への事故の周知に際して、Cレベルまでは「現在のところ、環境の放射能の影響はありません」とアナウンスすることが明記されている(ウソだ!!)。
*河田恵昭関西大学教授が、南海トラフ巨大地震が来たら、四国は全部の火力発電所が津波で被災し、5か月以上停電する、という論文を出している。
*浄水場のポンプも電気を使いますので断水の可能性大 ⇒ 愛媛県は「各家庭においては7日分を目標として飲料水の備蓄に努めるよう県の防災計画に入れる」(お話にならない。飲料水の確保も危うい)
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(田中一郎コメント)
ちなみに、四国地方は伊方原発が発電などしていなくても、電力は十分に足りていて、更に圏外の関西電力に売電をしている状態。つまり伊方原発は、四国4県にとっては全く必要のない発電装置であり、ただ単純に、四国電力という一私企業の金儲けのために稼働されているに過ぎない。四国にとっては必要性はゼロだ。
(伊方原発3号機について、少し前の私の伊方原発についてのコメント)
福島第1原発事故の教訓を踏まえていない点や、加圧水型原発として川内原発や高浜原発と同様の安全上の大問題があること,更に西日本に位置する原発であるため、過酷事故等による放射能の大量放出は、日本全土を取り返しのつかない放射能汚染地帯に変えてしまうことになることに加え,下記の諸点に注目
(1)伊方原発の立地上の問題(緊急時のアクセスや支援ができない,地域住民の避難ができない)
(2)日本最大の活断層である中央構造線が目の前にある
(3)近未来に高い確率で南海・東南海大地震が予測されている=650ガル、8m(津波)の想定ではとうてい間に合わない=自殺行為
(4)伊方原発周辺では、瀬戸内海の対岸にある米軍岩国基地に離着陸する米軍機などが頻繁に墜落事故・航空機事故を引き起こしてきた=危険(無防備),昨今は、悪名高いオスプレイまで日本に上陸している。
(5)MOX燃料を使う=MOX無審査は高浜原発と同じで危険極まりないことに加え、使用済みMOX燃料がやっかいだが行き場がなく、加えて伊方原発の場合には置き場もない。
(6)四国電力は地域独占の既存電力会社の中では北陸電力と並んで体制が脆弱であり、役職員や財務状況の現状のレベルでは過酷事故に対して対応できない、などの大問題を抱えている
〔参考)伊方原発を止めておくべき5つの理由:グリーンピース
http://m.greenpeace.org/japan/ja/high/news/blog/staff/5/blog/52900/
(たんぽぽ舎MG(2015.11.21)より)
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┗■1.四国、伊方原発の広域避難訓練の問題点少しでも小型船舶の知識があれば津波の後、漁船で避難することが不可能である
└──── 井出久司 (原発さよなら四国ネットワーク)
愛媛の井出ですが、先程行われた広域避難訓練。船で住民が避難する、とありますが、小型船舶はまず役には立ちません。主に漁船を想定しているようですが、津波の後、漁船は利用できる可能性はほとんどありません。津波で港が使えない等の理由より前に、津波の後の海の中が普段の状態ではないからです。天候もありますが、それ以前に津波の後の海水は瓦礫だらけ。流木、ロープ等が当たり前に海を漂っているので、小型船舶のスクリューはロープが絡まる、流木や瓦礫に当たる等でスクリューが変形、エンジンが故障することは目に見えるようである。
少しでも小型船舶の知識があれば津波の後、漁船で避難することが不可能であることは言わずとも明らか。先日、知り合いの漁師と奥さんと話した時、そうだそうだと言われてました。逃げられる訳はない! と。そもそも現場を知らぬ官僚の作った避難計画だからものの役に立つ訳はない! 津波の後の海がどういう状態か、小型船舶のスクリューの弱点がどうか、ということを全く知らない官僚が避難計画を作ることからしてそもそも笑止である。その他、避難計画は誠に杜撰(ずさん)で役立たずではあるが、一般市民がニュース等の報道で洗脳されるには十分なのかも知れない。
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┗■2.再稼働は見直すこと、再稼働には30キロ圏自治体の同意と住民説明会を求める意見書を国と県に提出せよ
| 自治体議員191名が伊方原発30キロ圏6自治体に請願・陳情提出
└──── けしば誠一 (反原発自治体議員・市民連盟 杉並区議会議員)
◯ 11月16日、全国191名の自治体議員が、伊方原発30キロ圏自治体の首長と議会に、伊方原発再稼働に関する請願・陳情を提出しました。10月22日伊方町長が伊方原発3号機の再稼働に同意を表明し、10月26日愛媛県知事が、四国電力社長に再稼働同意を伝えたことに対する反撃です。反原発自治体議員・市民連盟が呼びかけ、11月2日に、愛媛県と伊方町に180名の連名で30キロ圏自治体の同意と住民説明会を求める請願・陳情を提出しています。
◯ 福島第一原発事故後、原発から30km圏にある160の自治体にも避難計画の策定が義務付けられました。福島原発事故の被害状況をみれば、30キロ圏内はもとより50キロ圏を超える飯館村においても全村避難が続いており、チェルノブイリでは30キロ圏が立ち入り禁止区域とされています。30キロ圏自治体を無視し、伊方町と愛媛県の同意だけで再稼働を認めるわけにはいきません。
◯ 周辺自治体議員が超党派で賛同、紹介議員に
請願は、「避難計画に実効性がなく、住民の安全を確保できない現状で再稼働は見直すこと、再稼働には30キロ圏自治体の同意と住民説明会を求める意見書を国と県に提出せよ」とするものです。当日議員・市民連盟から、けしば杉並区議、布施清瀬市議、柳田事務局長ら、地元から山本鬼北町議、堀内美鈴さんが参加。自治体によっては無所属、社民党、共産党、自民党まで紹介議員となり、再稼働への党派を超えた危機感がわかります。16日朝8時半宇和島市に集まり、西予市、八幡浜市、大洲市、内子町、伊予市と6つの自治体を回り、首長と議会議長あてに請願・陳情を提出しました。
◯ 八幡浜市ではマスコミが取材・報道
伊方原発の再稼働をめぐる住民投票の直接請求署名運動が行われている八幡浜市では、NHK愛媛、愛媛テレビ、愛媛新聞が、市当局とのやり取りを取材し、翌日新聞で報道されました。11月2日の新城杉並区議、有賀日野市議、布施清瀬市議らの行動には、山本鬼北町議、渡辺愛媛県議が同行、愛媛新聞やNHKテレビ等が報道しました。原発立地の議会では少数派の反原発議員を激励し、粘り強く闘う地元市民運動との連携を強めることができました。愛媛県内30キロ圏6市町での12月議会の審議結果を受け、来年2月の第1回定例会(県と6市町)に向けさらに賛同を拡大し、再稼働を止める取り組みを強めます。
(たんぽぽ舎MG(2015.11.20)より)
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┗■3.伊方原発に反対し、住民説明会の開催を求める愛媛県・伊方町への要請行動を実施 (11月2日)
| NHKや毎日新聞が取材に訪れ、その後、愛媛新聞や朝日新聞、産経新聞から問い合わせ
└──── 新城せつこ(東京・杉並区議会議員、反原発自治体議員・市民連盟)
○伊方原発の再稼働に反対し、住民説明会を求める「全国自治体議員の会」の愛媛県知事・県議会、伊方町長・町議会への請願・陳情は、全国から178名の連名で提出することができました。うち四国4県は47名、福島からは原発被害自治体21名の賛同が得られ、要請には新城せつこ杉並区議と山本勣鬼北町議が提出者となり、岩城泰基宇和島市議や有賀精一日野市議、布施由女清瀬市議、市民からは堀内美鈴さんらが参加しました。県知事要請には、渡部伸二県議や田中克彦県議が付き添い、渡部県議には伊方町まで車でご案内いただき心から感謝申し上げます。
○県議会では渡部県議から「遠くの人たちも自分たちの問題だと来ているのだ。県議会は議論もしていない」と厳しい一言。私たちからも30㎞圏住民への説明が行われていないことや大半が賛成しているという知事の認識は間違いであること、福井地裁判決が250㎞圏を当事者であるとしていること、見学をした福島の現実などを訴えました。午後の伊方町では、岩城泰基宇和島市議が合流。八幡浜市民にもご協力いただきました。
○伊方原発が危険な場所に立地している問題や半島に住む5,000人の避難問題、大分の非現実性を指摘しました。ここではNHKや毎日新聞が取材に訪れ、その後、愛媛新聞や朝日新聞、産経新聞から問い合わせの電話がありました。NHKは当日2度にわたりニュースでとりあげ、20時過ぎは全国自治体議員の会の伊方町申し入れ行動が大きく報道されました。
○今後について考えました。今回の取組みで、伊方原発再稼働問題が愛媛県だけの問題ではなく福島を経験した全ての人々の問題であることを印象付けました。今後さらに拡大すること、伊方原発30㎞圏内にある宇和島市など周辺自治体への働きかけも重要だと思いました。
今回の取組みに先立ち、市民は伊方町を一軒一軒を回りアンケート調査を行い、52%が再稼働に反対であることが判明しました。私達はこの報告を力として県や町に訴えることが出来ました。県議会では47名中反対者はわずか7名。議会では少数でも、大多数の県民・市民の思いを体現していることを改めて確認しました。全国からさらにエールを送り、行動をともにしたいと思います。
(たんぽぽ舎MG(2015.11.19)より)
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┗■1.交渉の途中で「時間だから出て行け」という強圧的態度は許さない!
| 四国電力伊方原発3号機の再稼働を止めよう!
| 11/18第2回四国電力東京支社抗議行動
└──── 久保清隆(再稼働阻止全国ネットワーク)
◎ 18日、第2回四国電力東京支社抗議行動を行ないました。雨模様にもかかわらず大勢の方の参加がありました。やはり、「川内に続いて伊方もか」の危機感があるようです。集会に先立ち、5人の方々が申し入れ行動を行いました。「再稼働阻止全国ネットワーク」と「反原発自治体議員・市民連盟」が『申し入れ書』を読み上げ、手交しました。
◎ 四国電力は、前回の「申し入れ」に対し本社広報部から回答がきました。このことは他の電力会社になかったことで特筆すべきことかも知れませんが、肝心の回答の中身はお寒いものでした。例えば、再稼働の必要性の問いには「エネルギー資源の大部分を海外に依存しているから」とか、基準地震動や地盤の安定性については「原子力規制委員会による審査において新規制基準への適合性が確認されている」とかいう他人任せの回答です。また避難問題についても政府の原子力防災会議の計画が具体的、合理的なものと答えています。しかし、集会中の電話インタビューで地元の方が答えていましたが、原発が破壊されるような大地震の地からの漁船での避難はありえない、机上の計画だと言い切っていました。四国電力は本当に住民の安心・安全について真剣に考えているのかと疑わざるを得ないものです。
◎ 四国電力に一つ忠告しておきたい。今回、話し合いの途中にもかかわらず、業務担当責任者なるものが突然あらわれ「時間だから出て行け」と強圧的態度で私たちを排除しようとしたことだ。交渉ごとは互いの配慮と譲り合いで成り立っているものだ。今後こうした対応が続くなら許すことはできない。交渉の場でも、集会の場でも発言があったが、これからも何度も何度も来て私たちの反原発の意志を突きつけるだろう。
☆次の四国電力東京支社抗議行動は12月16日(水)18時30分からです。大手町の東京銀行協会ビル前に集まってください。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5784:151122〕
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