アベノミクスとは何だったのか? 28
- 2015年 12月 25日
- 交流の広場
- アベノミクス大野 和美
今年度第二四半期(2015/7~9)にGPIFは8兆円弱の損失を出したが、政府がそれを補償すると言うような話は一切出なかった‥(三共済年金や途方自治体の各種年金も多かれ少なかれ損失があったと思われるが明示されなかったし、GPIFを含めてこの第三四半期も株価の変動は大きく、損失の可能性はあり得る)。まあ、仮にこの8兆円弱を政府が補填することは財政的に不可能であろう。急増している平和国家日本の軍事予算よりも3兆円ほど多いのだから、赤字国債を新規に発行するしかない。要するに、政府の株価維持・上昇期待に応じた資金運用の失敗は、年金資金拠出者の負担になるのである。もちろん、年金基金等は就業者の減少もあって受給者は急増する一方その拠出者は停滞や減少に直面している。運用利益の積み増しは必要であろう。しかし、そのことと運用に株価の維持・上昇という役割を担わせる事とは全く別のことである。すでに指摘したように、GPIFの資金運用は内外株式に最大67%振り向けうるようになっている。しかし、この事は運用次第で株価を維持・上昇させることは可能だが直ちに運用利得が増える事を意味しない。価格変動の激しい株式は利得が大きくなる場合もあれば損失が巨額化する場合もあり得るということにすぎないのだ。株価維持・上昇を目的とした年金基金の株式購入拡大はその変動を一段と激しくするだけだ。年金基金の積み増しの保証はない。確定支給年金制度ではこのようなリスキーな運用は通常は避けられている。時の政権が経済的にほとんど意味のない株価維持・上昇に拘って導入された方式となれば、極めてリスキーな運用に陥りかねない。外資ファンドは東京証券取引所での一週間の売買高は16兆円にのぼる。それは、全取引の70%以上である。最近の日経平均の激しい変動がこのように巨大な外資ファンド操作に依っている可能性もある。このように強力な外資ファンドの跳梁跋扈の餌食となるのを防げるのか?!まあ、これまでの株価上昇の原動力はこれら投機的利益を狙う外資に依っている。経済活動が好調であるという理由は見つからないし・・・。
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