あくまで「リベラル」の旗を―2016年の年頭に 2016年の初めにあたって
- 2016年 1月 1日
- 時代をみる
- 2016リベラル21
われわれが「護憲・軍縮・共生」を掲げて本ブログ「リベラル21」をスタートしたのは2007年の3月であった。時あたかも第1次安倍晋三内閣(2006・9~2007・8)が防衛庁の防衛省への格上げ、教育基本法の改悪を果して、右寄り路線をまっしぐらに突き進もうとしていた時期であり、日本の民主主義、平和主義が脅かされるのに突き動かされてのスタートであった。
それから間もなくまる9年である。その間、多くの読者に支えられて、発言を続けてこられたことを誇りに思うと同時に、読者の皆さんには心からお礼を申し上げたい。
しかし、われわれは今も安倍内閣と向き合っている。民主党政権の3年間(2009~2012)を挟んで再登場した安倍政権は、これまでの自民党政権の則を越えて集団的自衛権の行使容認に踏み切り、それにともなう安保法制の整備を果した。16年度予算案では防衛費が初めて5兆円の大台に乗った。今年夏の参議院選挙の結果次第では、いよいよ憲法改正が具体的な形で政治日程に登場してくるであろう。日本が「非戦の国」から「戦争する国」に変貌する日が間近に迫ってくるのを感じざるを得ない。
国民の暮らしはといえば、非正規労働者の割合が4割にも達し、その多くが年収200万円程度の低収入に苦しむ一方で、安倍内閣の極端な金融緩和、円安政策によって、輸出企業、大企業が好業績を謳歌し、人為的な株高による資産効果を喜ぶ人たちがいるという二極分化、格差拡大が進んでいる。
「護憲・軍縮・共生」はいよいよ切実な課題である。われわれはこれまでの道をぶれずに進み続ける以外にない。
同時に今、世界的に際立つのはシリア、イラクからの難民問題に触発された形で国家主義、排他主義がじわじわと広がりつつあることである。旧臘12月のフランスの地方選挙で見られた極右政党の進出が典型であるが、程度の差はあれ同様の事態はその近隣諸国でも進んでいると聞く。
わが自民党でも昨年11月の結党60周年を機に、安倍総裁直属組織として「歴史を学び未来を考える本部」(本部長・谷垣幹事長)が発足し、12月22日に60人が参加して初会合が開かれた。今後は月に1~2回のペースで勉強会を開催するとのことであるが、この組織の使命は自民党全体の思想的支柱を今までより右に移動させることであろう。
自民党は、かつては右から左(に近いところ)までを抱え込む多様性をその強みとしていた。三木武夫、大平正芳、宇都宮徳馬といった人たちの流れをくむリベラル派はともすると右に傾こうとする自民党を引き戻す役割を果してきた。またリベラルとは言わないまでも、宮沢喜一、古井喜実、後藤田正晴といった人々は非戦を信条としていた。しかし、今やそういう人々はほとんど視界から消えた。総裁直属組織としてこのような機関が生まれたことで、いよいよ自民党は右寄り一辺倒に純化してゆくのであろう。
極右政党が生まれるのでなく、政権党が極右化するというのは日本独特の現象だろうが、新党誕生のように人目を惹かないだけにより危険である。しかも、今の日本には大小を問わず、右への傾きを押しとどめるべきリベラルを党是とする政党は見当たらない。このまま自民党のより一層の右傾化が進めば、国家主義、外国人排斥、差別正当化が「世界の流れ」を大義名分として大手を振ってまかり通ることになるだろう。
事態は容易ならざる方向へ進みつつある。われわれは微力といえども、国際主義、平和主義、平等主義といった「リベラル」の旗を掲げて、この流れに立ち向かう決意である。読者の皆さんの共感を得られれば幸いである。
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