「広島2人デモ」さんのこのレポートはご覧になられましたか=国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線被曝評価のウソをきちんと実証的に説明している非常にいいレポートです
- 2016年 1月 31日
- 評論・紹介・意見
- 田中一郎
●伊方原発運転差止をヒロシマから提訴します
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20151219.pdf
「広島2人デモ」さんのこのレポートはご覧になられましたか? レポートの表題は「伊方原発再稼働差止訴訟の提訴」となっていますが、その内容を見ますと、加圧水型のこの伊方原発が、特に大きな事故を起こさなくても、いかに大量のトリチウムや放射性ヨウ素などの毒物(放射能)を環境に垂れ流すのかを実績数字等で説明するとともに、それらの放射能が人体に及ぼす悪影響を、最近の実証データを多く使いながら丁寧に悦明しています。そして、その中で、日本の原子力ムラや放射線ムラが信奉する国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線被曝評価のウソをきちんと実証的に暴露している非常にいいレポートです。まだの方は是非ご覧ください。下記にこのレポートの最後の部分を引用しておきます。
広島原爆に被ばくした後、低線量被ばく(外部、内部)による健康被害に苦しんできたヒロシマだからこそ、その生々しい実体験をもとに、こうした「被ばくの真実」を訴えて、伊方原発という「無用の毒物(放射能)垂れ流し」施設に強く反対ができる、そういうお考えが述べられています。
「広島2人デモ」さんのレポートは、他にも優れたものがたくさんあり、これまでもそのいくつかをご紹介してきましたが、今後も、適宜、ご紹介を続けます。私も不勉強で、そのすべてに目を通しているわけではありませんが、「広島2人デモ」さんのレポートに多くのことを教えていただきました。みなさまにもぜひおすすめをしたいレポートであり、サイトです。
●広島2人デモ
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/
●伊方原発運転差止広島裁判
http://saiban.hiroshima-net.org/
●伊方原発運転差止広島裁判-応援団とは
http://saiban.hiroshima-net.org/ouendan.html
(みなさま、応援団にもご参加をお願い申し上げます)
釈迦に説法かもしれませんが、原発の危険性や非合理性については、既に議論が尽きていて、いかなる屁理屈をもってしても原発の必要性などは論証できません。科学技術的にも、経済的にも、社会的にも、倫理道徳的にも、議論の決着は既についていて、原発はダメだ、マイナスにしかならないということははっきりしています。その原発は、今は、一握りのゴロツキ政治家や原子力ムラの利権にすがりついている人間達が、利己的な目先の利益のみを追求して再稼働や関連ビジネスが続けられているのです。原発は政治の力のみで支えられ強引に推し進められているのです(悪の政治です=日本が、日本人が原発から離れられないのは、ひとえに有権者・国民が政治的に覚醒していない=ゴロツキ政治家にいつまでも未練を抱き続けているか、騙され続けているか、政治的無関心の度が越しているか、のいずれかに原因があります)。原発について、議論や検討の余地はなく、その意味で、原発の工学的な安全性などの理解が乏しくても、そう問題ではありません。
しかし、その原発・核(原子力)に付きものの放射線被曝の問題については、そうではありません。放射線被曝の危険性は、第二次世界大戦週末に原爆・核兵器が開発されて以降、原子力推進のためにはマイナスになるとして、その適正な評価のみならず、科学的実証的な研究さえもが妨害され、場合によっては弾圧されてきました。ですので、放射線被曝に関しては動物実験も含めて、疫学的にも実証的にも研究・検証された定説というものがなく、国際原子力マフィアと言われるロクでもないグループ(国際原子力機関(IAEA)、国際放射線防護委員会(ICRP)、「国連科学委員会(UNSCEAR)」など)が、原発や原子力推進、あるいは核(軍事)施設での労働に支障が出ない範囲内で、放射線被曝の危険性の評価を政治的に行ってきたのです。
ですから、放射線被曝の問題は、原発・原子力の推進の問題とは違い、科学的実証的な論争や実際の危険性の度合いなどについて、決着がついておりません。そもそも放射線被曝の度合いを評価するための実証データがまだまだ足りないのです。動物実験でさえ十分ではありません。また、タチが悪いことには、放射線被曝は人間の五感に感じないものですから、常にごまかされても、それを私たち一般の市民が感じ取ることができないという「弱み」を抱えているのです。
ですので、私たち一般市民は、こと放射線被曝の問題に関するデータや論文、レポートなどについては、常に敏感でいなければなりませんし、また、それらを読み込めるだけのリテラシーも少しずつ獲得していかなくてはならないのです。一つには、放射線被曝をめぐる科学の最前線の情報を常に入手する努力をすること、そして、もう一つは、原子力ムラ・放射線ムラ・国際原子力マフィアらの打ち出してくる「被ばく過小評価」に対して、全力で論理的に実証的に立ち向かう=反論する必要があるのです。いわゆる科学論争を避けてはいけません。彼ら原子力推進側の提唱する放射線被曝の評価は、真実や実態をゆがめて、政治的な意図で過小評価や歪曲をしていますから、必ずどこかにボロが隠されており、また、往々にしてご都合主義なのです。
また、原子力推進をしたいのは「彼ら」ですから、放射能や被ばくの危険性について、その安全性または危険性の度合いを科学的実証的に証明しなければならないのは「彼ら」です(決して市民が被ばくの危険性を実証しなければいけないということではありません。「彼ら」が被ばくの危険性の度合いを実証しなければいけないのです)。市民すべての英知を集め、こうした「ムラのインチキ」を見抜き、暴露していきましょう。「広島2人デモ」さんの多くのレポートは、そういう時に私たちの力強い味方になってくれるでしょう。
●低線量内部被曝の危険を人々から覆い隠すICRP学説の起源
http://www.inaco.co.jp/hiroshima_2_demo/pdf/20150501.pdf
(このレポートも国際放射線防護委員会(ICRP)の嘘八百を暴露したハイ・クォリティのいいレポートです。:田中一郎)
(一部抜粋)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このチラシの冒頭で申し上げたとおり私たち「広島1万⼈委員会」は、四国電⼒伊⽅原発再稼働阻⽌のため、伊⽅原発運転差⽌を求めて広島地裁に提訴することを正式に決定しました。それは、このチラシでたびたび指摘するように、これ以上環境に⼈⼯放射能を付け加えるべきべきではない、伊⽅原発が苛酷事故を起こせば広島は壊滅的な打撃を受けることはもちろんですが、苛酷事故を起こさなくてもその通常運転から放出する⼈⼯放射能のために私たちが苦しむのが⽬に⾒えているからです。
1945年の広島原爆で、多くの被爆者が出ました。⻑い間私たちの家族、親戚、友⼈、知⼈、その⽗⺟やその祖⽗⺟たちが、原爆がまき散らした放射性物質による低線量被曝、特に内部被曝で様々な病気を発症し苦しみながら⽣活を送ったことを、⾝をもって実感しております。現に私たちが原告団⻑に予定している堀江壮⾃⾝5 歳の時に広島原爆に遭遇し、⻑い間、その低線量内部被曝の被害に苦しみつつ今⽇まで⽣き延びてきました。
そのヒロシマから⾒ると、ICRPや⽇本政府のいうところ、「100mSv以下の低線量被曝は健康に害があるという科学的証拠はない」は絵空事としか聞こえませんでした。実感と⼤きく違うのです。ところがここでご紹介した世界の放射線被曝に関する報告や研究は、むしろ私たちヒロシマの実感に近いのです。「そうだ!やっぱりそうだったんだ!」という思いでこれら研究や報告を読み、私たちが正しいことに確信を深めております。であるとするなら、これら私たちの実感を世界中に広めねばなりません。そのための伊⽅原発再稼働阻⽌の裁判提訴でもあります。どうか皆さんの応援、ご⽀援をお願い申し上げます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion5878:160131〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。