ヒロシマのことをもっと知ろう - 東京の元高校教員が連続講座を開設 -
- 2016年 2月 9日
- 評論・紹介・意見
- ヒロシマ岩垂 弘
東京で、トークセッション「ヒロシマ・2016連続講座」が始まった。主催者は元高校教員の竹内良男さん(67歳)=東京都立川市=で、ヒロシマに関わってきたさまざまな分野の人の話を聴いて原爆被害の実相を明らかにし、何を記憶し、何を次の世代に伝えるかを考える場としたいという。
竹内さんは東京で高校教員をしていたが、30年ほど前、修学旅行の生徒たちを引率して広島を訪れた。その時、被爆者の証言に出合い、衝撃を受ける。それを機に、被爆の実相をもっと知るために広島、長崎を訪ねるようになった。退職後も、広島を訪れ、慰霊碑にお参りしたり、被爆者の証言に耳を傾けてきた。ここ数年は、希望者を募って、慰霊碑や戦争遺跡を巡るフィールドワークを組織する活動などに取り組んできた。
東京で「ヒロシマ・2016連続講座」をやろうと思い立ったのには、それなりの理由がある。一つは、首都圏在住の人たちの間では、ヒロシマへの関心が低いと感じてきたからだ。もう一つは、「戦後70年が終わり、戦争のことが語られることが少なくなるのでは」という懸念である。
竹内さんは言う。「戦争と平和の問題にさまざまな形で取り組んでいる方々においでいただき、その方たちの語り継ぐ話にきちんと向かい合うことで、東京から遠く離れた広島に思いを馳せ、ヒロシマを受け取る時間にしたい、と思います。それは71年目の戦後という年にあって、何を記憶として残すべきなのか? 忘れてはならないこととは何か? 何を明日に手渡していけばいいのか? を考えることになるはずです」「この取り組みを続けていくことが、いま足早で戦争準備を進めるこの国の新しい年2016年を、あらたな『戦前』とさせないためのささやかな糸口になるといいなぁ、とも思っています」(「ヒロシマ・2016連続講座」の趣意書から)
連続講座は原則として毎月第3土曜日。第1回は1月23日、北区の駒込駅に近い公益財団法人のビルの会議室で開かれ、30数人が集まった。講師はジャーナリストの堀川惠子さん。『原爆供養塔 忘れられた遺骨の70年』(文藝春秋刊)の著者で、取材を通して見た広島の戦後について話した。
第2回は2月20日(土)で、講師は元気象研究所研究室長の増田善信さんで、テーマは「原爆の『黒い雨』はどこに降ったのか?」。「黒い雨」とは、原爆投下直後に降り注いだ雨のことで、放射能を含んだ雨は広島市民に被害をもたらした。
第3回は3月26日(土)で、講師は学徒動員中に被爆死した同級生の最後を追った『広島第二県女二年西組』(ちくま文庫)の著者、関千枝子さん(元毎日新聞記者)。テーマは「原爆で死んだ少年少女たち」。
参加費は各回1000円。
会場と資料準備の関係で事前申し込みが必要。申し込みは竹内良男さんにメール(qq2g2vdd@vanilla.ocn.ne.jp)か携帯電話(090-2166-8611)で。
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