本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(113)
- 2016年 2月 19日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
近江商人の「三方良し」
今回の「軽井沢のバス事故」については、いろいろなことを考えさせられたが、具体的には、「なぜ、未来ある若者が、命を失ったのか?」という「人間の運命や宿命」であり、また、「1泊3日で1万3000円」という「料金の安さ」でもあった。つまり、「この料金で、どのようにして、利益が出せるのか?」ということだが、実際には、いろいろな「歪み」が生じていたようにも感じられるのである。
具体的には、「バス料金の設定」や「バス運転手の給料」などのことだが、基本的には、「あまりにも安い料金には、気を付ける必要性がある」ということであり、また、この時に思い出されたのが、「近江商人の格言」でもあった。つまり、「売り手良し、買い手良し、世間良し」という「三方良し」のことだが、このことは、「売り手と買い手との間で、適正な価格が設定されると、商売の当事者だけが利益を得られるだけではなく、その利益が回りまわって、世間全体を潤す」という考え方のことである。
そして、「昔の日本人は、このような取引を行う事により、継続的な商売が可能だった」ものと思われるのだが、現在では、「買い手」だけが利益を得られる状況となっているようにも感じられるのである。また、この理由としては、「お金の力」が強くなりすぎた点が指摘できるようだが、実際には、「お金は神様である」、あるいは、「顧客は神様である」という認識が、世界的に広まった可能性のことである。
つまり、過去数十年間に発生した「マネーの大膨張」が意味することは、「お金の量」が増えただけではなく、「お金の価値」が、飛躍的に高まった状況とも言えるのである。 その結果として、現在では、さまざまな「理不尽な状態」が、世界的に発生しているものと考えているが、具体的には、世界的な「ゼロ金利」や「マイナス金利」という「歴史上からも、前代未聞の事態」のことである。
そして、今後は、「国債価格の暴落」とともに、「プログラム売買の巻き戻し」が発生する可能性が高まっているようだが、実際には、大幅な「円安、株高、そして、金利上昇」のことである。つまり、「世界的な金融情勢の適正化」が予想されるのだが、今回の問題は、「大膨張した世界のマネーを、どのようにして処理するのか?」という点であり、この点については、「過去の歴史」が教えるとおりに、「大インフレにより、実質的に無価値にする状況」しか考えられないのだが、残念ながら、現在の日本人には、いまだに、この点が理解されていないようである。(2016.1.15)
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原油価格急落の波紋
最近の「原油価格の急落」については、さまざまな要因が存在するものと考えているが、実際には、「シェールガスの存在」や「中東の混乱」であり、また、「金融的な要因」などのことである。そして、この時に、実に、いろいろな意見が出ているが、今回、驚かされたことは、「原油価格の急落により、株価が下げている」という指摘であり、この点については、全くの「的外れの意見」とも考えられるようである。つまり、戦後の世界経済を見た場合には、1950年前後の「中東大油田の発見」が、その後、世界経済の高度成長の促進剤となったからである。
具体的には、「石油化学産業」のみならず、「鉄鋼業」や「自動車産業」、そして、「電化製品業界」など、実に、幅広い分野に、好影響を与えたのだが、現在では、この事実が、全く忘れ去られているようである。つまり、「原油価格が急落すると、世界経済が悪化する」と理解されているようだが、このことは、典型的な「ポジション・トーク」とも考えられるようである。別の言葉では、「金融市場において、買い持ちや売り持ちのポジションを保有している著名な市場関係者が、自分に有利な方向に相場が動くように、市場心理を揺さぶる発言を、マスメディアなどを通して行うこと」とも言えるようである。
そして、「現在、なぜ、このような行為が行われているのか?」を考えると、結局は、「国債を守る陣営」が、依然として、「ありとあらゆる手段を使い、国債価格の暴落を防いでいる状況」が浮かび上がってくるようである。つまり、「金利の上昇は、金融システムや通貨制度の崩壊に繋がる」と恐れる人々が、必死になって、「世界の金融をコントロールしている可能性」のことだが、この点については、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「BIS」の総裁である「カルアナ氏」が、以前から指摘してきたことでもあるようだ。
具体的には、「各国の中央銀行は、最後の最後まで、どのような手段も実行する」、しかし、「最後には、市場の反乱が起き、その時には、後追いで、市場の流れに従わざるを得なくなる」という展開のことである。つまり、「国債価格の暴落」が始まると、「世界各国の中央銀行が、一斉に、かつ、急速に、金利を上げる状況」のことだが、この時には、「原油価格」のみならず、「株価」や「商品価格」が急騰する事態も予想されるのである。
そして、このことが、私が以前から想定している「本当のインフレ」、すなわち、「通貨価値の下落」のことだが、この点については、「2月の暦」である「庚寅」から、始まる可能性が高くなっているようだ。(2016.1.15)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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