ボクたち、アベ政治応援団。がんばれ高市総務相。
- 2016年 2月 20日
- 時代をみる
- 澤藤統一郎
ボクたち「放送法順守を求める視聴者の会」。顔ぶれに新味のない、いつもの右翼の常連ですが、アベ政治応援団としてまたやりました。どうです、「放送法4条守れ」のキャンペーン。2月13日付読売新聞への全面広告ですよ。あのぎらぎらする目で睨みつける意見広告。「キモい」「感じワルーイ」「センスゼロ」「恐ろしい」…。そんな読者の声もありますが、恐がってもらうのは、われわれの狙いのうち。大きなインパクトで、テレビが萎縮してくれれば、それが何より。
しかも、高市早苗総務相の停波あり得る発言が2月8日だから、13日の全面広告は絶好のタイミングで援護射撃になったでしょ。
ボクたち、アベのやることなんでも賛成。アベ政治親衛隊です。なんと言っても、アベこそが右翼の星なのですから。教育基本法改正・特定秘密保護法・自虐史観修正・靖國神社公式参拝・内閣法制局崩壊・集団的自衛権行使容認閣議決定・安保法制強行成立・沖縄辺野古新基地建設強行…、そして断固高市総務相発言の容認。何よりも、戦後レジームからの脱却、そして美しい日本を取り戻す。天皇を戴く国を目指す「自民党・日本国憲法改正草案」。
この全面広告の大きな活字のフレーズは、「視聴者の目はごまかせない」「ストップ!“テレビの全体主義”」「放送法第4条が守られ、知る権利が保障されなければ、表現の自由や、民主主義は成り立ちません」「誰が国民の『知る権利』を守るの?」というもの。そして、円グラフで特定秘密保護法や安保法制などで、「TVの電波は独占状態!」と訴えています。苦心の作だって思うでしょ。ちょっと見だと、右翼の宣伝文書に見えないところがミソ。
ボクたちも学びました。まずは、古くさい仲間内だけの右翼用語を使っていてはダメだということを。偏向だの、反日だの、ブサヨなどという用語は一切避けたのです。ボクたちの顔ぶれを見れば、大きな英断だとお分かりでしょう。
次に心掛けたのは、左翼・リベラル用語の取り入れ。内容は換骨奪胎にしても、これまでは敵の陣営が使っていた言葉を使ったのですから、どうもしっくりは来ないけれども、凄いことだと思いません?
だって、「全体主義」を攻撃しているのですよ。「知る権利」でしょう。「表現の自由」でしょう、そして「民主主義」なのです。これまでは、左翼・リベラルに独占させていた言葉をボクたちの陣営にもぎ取ったのですから、たいしたものなんですよ。もう少ししたら、「平和」も、「立憲主義」も、「反権力」も「ヘイトスピーチ反対」も、「歴史修正主義糾弾」だって、我が手にしてしまおうかと思っています。いや、ホントに。
さらなる工夫は、アベ政権応援を隠していること。もちろんボクたちアベ政治の応援団で、そのことはバレバレなんだけど、ロジックとしてはアベ政権応援は前面に出さないことにしたの。ホントは、テレビ局がアベ政権に反抗していることが怪しからんので、「アベに代わって局を打つ」の気概なんだけど、それじゃアベの人気をまた下げちゃうことになる。そこで頭をひねってね。政権ではなくて、視聴者が批判しているという形にしたの。アタマいいでしょ。
なんたって、アベ政治がポシャれば、憲法改正も夢と終わる。天皇陛下を元首とし、堂々たる国防軍を持って近隣諸国から舐められない、軍事大国を作るための憲法改正。二度とこんなチャンスはやってこない。ところがアベの人気がイマイチだ。これはみんなテレビのせい。だから、テレビを脅かして、「アベを持ち上げないと免許を取り上げる」「アベの悪口言えば、電波の停止もありうるぞ」とたしなめているの。
高市早苗総務大臣は立派だ。堂々と、テレビ局締め上げの発言をしているのだから。ボクたちアベ応援団、心一つに高市を孤立させずに支援をしよう。よいタイミングで、全面広告出せてほんとによかった。
ところで、「政治的公平」ってなんだか知ってる? そう、政権の言うとおりの報道と意見が公平で公正なんだ。だってさ、世の中にはいろんな意見がある。勝手気ままでまとまらなければこの国が滅びる。意見は政権の言うとおりにまとまることが大切で、これを公平・公正という。だって、この世は民主主義、選挙で勝った者が国民の代表者だもの。アベ政権が国民の意見の代表者で、アベ政権の言うとおりが公平・公正で間違いないでしょ。
NHKだけがボクたちのメガネに適っている。籾井会長が言うとおり、「政権が右と言っているのに、局が左といっちゃいけない」に決まっているはずじゃない。
えっ? ボクたちの言うこと、どこかおかしい? いや、おかしいというキミの方が、偏っているのさ。
(2016年2月19日)
初出:「澤藤統一郎の憲法日記」2016.02.19より許可を得て転載
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〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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