湘 北 拙 句 抄 (その二)
- 2016年 3月 14日
- カルチャー
- 霧野 漠
《その母 わたし》
「日本死ね」 書いた母親 数多出で
育つ子は 納税者にも なるのだよ
子育ては 「私事」と誤認の 安倍やめよ
虚言家が守らぬ子らが 世を支え
青鞜派 愛国婦人に 変身し
リブは今 暴言女官に 乗っ取られ
日本では 始めは良くて 終わり悪し (竹内好)
世は変わる 動く女が どう変える
《被爆から被曝へ》
被爆後に アンジェラスの鐘 鳴り響く
島の上 響く教会 朝の鐘
清らかに 夜月輝く 浦上堂
阿呆荒らす 国土耕す 被曝農 (映画「大地を受け継ぐ」)
再稼働 密か狙うは 核武装
それ続け 原発停止 みな停まれ
フクシマの 山奥咲ける 姫小百合
記念樹は 「三★一★一」の 桜花
受難史を 業火なめ焼く 長田街
公園の ベンチ間仕切る 酷薄さ
今夜また 『一★九★三★七』読みて 知る日本
《長崎から佐渡へ》
皺刻み 老女たおやか 白髪美
水瓶の 水を田に引く 佐渡翁
腰曲がり 鍬を片手に 千枚田
佐渡地蔵 元気にしてねと 頭撫で
佐渡島 鬼飛び憑ける 北一輝
輝次郎 民は祭るぞ 佐渡狢
猊鼻渓 こたつ舟にも かもめ寄る
《或るリアリストの電話診断》
小説の 電話番号 掛けて診る
通じたら 本物小説と 褒めてやる
小説の 返事と違えば 絵空事
電話出た その小説の原作者
それならば 日本小説 まあ健全
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〔culture0215:160314〕
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