SJJA&WSJPOの【西サハラ最新情報】150 オスロのプリーズ賞が大統領と王に授与
- 2016年 3月 16日
- 評論・紹介・意見
- サハラ平田伊都子
オスロの賞と言えば、ノーベル平和賞。 オスロ合意と言えば、1993年にパレスチナとイスラエルの両紛争当事者が結んだ和平合意。 オスロ和平合意のおかげで、パレスチナ大統領アラファトとイスラエル首相ラビンがノーベル平和賞を、オスロでもらいました。 が、今回の受賞はいささか違っています。
(1)モロッコの官製デモ:MAP(マグレブ・アラブ・プレス)モロッコ通信社、発。
2016年3月13日、モロッコ首都ラバトで、300万人以上の市民がパン・ギムン国連事務総長の西サハラ難民キャンプ訪問とサハラ問題解決に関する発言に抗議して、モロッコ王国指導の下でデモを挙行した。前日の土曜日には二つのモロッコ議会議員たちが、パン・ギムン国連事務総長のモロッコ王国を侮辱する発言に対して、強く抗議した。モロッコ・サハラの首都・ラユーンでも14日に18万人以上が反パン国連事務総長デモをやった。(ちなみに、ラバトの人口は200万人弱、ラユーンの人口は西サハラ人込みで推定18万人なんだけど??)
(2)怒ったパン国連事務総長:国連声明 発。
2016年3月14日、パン・ギムン国連事務総長はニューヨークで行われたモロッコ外務大臣サラハデイーン・メズアルとの会談後に、モロッコ王国声明とモロッコ王国が組織した<反パン国連事務総長>デモに関して、強い失望感を表明した。「このような声明と行動は、事務総長と国連に対する侮辱だ。さらに事務総長は、「国連がモロッコ王国に対する敬意を失っていないにも拘わらず、デモ隊にモロッコ閣僚数人が参加していたことには、強い不快感を覚えた」と、抗議した。
(3)オスロのプリーズ賞:
2016年3月14日、ノールウェーのオスロにある<学生と有識者の国際支援財団>が、2016年プリーズ賞をRASD(サハラ・アラブ民主共和国)大統領アブデル・アジズとモロッコ王ムハンマドⅥ世と西サハラ和平解決に尽力しているノルウェー首相エルナ・ソルバーグの三氏に授与すると発表した。プリーズ賞は今年が初めて。プリーズ<Please>とは<Please make peace >の略で、3月16日20時(日本時間3月17日4時)に早期の和平解決を願う授賞式が行われる。
オスロ合意とノーベル平和賞にあやかって創られたプリーズ賞のロゴ
(4)モロッコ国王陛下のロシア訪問:MAPモロッコ通信 発
2016年3月15日、モスクワ訪問中のモロッコ国王殿下モハンマドⅥ世はクレムリン宮殿で、ロシア大統領ウラジミール・プーチンと会談した。モロッコ側から国王顧問タイブ・ファッシ・フィフリと同ファウド・アリ・エルヒンが、ロシア側からはロシア外務大臣セルゲイ・ラブロフと大統領顧問ロウリ・ウチャコブが同席した。そして、<様々な分野>にわたる討論が行われた。
(モロッコ占領地・西サハラの漁港ダハラで3月17日から22日にかけて、<クラン・モンタン・フオーラム>という祭りをモロッコ王国は企んでいる。国連もEUも非難している占領地でのモロッコ・パフォーマンスに、モロッコ王はプーチンを招待しようとしているのだろうか?<様々な分野>の中に、モロッコ占領地・西サハラが含まれていませんように、、)
モロッコ王国は1975年11月6日に、<緑の行進>という官製デモを強行しました。 デモ参加者はモロッコ王国発表で30万人、実数は10万人足らずでした。
王国政府から飲料水と食料を与えられた雇われデモ隊がモロッコ国王の肖像画を掲げ、「スペイン領西サハラはモロッコ王の物」と叫びながら、スペイン領西サハラの国境を不法侵犯しました。 当時の西サハラ宗主国スペインの国内は、独裁者フランコ将軍の危篤で内戦勃発寸前でした。 内憂外患のスペインは、独立闘争が勃発した西サハラ植民地を漁業権とリン鉱石鉱山権の一部をもらって、西サハラ北部はモロッコに西サハラ南部はモーリタニアに無断不法分譲してしまいました。 この無断不法分譲は国連にも西サハラ住民にも知らされず、<三国秘密取引>と呼ばれています。 スペイン占領軍が撤退した途端、北からモロッコ正規軍が、南からモーリタニア正規軍が襲ってきて、逃げ場を失った西サハラ住民は2000キロ、3000キロと離れたアルジェリアに逃げ込みました。
これが、西サハラ難民の始まりです。 1979年にモーリタニアが撤退した後は、西サハラの大部分をモロッコが占領しています。
モロッコの西サハラ領有権を否認した国連に対して、モロッコは官製デモで反発しました。 <緑の行進>恐喝デモの夢をもう一度、なんですか??その手はもう誰も食わないよ、、モロッコ国王陛下殿。
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名敏之 2016年3月16日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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