戦争につながる改憲を絶対許さない ー 東京で安倍政権糾弾の憲法集会 -
- 2016年 5月 4日
- 時代をみる
- 岩垂 弘改憲
「平和といのちと人権を! 明日を決めるのは私たち 5・3憲法集会」と銘打った集会が、憲法記念日の5月3日、東京・江東区の有明防災公園で開かれた。参加者は、昨年横浜市で開かれた「5・3憲法集会」の参加者3万人を上回る、これまでで最高の5万人に達し、「安倍政権による改憲をなんとしても阻止しよう」「そのために来る参院選で野党を勝利させ、安倍政権を退陣に追い込もう」と声を上げた。
集会を主催したのは「5・3憲法集会実行委員会」。一昨年まで別々に憲法記念日に集会を開いていた旧総評系の「フォーラム平和・人権・環境」と、憲法会議など共産党系団体や市民団体でつくる「憲法集会実行委員会」が、安倍政権による改憲を阻止するためには共同して行動する必要があるとして、「5・3憲法集会実行委員会」を結成した。昨年の横浜集会は、同実行委が主催する1回目の共同集会だった。
今回の会場となった有明防災公園は、東京湾沿いにつくられた新しい公園。海からの風が会場を吹き渡り、参加者たちが持参した組合旗や団体旗、のぼりが、はたはたと翻る。
集会は午後1時から始まったが、その前から、広々とした会場は、ゆりかもめ線有明駅と、りんかい線国際展示場駅を降りてきたおびただしい人々で埋まった。
旗やのぼりから見て、労働組合、脱原発団体、平和団体、宗教団体、女性団体、文化団体、生協など消費者団体などからの参加があったことが分かった。
「九条の会」とか「戦争法廃止」という文字の横に大学名を書いたのぼりも目についた。大学内で護憲や安保法制廃止のための活動をしている教授や学生らからも参加があったということだろう。が、圧倒的に多かったのは、旗やのぼりを持たず、ゼッケンも着けていない、いわゆる一般市民とみられる人たちだった。それも休日(祝日)だったせいか、中年の夫婦連れと思われるカップルが目についた。
集会では、まず、ゲストのあいさつがあったが、その1人は、さいたま市在住で101歳の、むのたけじさん(ジャーナリスト、元朝日新聞記者)。むのさんは「ここにお集まりの皆さんは戦争を知らない世代だろうから、戦争の実態を知らない。私は従軍記者として戦争を見てきたから、戦争がどんなものか知ってといる」と切り出し、「戦争とは、相手を殺さねば、こちらが死んでしまうということだ。つまり、殺されたくなかったら、相手を殺せ、ということだ。だから、戦地では兵士は神経がおかしくなる。で、女性に乱暴したり、物を盗むようになる」「それに、戦争を始めてしまったら、止めることが出来なくなる」と語った。そして、「敗戦後、日本国憲法が公布されて70年。この間、日本は国民のだれをも戦争で死なせなかったし、外国人を1人も殺さなかった。これは9条があったからだ。9条こそ人類に希望をもたらす宝だ」と訴えた。
この後、政党あいさつに移ったが、それは4野党党首そろいぶみだった。こんなことは憲法集会では初めてで、会場からはどよめきと怒濤のような拍手がわき起こった。
岡田克也・民進党代表は「安倍首相は、1月以来、参院選で改憲勢力で3分の2をとって改憲を目指す、と公言している。首相はこれまで、集団的自衛権の行使容認を閣議決定したり、違憲の安保関連法を成立させたりしてきたが、いよいよ9条の本丸に乗り込もうとしているのだ。われわれ野党は、力を合わせて安保関連法を廃止に追い込みたい」と述べた。
志位和夫・共産党委員長は「昨年の憲法集会以来、戦争法案に反対する運動が巻き起こった。それに背中を押されて野党共闘が前進した。参院選で野党が必勝して、戦争法を廃止に追い込みたい。安倍首相は、内閣が憲法に縛られているという自覚がなく、自民党改憲草案を押し通そうとしている。憲法を変える必要は全くない。変えるべきは政治の方なのだ」と述べた。
吉田忠智・社民党党首は「憲法が公布されて70年だが、これまで一度も改定されなかった。それは、国民がそう望んでいたからだ。わが党は、これからもこれを守り抜く。参院選で野党共闘が進んでいるが、わが党は衆院選でも野党共闘の要として頑張りたい」と話した。
最後に登壇した小沢一郎・生活の党代表は「憲法の理想を実現するためにこんなに多くの人々が集まっていることを大変うれしく、心強く思う。皆さんに敬意を表する。憲法の理想を実現したり、安保関連法を廃止したりするには、なんとしても選挙に勝たなくてはならない。4党協力に市民の皆さんも力を貸していただきたい。国民のための政権を実現しよう」と呼びかけた。
次いで、参加者全員によるコール。参加者たちは「安倍内閣はただちに退陣」「戦争法はただちに廃止」と叫んで、黄、青、赤3色の紙を高く掲げた。黄色の紙には「憲法を守れ」、青色の紙には「戦争法廃止」、赤色の紙には「安倍政権退陣」と書かれていた。
この3点こそ、この日会場を埋めていた人たち全員の思いを集約したものと私には思われた。
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