本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(125)
- 2016年 6月 21日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
異次元金融緩和からの出口戦略
5月21日の日経新聞に、「日銀の引当金」に関する報道が出ていたが、この点には、大きな注意と正確な理解が必要だと感じている。つまり、この記事では、「将来の国債価格下落に備えて、日銀が、初めて、4500億円程度の引当金を積んだ」、また、「政府に対する納付金は、大幅に減少した」とも報道されているが、内容としては、実質上、「異次元の金融緩和」を放棄する政策のようにも思われるからである。
より具体的には、「3月末で、日銀が保有する国債は約349兆円」、また、「日銀の試算では、1%の金利上昇で、保有国債の時価総額が、約21兆円減少する」という状況であり、そのために、「引当金を積むことにより、将来の危機的な状況に備える」とも報道されているのである。つまり、「日銀」としては、これ以上の「金利低下」が見込めず、反対に、「金利上昇」を恐れ始めたようにも思われるが、「その時に、どのような事態が想定されるのか?」が、これからの最も大きな注目点とも言えるのである。
つまり、今までは、「異次元の金融緩和」の名のもとに、「日銀が、国債を大量に買い付けることにより、人為的な超低金利状態、あるいは、マイナス金利が作り出されてきた状況」でもあった。しかし、今後は、「日銀の国債買い付け」が不可能になるだけではなく、反対に、「国債価格の暴落」により、「政府の資金繰り」に、大きな問題が生じる可能性が存在するのである。
具体的には、「国家破綻」のことだが、実際に予想されることは、「政府が資金繰りに行き詰まり、日銀が紙幣を大量発行する可能性」のことである。しかも、この時には、今まで「日銀」が吸い上げてきた「約270兆円もの当座預金」が、一挙に、「市中に戻る状況」も想定されるが、この時に予想される事態は、前述のとおりに、「紙幣の大増刷により、民間金融機関に、当座預金を返金する」という状況でもあるようだ。
そして、このような展開こそが、今までに申し上げてきた「金融大地震とインフレの大津波」を意味するわけだが、現在では、きわめて近い時期に発生することも想定されるのである。つまり、「8月21日」が、「暦のフラクタル」では、「過去と未来が交錯する日」に相当するが、前回の「2011年3月10日前後」には、私の想定とは違い、「3・11の大震災」が発生したのである。そのために、今回は、どのような事件が発生するのかを、固唾を呑んで見守っている段階でもあるが、一方で、このことは、世界的な「マネーの大膨張」が終焉し、「新たな時代」が始まる前兆とも考えられるのである。 (2016.5.24)
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五次元経済学の基礎理論
「2016年5月」は、私にとって忘れられない「記念すべき月」となったようだが、その理由としては、長年求め続けてきた「五次元の経済学」に関して、「基礎理論」が完成したものと考えているからだ。そして、この点に関して、最後の決め手となったのが、「唯物論と唯心論」の違いであり、また、「易経と細胞」に共通する「分化と増殖のメカニズム」が理解できたことだった。
具体的には、人類の歴史をたどると、「唯物論」が中心となる時代と、「唯心論」が中心になる時代に分かれるものと考えているが、現在は、ほとんどの人が、「物質を代表するマネー(お金)」を、崇拝しているような状況とも考えられるのである。そして、「なぜ、このような事態が発生したのか?」を考え続けてきたのだが、興味深い点は、「800年前の西暦1200年頃」は、現在と、全く正反対の状況だったという事実である。
つまり、当時は、「唯心論」が、ピークを付けた時代だったが、実際に起きたことは、「末法思想の普及」であり、多くの人が、「死後や来世の幸福」を願い、「神社仏閣の建立」に邁進していたのである。しかし、その後の変化としては、「日本の武家社会」、あるいは、「西洋のルネッサンス」のように、「物質を重視する社会」の形成が始まったのだが、最後ピークを付けた「現在」では、「お金そのものが、単なる数字となり、大きな猛威を振るっている状況」とも言えるのである。
このように、歴史をたどると、人類全体が、「物を求める時代」と「心を求める時代」とに別れていたことが理解できるが、この要因としては、「心の座標軸」という「人々の意識と行動が、どの方向を指しているのか?」が挙げられるようである。つまり、今まで、人々の心は、「目に見えるもの」と「自分」とを指す方向に向かっていたのだが、「西暦2000年前後」から、徐々に、「目に見えないもの」に興味を持ち始め、また、「他人への思いやり」を持つ人が、徐々に、増え始めているようにも思われるのである。
その結果として、今後は、「唯心論」を重視する人が、世界的に増え始めるものと考えているが、このことは、「心のルネッサンス」とでも呼ぶべき状況であり、実際には、「1600年前の西暦400年前後」に発生した「世界的な変化」が、再び起こる可能性のことである。別の言葉では、「お金を中心にした市場経済」から「無償の愛を基準にした共同体」への移行のことだが、この点については、「今年中にも、方向性が、はっきりと見え始めるのではないか?」と考えている次第である。 (2016.5.30)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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